表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムクラスタ転生~異世界も みんなで渡れば 怖くない と思ったけど スライムだからナチュラルに死にそう~  作者: リコピン
第二章 人化成功(一部スライムを除く)、冒険者デビュー
74/149

3-2 Side Y

依頼書に書かれていたジャイアントビーの巣。「入口入って直ぐ、道を逸れて川のある方に」との説明はあるのだが、地図を見ても、その川がわからない。仕方無しに「索敵」を使い、道を逸れた。


木立の中を進みながら、真後ろに居るシノに確認する。


「シノ、お前、モンスター図鑑でジャイアントビー、調べたか?」


「うん!ちゃんと見たよ!デッカイ蜜蜂なんでしょ?お尻の針に刺されると麻痺しちゃうって。でも、死にはしないって書いてあった。」


「ああ。」


依頼のランクもE、大した難易度ではないことは確か。ただ、その麻痺がどれほどの威力で、どの程度持続するのかは未知数。恐らく、相手と自分のレベル差も関係してくるのだろうが、本来なら、ソロでの討伐は危険な部類。針で死ぬことはなくとも、動けないところを他のモンスターに襲われればひとたまりもない。


「…シノ、余裕があれば、お前の『早く起きなさい(状態異常治癒)』、試すからな。」


「うん?刺されるってこと?」


「…わざわざ刺される必要はないが、もし刺されたらってことだ。一応、麻痺消しのポーションも買ってあるから、お前に余裕無さそうだったらこっちを使う。」


「らじゃ。」


自分やマリカの麻痺はシノのスキルでどうにかなるだろうが、シノが刺された場合、そもそもスキルを発動出来るのかもわからない。使えれば、それに越したことはないが。


「…あった。」


「どこ?」


三度目の索敵で見つけた、「敵」の塊。複数の気配が一ヶ所に集まっているその場所に、目視でもわかる巨大な巣。立ち枯れた巨木の(うろ)にはまりこむようにして作られた―


「あれ?あのデッカイ壷、…(かめ)?みたいなやつ?」


「…ああ。間違いない。中に、五十匹くらい入ってやがる。」


「えー?あれは蜜蜂じゃないよ!あの巣の感じはスズメバチ系!絶対、お花畑とかには居ないタイプ!」


まあ、確かに。巣の上部に開いた穴から一匹、二匹と出入りする蜂の様子は、その大きさも相まって不穏な空気を放っている。離れた距離からも視認できる大きさ、人の手のひら大の巨大蜂―


「…シノ、マリカ。」


「ウイ。」


「…なに?」


「こっから見える奴らのレベルは7から10。…恐らく、格上のレベル9や10の奴らには俺の麻痺やマリカの印象操作は効かない。」


「…どうするの?」


「シノの、水魔法でいく。」


「『手ぇ洗った?』するんだね?」


「…」


シノの、このふざけた名前のスキルについては未検証。万一の可能性を考えて、室内、人目のある場所での試し打ちはしなかった。だから、未だその効果は不明。思うとおりの効果が発動されれば、問題は無いが―


「…ジャイアントビーはそもそも水に弱い。羽が濡れると翔べなくなる。直接水で攻撃するか、巣を水攻めして弱らせてしまえば、群で襲われる心配はなくなる。」


巣の構造から、例え逃げられたとしても少数、逃げ出した奴らは一匹ずつ仕留めればいい。最悪、スキルの効かない場合は、麻痺覚悟での接近戦、ナイフで狩る。


「…シノのスキル次第なところがあるからな。一度先に、スキルを確かめる。試し打ちするぞ。」


「了解。」


「…最初は、出来るかどうかはわかんねぇが、なるべく出力弱めて、…力を抑えて発動してみてくれ。」


「ウイ。」


こちらの要求に頷いたシノが、距離をとる。皆から離れ、ジャイアントビーの巣とは反対の方向に向けて、


「『手ぇ洗った?』」


「…」


「…」


「…なるほど、そういう感じか。」


目の前の光景、発動したスキルは確かに水を生んだ。空中から、水が下へと流れ落ちる。ちょうど、捻った蛇口から水が出てくるように―


「…シノ、これ威力はもうちょっと上げれるか?」


「やってみる。…『手ぇ洗った?』」


「お?」


「ウギャア!跳ねる跳ねる!?」


威力が増した水、全開にした蛇口から勢い良く水が出てくるレベルに。地面に流れ落ちた水が大きく跳ね、泥混じりの水飛沫がシノの顔辺りまで跳んでいる。


「…まぁ、いいんじゃねぇか?攻撃魔法ってより、生成系の、水不足の時なんかに役に立ちそうなスキルだが、ジャイアントビーの巣を水没させんのには十分。」


「うん。あと、多分、もう少し強くは出来そう。バケツの水くらいなら。」


「へぇ、いいな。それくらい出せりゃあ、確実だろ。」


水を一気に流し込めれば、奴らが逃げ出す時間を奪える。


「…よし、やるか。」


ヒナコと、その側にバックパックを残し、シノとマリカを連れて巣の近くへと移動を開始する。奴らの、警戒範囲ギリギリまで距離を縮めて。


「…シノ、この距離から出せるか?巣の真上辺りで発動させて、穴に水を流す感じで。」


「うん。いける。…ただ、威力高めたら、穴から溢れないように流し込むのは無理かも。もっと、周囲ごとザバッていっちゃいそう。」


「…そうか。まあ、いい。だったら、なるべく威力を高めて、外れたり、巣が壊れたりしたら何発か連発、なるべく全員水に浸すようにやってみてくれ。」


「ん。わかった。」


シノの返事に、マリカを少し後退させる。


「マリカ、ヤバそうだったら人化してでも逃げろ。バックパックに麻痺消しポーションがあと二本入ってる。俺とシノがやられたら、頼む…」


「…わかった。」


返事をもらって、ナイフを構える。万一のポーションは、腰ベルトに。


「シノ、いいぞ、やれ。」


「…っ『手ぇ洗ったー!?』」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ