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『『『…』』』


『?』


『…よし…』


『よし?』


『これで全員、大体何が出来るかってのはわかったな。』


あ。ユージーも、結局、ヒナちゃんのモロモロについては見なかったことにするんだね。


(よし!)


『そうだね!うん!それで?これから、どうするの?』


問題は後回し。これが大人の対応。


『…』


おかしい。目の無いはずのマリちゃんから、蔑みの視線を感じる気がする、おかしい―


『…ステータス見てわかったことは、俺達には「レベル」が存在するってことだ。このレベルを上げれば強くなれるはず、だから、まずは、これを上げるのを優先しようと思う。』


『なるほど?』


『スキルについては、よくわからない部分もあるからな。意識共有以外のスキルが全員ばらばらなのは、恐らくこれが「称号」に紐づいてる「称号スキル」だからってことなんだろうと思う。これは、レベル上げしながら、各々確かめて…』


ユージーが言い淀んだ。ヒナちゃんをチラチラしてる。助け船助け船、


『えっと!確かめたり、確かめなかったりするんだね!』


『…そう、だな。封印、えーっと、しばらくは使わないでおいた方がいいスキルもあるから、当分は勝手にスキルを使うのは控えて欲しい。』


『わかった!』


ユージーが、ヒナちゃんと、それからマリちゃんの方をしっかり見て、


『…チーム戦、だと考えてくれ。俺を監督、とは言わないが、キャプテン、リーダーだと思って欲しい。』


『…嫌だって言ったら?』


ちょっと棘のあるマリちゃんの言葉にも、ユージーは頷いて、


『理由も言え。それで皆が納得がいけば、拒否してくれていい。ただ、基本、個人の意思よりもチームとしての利益を優先するって考えておいてくれ。』


『…わかった。』


『助かる。』


仲直り?ではない。だけどちゃんと、マリちゃんと会話を、対話をしようとしてるユージー。それが、自分の生存条件のためだとしても、「群」としての私達をまとめようとしてくれてる。


『…ユージーは、すごいね。』


『…何だよ、急に。』


『こんな状況になっても、ちゃんと皆のこと考えて、対応しようとしてるから。』


それだけじゃない、


『「ステータス」とか、「スキル」とかも。そういうの、調べて、見つけてくれたでしょ?私じゃ、そんなの気づけなかったし、何していいかもわからなかった。』


だから、ほんと、


『ユージーが居てくれて良かった。』


『やめろ…』


『やめないよ!本音だからね!実際、仕事の出来るスライム、ユージーにスゴく助けられてるよ?』


『マジでやめろ。そういうんじゃねえから。』


謙遜?でも、ないな。本気でイラついてる?何故?どこにそんな怒らせる要素が―


『こんなんは、俺の力じゃない。先人の知恵にあやかった、ただの飽くなきシュミレーションと弛まぬイメージトレーニングの結果だ。』


『はは。何それ。』


よくわからない、けどやっぱり、ユージーのおかけじゃないかと思った。でも、本当に居たたまれなさそうだったから、それ以上、深掘りするのは止めてあげる。代わりに、


『レベルを上げるって、何するの?』


『…俺達の、スライムって特性を活かせないかと思ってる。』


『ほほう?』


実用的な話に、平常運転に戻ったユージー。


『多分だが、俺達スライムは、食い物を選ばないんじゃないかと思ってる。だから、取り敢えずは食いまくる。』


『え…?』


『食う、というか、溶かして、養分を吸収する感じか?今のレベルじゃ、モンスターを倒してってのは無理だろうから、それこそ、草とか虫とかを見つけて、食う。』


『虫…』


『『…』』


いけるか?いけるだろうか?スライムだからな。いける、のか?


『…草でレベルアップなんて、出来るの?』


マリちゃんの指摘に、確かにって思う。たが、草なら。草ならいける気がするんだ。だから、草一択でも―


『レベルアップは厳しいかもな。まぁ、最悪、ただの栄養補給、上手くいけば、巨大化くらいは出来るんじゃないか、とは思ってる。』


『…』


無念。草じゃ強くなれないらしい。好き嫌いは駄目。バランスの取れた食事、大事。


『で、まずは、ここ。俺達が居るこの洞窟から始める。敵になるような奴が住んでないか確かめる必要もあるから、食い物を探しながら洞窟の中を一通り調べよう。』


『…了解。』


『んじゃー、俺のMPも少し回復したし、さっそく行くか。体感的には三十分くらいで2MP回復、したか?』


ウニョウニョと動き出すユージー。マリちゃんとヒナちゃんが続くのを待って、最後に続こうとしたら、ユージーに止められた。


『俺が先頭を行く。ヒナコとシノは真ん中入れ。マリカは最後尾な。』


『え?何で?私が一番後ろ行くよ?』


なんたって「おかん」ですし?最後尾でしょう、と思ったんだけど、


『…「回復」使えんのが、お前だけだから。お前が真っ先にやられたら困るんだよ。…マリカも、それでいいだろう?』


『…いい。』


(なるほど。)


そんなこと、考えもしなかった。でも、確かになーって納得はいったから、マリちゃんがそれで良いならって、ヒナちゃんと並んで歩きだす。


虫、居ませんようにって、お願いしながら。







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