表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/31

間違い

 今日もいつものように店は開店する。


 お客さまは多くはないがそれなりの数が来てくれた。


 私はそんな店内を忙しく動き回る。


 そんな中、ふとある事に気がついた。


「あれ? 昨日きたあの子がまた来てる?」


 私は店の入り口を見るとそこには昨日見た少女ともう一人の少女の姿があった。


「いらっしゃいませ」


 私は彼女に挨拶をする。


「あ、あの、ここに来ればおこの子に見せてもらったイケメンのお兄さんに会えると聞いてきたんですけど...!」


「お兄...さん?」


 私はキョロキョロと辺りを見回す。


 今の店内に男性はいない


「あ、お兄さんというのはお店のマスターさんであるあなたのことです」


 と、恥ずかしそうに言う彼女。


 ああ、そういうことね。


「ごめんなさい。僕は女の子なんだ」


「えっ!? そうなの!?」


「ごめんね、よく間違えられるんだ」


「そっかー、残念...」


 彼女はガッカリしている様子だった。


「それでご注文は?」


「あ、はい! えっと...」


 彼女はメニュー表を見ながら悩んでいた。


 よく分からなかったのか、少女は口を開いてこう呟いた。


「...コーヒーで」


「あの〜、注文内容がそれではちょっと困るのですが...」


「じゃあ紅茶で」


「いや、それも種類がありましてですね」


「ならカフェオレで」


「...分かりました。少々お待ち下さい」


 私はキッチンに戻り、自分好みのカフェオレを用意して戻る。


(口に合うといいけど...)


「はい、どうぞ」


「ありがとう」


 彼女はゆっくりとカップに口を近づけ、一口飲む。


「ん、美味しい」


「良かった」


「あ、あの、名前だけでも教えて貰っていいですか?」


「僕? 僕はツカサ。この喫茶店のオーナー兼マスターさ」


「あ、あの、わ、私は...」


 彼女は少し焦りながらも自己紹介を始めた。


「え、えと、私は、ショウカと言います。


「へぇ〜、良い名前だね」


「え、えと、ありがとうございます...」


 それから彼女は自分の事をポツリポツリと話し始める。


 彼女はこの町に住んでいて、今は学校に通うために一人暮らしをしているらしい。


「あの、良ければ連絡先を教えてもらっても良いでしょうか?」


「うん、構わないよ」


 私はポケットからスマホを取り出して彼女と連絡先を交換しあう。


「これで登録完了かな」


「はい! ありがとうございます! 私、頑張りますから応援しててくださいね! 必ずまた会いに行きますから!」


「うん、待ってるよ」


(何を頑張るんだろうか? まあいいか)


 こうして私はまた1人お客さまと知り合うことが出来た。


 ちなみにいつもの常連さんの方の名前はヨウカだと言う事を後になって知る事を、この時の私はまだ知らないのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ