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case2-3.


 それからレオハルトに客室を案内されて、来週までの生活を保障してくれた。



 部屋に入り、ずっと気になっていたことを聞いてみる。



「ねえ、ゾイはあなたがリオだってことは知ってるの?」


「いや、ほとんど顔を合わせたことはないからな。でも今でも俺はあいつが大嫌いだ。」


「…何で?何でメロウとステラはあんなに犬猿の仲だったの?」


「さあな。でも今この世界では王族と軍の間で派閥争いが起きているんだ。」


「派閥争ぃ??」



 どうしよう。そういう政治的なことに全く関与してこなかったから何も知らないわ。



 今このミクラントス王国では、策略家である第1王子側に立つ軍と、何でも武力で解決しようとする第2王子側に立つ王族側で意見が対立しているらしい。



 今の王位継承順位は第2王子が優勢らしく、もし第2王子が国王になれば、常に他国との戦争戦争で騎士団が潰されるのは目に見えているのだとか。



「ゾイの継承順位は3番目だが、王位を狙っていると思う。」


「え、ええ?!!そうなの??!」


「王族内部の人間によれば、派閥争いを唆しているのはゾイだと言われているんだ。」


「言われているって、そんなの根も葉もない噂じゃない!」



 因みに彼のいう王族内部の人間とは、王族専用の騎士、#近衛__このえ__#騎士にいる男のことらしい。昔彼は第3騎士団に配属されていたけれど、王族に魔力の高さを見初められて近衛騎士に引き抜かれたのだとか。



 でもゾイは私とずっと一緒にいた限りでは、王位を狙っている様子は全く見られなかったはず。



「…大体あんた、長い事ゾイの女だった癖に、あのミレーヌとかいう女との浮気を全く知らなかったんだろ?」


「う…」


「男なんてのは、すぐに感情で動く女と違って、ずっと腹黒い生き物なんだよ。」


「す、すぐに感情で動く女で悪かったわね!!」



 応接室で話していた時は貴族らしい振る舞いだったのに、部屋に来たら学園で出会った時同様、悪態をついてくるレオハルト。



 確かに私はミレーヌとのことなんて何も知らなかった…。


 王族に引けを取らない令嬢として、ゾイのために必死だったから。慣れない花嫁修業も沢山学んだ。苦手なダンスも足にマメとタコ両方できるくらい練習した。



 それが全部水の泡だったなんて、私は今まで何をしてきたのだろう。



 涙はもう流さないと思っていたのに、目の奥から溢れてくる。でもレオハルトには見られたくない。



「はは、ほんとバカよね私。前世でもメロウの姫だったのに会合なんて一度も参加させてもらえなかったのよ?だからあなたたたちが何で争っていたのかも知らないまま死んじゃって。転生先でも婚約者だったのに、そんな派閥があるなんて全く知らなかった。」



 口を開けて笑いながらベッドに倒れ込む。



 するとレオハルトがベッドの端に座った。



「…さっき、あんたのこと強すぎとか言って、ごめん。」


「…え?」


「馬小屋で泣いていたのは知ってる。…あんた前世でもじゃじゃ馬だったし、ちょっとあれ見た時は意外だった。」


「……」



 だめだよレオ様、今そんな風に言われると私、泣いちゃうよ。



「俺はあんまり女に慣れてないから、こういう時どうしていいか分かんないけど、好きに泣けばいいんじゃない?」



 その言葉で私の涙腺は一気に緩んでしまって、うつ伏せになってわんわん泣いた。


 レオハルトは始終おろおろしていて、でも少し泣き止んだところで頭を撫でてくれた。



 ああ、推しの優しさが憎い!







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