『マッドマン』⑤
「今の蹴りはかなり効いたぜ。流石にな」
「それならどうして立っていられる?」
「それはお前の体が女だからだよ」
『マッドマン』はそう言うと、体を変化させる。
今度は巨大な化け物の姿となる
「どうやらその力は姿を自在に変える能力みたいだな」
レイカが冷静に分析する。
「ご名答、だがこの状態ならお前たちに勝ち目はない。大人しく死を受け入れろ」
「そんなわけないでしょう?」
「お前も死にたいのか?」
「死ぬつもりなんて毛頭無いよ。レイカもいるしね」
「ははははははははっ! いいだろう、女1匹増えたくらいで何ができるのか見せてもらおう!」
こうして私たちの戦いは始まった。
私は水を生成し、それを操り攻撃を繰り出す。
「無駄だ」
そう言うと『マッドマン』は水でできた龍を簡単に握りつぶす。
「くそぉ!」
私は悔しさを滲ませながらも、次なる策を考える。
「どうした? もう終わりか?」
「まだまだ!」
私はさらに多くの水を生成、操作しながら、またもや攻撃を仕掛ける。
「同じことを繰り返すだけならすぐに飽きが来るぞ?」
『マッドマン』は私の攻撃を全て防ぎながら余裕そうな表情を浮かべている。
「そうでもないよ」
「なに?」
「見てて」
私がそう言うと、私がが作り出した水の球を、レイカが殴って火属性を注入する。
「どういう事だ?」
「これは私の水の操作と、レイカの炎操作力の高さがあってこそできる技なんだけどね」
「ほう……」
『マッドマン』は感心しているようだ。
「なるほど、確かになかなか面白い技だが、そんな大道芸では俺に勝てんぞ?」
「やってみないとわからないじゃない」
「ふん、ならばもう一度俺からいくぞ」
「こい!」
「ハアァァァァァ!!!」
『マッドマン』は先程よりも強い力で殴りかかってきた。
「ぐっ」
私達はなんとか受け止めるが、あまりの力強さに押し負けそうになる。
「これでわかったろう?」
『マッドマン』はそう言い、とどめを刺そうとする。
「誰が分かったと言った?」
『マッドマン』の背後から声が聞こえた。
そこにはレイカがいた。
『マッドマン』が後ろを振り向こうとするが、それよりも早く『マッドマン』の顔面をレイカの拳が捉える。
ドゴォ!!
「ガハッ!」
そしてそのままレイカは追撃を加えていく。
「オラ! オラッ!」
「クソッ」
『マッドマン』は反撃しようとするが、上手くいかないようだ。
「今のうちに決めるよ!」
先ほど作り出した炎と水の球体を『マッドマン』に向かって放つのだった。




