1-5 シノLv.1
『よし!次は、シノの番だな。シノ、ステータス画面の画像を、マリカに送れ。』
『りょうかーい。』
ステータスを唱えて、目の前の画面を凝視して念じる。
マリちゃんにマリちゃんにマリちゃんにマリちゃんにマリちゃんにマリちゃんにマリちゃんにマリちゃ、
『…もう届いたし、アップした。もういらない。スパム行為やめて。』
『…ごめん。』
『…さっさと、確認するぞ。』
私も、さっきは目が滑った自分のステータス画面を確認する。
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名前:シノ
種族:スライム
LV:1
HP:10/10
MP:5/5
スキル:
意識共有(スライム)
早く起きなさい
ご飯よー
????
エクストラスキル:この子のためなら死ねる
称号:おかん
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『…』
『…』
『…いや、まあ、なんだ。ツッコミどころ多すぎだけどさ…』
何?何なの?言いたいことがあるのなら、
『「称号:おかん」ってw』
『っブフッ!』
『あ!マリちゃん笑った!今笑った!ヒドイ!』
ユージーも声が笑ってるけど、マリちゃんは噴きだした。ピクピク、プルプル震えてる。
『ッグフッ!やべぇ、笑えるw』
ユージーまで!プルプルし出した!
『ちょっと!私が本当に誰かの「お母さん」だったかもしれないでしょう!覚えてないけど!』
『え…?』
適当に言ってみたら、マリちゃんが真に受けて固まってしまった。イイコだ。
けど、まあ、何となく、「母親」ではなかったと思う。だって、もし子どもがいたら、絶対に忘れないし?自信あるし?
『あー、マリカ、心配すんな。この称号ってのは、職種や役職とは違うから。「おかん」ってのも、あだ名みたいなもんだろ。お前だって、「インフルエンサー」じゃねーし、な?』
『…まあ、そう、だけど。』
ユージーがフォローしてくれたけど、思った以上に、マリちゃんが気にしちゃった。申し訳なく思ってたら、
『…シノちゃんは、お母さんじゃないよ。』
『ヒナちゃん?』
『…お母さんじゃない…』
ふむ、なるほど、これは、
『ヒナちゃんは、やっぱり、私のこと知ってるの?』
『…』
うん、黙っちゃったか。言いづらい?それとも、そういうヒナちゃんの願望?どちらにせよ、
『「私がお母さんじゃない」のは知ってるんだ?』
コクリって、はっきり頷かれちゃったから、
『そっか、そっか。ヒナちゃんが言うなら、きっとそうだね?私はお母さんじゃなかった!』
多分、きっと、本当に。まあ、わざわざヒナちゃんの言葉を否定する根拠もないし、
『…シノ、スキルの詳細も見せてくれ。』
『はーい。』
ユージーの言葉に乗っかって、サラッと流す。マリちゃんの意識に繋ぎっぱなしのまま、開いたスキルの説明も送った。
それが、直ぐにアップされて、
「早く起きなさい:睡眠、気絶、麻痺を治す。消費MP5」
「ご飯よー:HPを少回復。消費MP5」
『…ふざけた名前のわりには、まともなスキルだな。』
『おかんだからね!』
色々、考えてるんじゃないかな?子どものために、出来ること。
『…MP貧弱過ぎて、一発しか打てないのが難点だけどな。MP回復時間も調べとくべき、か…』
『調べるの?今?』
聞いてみたら、ユージーはプルプル横に震えて、
『…万一、今、襲われたらって考えて、温存しておくべき、だと思う。』
『うん、わかった。』
ユージーは、色々考えてる。その真剣さが―自信満々じゃない―迷いっぱなしの言葉に見えるから、安心する。