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頑張った。頑張って食べた。食べてる途中でユージーは草原へウサギを狩りに、マリちゃんはお昼寝ヒナちゃんを見守りながらカブ草を採取するって言うから、
「ユージー、一人で大丈夫なの?」
って聞いたら、
「…血抜き動画見たからな。多分、ナイフでなんとかなる。」
って、決意を見せて出掛けて行った。
そんなん見せられたら、なおさら私も頑張らなくちゃと思ってファイトしてたんだけど、普通に無理。鹿一頭丸ごととか、多すぎて普通に無理だった。
「…マリちゃーん。」
情けないけどギブです。外でカブ草探ししてたマリちゃんを呼んで、バトンタッチさせてもらう。
「頑張る」って、こちらも決意漲らせてるマリちゃんはスライムに戻ってお食事開始。頭部とか、お腹の辺りの「うっ」な部分は先に食べといたから、比較的食べやすい?部位しか残ってないと思うんだけど。
マリちゃんに「すまぬすまぬ」しながら、洞窟の外、ヒナちゃんの元へ。未だ起きる気配の無いヒナちゃんを確認して、カブ草を探してみる。マリちゃんが頑張ったおかげか、なかなか見つからないカブ草。それでも何とか一束分見つけた辺りで、ユージーが四体のウサギを手にぶら下げて帰ってきた。
帰ってきたユージーの気配に、ヒナちゃんが起き出したから、慌ててウサギを退避。ユージーをさっさと洞窟の中、マリちゃんのところへ追いやる。
完全に目を覚ましたヒナちゃんが元気いっぱいになったので、お手伝いをお願いすることに。リヤカーに放り込んだだけのカブ草を、短く切ったロープで束にしていく作業。ヒナちゃんの前に置いたロープとカブ草がヒナちゃんの傘の下にスルスルと消えていったのを見届けてから、自分の作業も開始する。ウニョンウニョンで造った手は、一応、五指あるんだけど、ウニョウニョだし、ツルツルだしで、実はこういう細かい作業には向かなかったりする。指紋大事。
悪戦苦闘してたら、マリちゃんとユージーが洞窟から出てきた。ユージーの手には、「灰鹿の毛皮」と「草原うさぎの肉」が。ヒナちゃんが作業に没頭してる隙に納品物をリヤカーに積み、しれっと合流してきたマリちゃんとユージー。四人で作業をしながら、今日の成果について話し合う。
「…鹿が3000で、ウサギが2000。カブ草が、…30束くらいはいく?かな?いったとして、3000。合計で8000かー。」
「宿代にはなるが、リヤカーのレンタル料とロープなんかの消耗品代を考えれば、まだ赤字、足が出るな。」
「うーん。ウサギを倍、あと四頭くらい狩ればなんとかなりそうだけど。」
「…いや、草原うさぎをこれ以上ってのは難しい。『索敵』と『麻痺』で最低でも2MP消費するからな。索敵も一発で見つかるわけじゃねぇし、今は一匹狩るのに大体、4か5はMP使ってる。」
「うーん。」
てことは、マリちゃんと組んで麻痺の代わりに印象操作を使うとしても、倍の数は難しそう。
「MP回復手段が無いのがいてぇなぁ…」
って、ユージーがボヤいているのは、パラドスの街で「マジックポーション」なるものが見つからなかったせいだろう。パラドスの街が小さすぎて流通していないのか、そもそもMPが回復できる薬なんて、「そんなおとぎ話みたいなもの」存在しないのか。
(本当にあったとして、買えるお値段なの?っていうのもあるし。)
結局、ユージーのスキル連発が難しい現状、やっぱり鹿?ってなるんだけど、
「…マリちゃん、鹿、一人で食べきれた?」
「ううん。無理。…ユージに手伝ってもらった。」
「だよね。」
あれは、乙女二人には無理な量。
「俺が足んとこ、…量でいったら、全体の五分の一くらいか?…それくらい食って、マリカが草原うさぎの毛皮、四匹分食ってる。」
「うー、これ以上食べるってなると、キツいよねぇ…」
かと言って、
(狩れるだけ狩って、お肉は食べずにポイってするのは…)
ヒナちゃんをチラ見、一生懸命、カブ草を束ねてる。
(…駄目、な気がする。乱獲、絶滅、動物愛護…)
葛藤しまくってたら、
「…食えねぇ分は持って帰るか。」
ってユージーがポツリ。
「灰鹿三頭くらいを目標にして、食いきれねぇ分の肉は持って帰る。俺らの夕飯と、それでも無理なら次の日の朝飯にすりゃあ、まあ、何とかなりそうだろ?」
「…うん。」
食事が現地調達から、逆テイクアウトに進化したけど、それで生活が成り立つなら、うん。
(…本当は、一日一食くらい、ユージーかマリちゃんに、ヒナちゃんと一緒に「ご飯」食べて欲しいんだけどな…)




