1-7 ヒナコLv.1
その後、何とか、恐怖を乗り越えた私。
『あー、じゃあ、最後にヒナコのステータス見せて欲しいんだが…』
子ども相手は苦手だなぁ感を出すトラウマ製造機を、仕方ないので手助けしてやる。
『ヒナちゃん、嫌じゃない?見せてくれる?』
『…うん。』
ヒナちゃんは、素直。
『よし!じゃあ、まず、「ステータス」って言ってみて!』
『…「ステータス」』
疲弊した心が癒されるわー。
『オッケー、オッケー。何か、見える?テレビの画面みたいなの。』
『うん…』
『よしよし。じゃあ、その画面見ながら、その画面を「マリちゃんにマリちゃんにマリちゃんに」って、お手紙出してる気持ち?やってみて?』
『…』
コクンって頷いて、多分、そこにあるんだろう画面をジーッと見てる。可愛い。
『…来た、よ。ありがとう、ヒナちゃん。』
『やったね!ヒナちゃん!届いたって!』
『うん…』
良かった良かった。ナデナデしてあげたいなー。手が無いから出来ないんだけど。
『…アップした。』
『あ!出来たって!じゃあ、ヒナちゃん、一緒に見ようか?』
ピンクの大福が、また、コクン。
どれどれー?
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名前:ヒナコ
種族:スライム?
LV:1
HP:10/10
MP:5/5
スキル:
意識共有(スライム)
擬態
捕食
????
エクストラスキル:一生に一度のお願い!
称号:ょぅι゛ょ
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『…お、おう…』
『…』
『…』
あまりのアレっぷりに、どう対応すればいいのか。手に負えない気配に他の二人の方を向いたら、サって顔ごと逸らされた。
(ヤバイ…よね?)
特に「擬態」からの「種族:スライム?」の「?」がヤバイ。これが「捕食」に繋がる可能性は、うん、見なかったことにしよう。
『え、えーっと?ヒナちゃんの「称号」のところ、なんか、ちょっと変わってるね?フォントがおかしいのかなー?』
『…お前…』
そこじゃないだろう、というユージーの言葉の裏は読まない。気づかない。
『「ようじょ」?「おうじょ」?どっちかなー?あ!でも、ヒナちゃん、年長さんだもんね。うん!「ようじょ」って書いてあるみたいだねー。』
よしよし、これで終了、って思ったところで、ヒナちゃんの身体が、コテンて横に倒れて、
『…スキルの「しょうさい」?も、見せるの?』
『え?』
『…ユージお兄ちゃんが言ってたの、ヒナも見せるの?』
『…え?』
『…どうやったらいいか、わからない。』
『……え?』
こ、これは、見るの?見た方がいいの?
ユージーの方、確認したら、「やれ」って、顎でクイってされた。自分ではやらない黄色のスライム野郎に顎は無いけど。
『ん?うーん?そうだねー。ヒナちゃんに出来るかなー?出来れば、出来れば、でいいんだよ?』
『うん、やる。』
『えーっと、じゃあねー。「擬態」って書いてあるところを触れる?』
『「ぎたい」って、漢字のところ?』
『あ!そうそう!漢字のとこだね。まだ、ヒナちゃん、漢字は読めないかー!じゃあ、仕方、』
『触ってみる。…全部。』
『ん?んーーー?』
イイコ!ヒナちゃん、メッチャイイコ!頑張り屋さん!!
『…出来た、送ったよ…?』
『…』
『…』
ユージーが、今度は、マリちゃんにクイってしてる。マリちゃんの意識、覗いたら、
「名前:個を認識する言葉」
「種族:種を分類する名称」
「意識共有(スライム):種族、群れ単位で意識を共有する」
「擬態:ごっこ遊び。おままごと」
「捕食:ご飯を食べて大きくなる」
「称号:与えられた呼び名。称号スキルを得られる」
『っ!セーフ!ギリ、セーフ!!』
ヒナちゃんのスキルに、決定的な「ナニか」は見つからなかった。良かった。危ないところだった。
『…セーフ、なのか?』
ユージーのボヤキは聞かない。
食べて大きくなるのは「ご飯」。ゼリー(状の生物)は「おやつ」だから、食べても大きくなれない、だから、うん、セーフ。