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スライムクラスタ転生~異世界も みんなで渡れば 怖くない と思ったけど スライムだからナチュラルに死にそう~  作者: リコピン
第二章 人化成功(一部スライムを除く)、冒険者デビュー
89/149

3-17 ユージLv.10

拘束したリドをギルドに連行し、牢屋に放り込む、のかと思ったら、ギルドに牢屋は無かった。代わりに、鍵付きの部屋に放り込まれたリド。「ギルマスが帰って来るまで置いといてくれ」って言うおやっさんに対して、「誰が世話すんのよ?面倒を持ち込まないで!」って噛みつくサラさん。ボーッと見てたら、リドの面倒はおやっさんが見るってことで話がついたらしく、私達は解散、もう帰っていいぞってなった。


リドの、グリーディラットの繁殖疑惑も含めて調査しなくちゃならないことが増えたから、第三者、ギルドによる調査とかが入るらしい。大事になってきたなぁと思いながらも、おやっさんに言われるまま、おうちに帰ることにする。


『…あ。』


受付フロアに出たところで見つけた人間。いつもの、感じ悪いニヤケ面ではなく、今日はちょっと緊張気味、分かりやすくこちらをうかがっているポールが居た。たがら、ポールに向かって、


『ドヤァア!』


『…何やってんだ、お前。』


『渾身のドヤ顔だよ!あいつらの卑劣な罠なんて余裕で潜り抜けたってことを見せつけてんの!ついでに、あのバ、…思慮不足な彼を嘲ってんの!』


『…スライムにドヤ顔も何も…。伝わんねぇだろ。』


『バレないからやってんだよ!』


「そうかよ」って話を流してしまったユージーは黙々と歩いて、ポールのそばも何事も無かったみたいにして通りすぎてしまう。だから代わりに、私が肩で風切って、オラオラしといた。


ギルドを出て、宿への道を何となく黙ったまま歩く内に、そう言えばと思い出す。


『ユージー、あれは?』


『あれ?』


『スキルだよ、スキル。ユージー、レベル上がったんでしょ?ユージーなら、スキルも増えたんじゃないの?』


『…まぁ…』


『?』


いつもなら、レベルやらスキルの話には嬉々として答えてくるユージー。それが、この鈍い反応ということは、よっぽど使えないスキルだったのか。だったら可哀想ではあるけれど、それはそれでどんなスキルなのかが気になってくる。


『何のスキルだったの?教えてよ。』


『…』


『ユージー?』


『…』


『出し渋れは出し渋るほど、自分でハードル上げてるからね?私はもはや、どんな新スキルなのかワクワクし出してる、』


『送る。』


そう端的に言って、珍しく意識共有で直接送るというユージー。マリちゃんにアップしてもらうんじゃないのは不自然だなと思いながらも、送られてきた映像、スキル画面を確かめた。




―――――――――――――――

名前:ユージ

種族:スライム

LV:10

HP:100/100

MP:32/50

スキル:

 意識共有(スライム)

 開眼

 探知

 索敵

 暗視

 透視

 混乱

 睡眠

 麻痺

 石化

 new魅了

 ????

エクストラスキル:鑑定

称号:第三の目開きし者

―――――――――――――――


「魅了:任意の対象を魅了する」





『…』


『…定番だからな?』


『…』


『混乱、麻痺なんかと並んでド定番、よくあるやつ、だからな?』


『…ユージー。ユージーは、どこを目指してるんだろうね?』


『…』


もちろん、得られた情報は共有ってことで、マリちゃんには画像を転送しておく。ユージーは、マリちゃんにも同じような説明(いいわけ)をして、マリちゃんを激怒させてた。


(違う、違うんだな…)


魅了スキルの有用性やら、活用例を挙げてマリちゃんが「なるほど」ってなるわけないじゃん。そこは嘘でも「勝手に取得しちゃったけど、絶対使わない」とか、「使うなら、お前相手にだけだ」とか、そういうこと言っとかないと。


まあ、おかげ様で、ササクレ気味の気分に潤いが戻ってきたから良かったんだけど。


(…今日は、疲れた。)


日が落ち始めた街並み、ヒナちゃんと並んで歩く。傍目には黙々と、けど実際には、口ゲンカかしましい二人の背中を眺めながら―







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