1-4 マリカLv.1
『一つだけ、まだマシ…ラッキーだったのは、俺達が「群れ」だってことだ。一匹じゃ激弱でも、集団なら出来ることが増える。』
ふむふむ。数の暴力ね。四人しかいないけど。
『で、さっき、軽く一通り、何が出来るか調べてみたんだが、お前ら、「ステータス」って唱えてみろ。』
『ステータスッ!!』
『っ!?うるっさい!』
お腹の底から声だして叫んだら、え?マリちゃんに怒られた。だって、ユージーがやれって。
『…黙ってやれ、心ん中で唱えろ。』
『…はい。』
まあ、もうさっき叫んだ時点で、何か出てきたんで、もう唱えませんけどね。空中に浮く半透明の板を覗き込む。
『…ユージー先生、これ何ですか?』
『ステータス画面、自分のレベルとか、強さとかがわかる。まあ、そういう何かだ。ゲームとかでよくあるだろ?』
『よくわかりません!覚えてません!』
『…マジかよ…?』
『…で、これが、何?』
マリちゃんが、無視して進める。マリちゃん、自分の目の前を見てるみたいだけど、そこには何もなくて、
『先生、マリちゃんのステータスが見えません!』
『ああ、他人のは見えないみたいだな…』
言って、考えこむユージー先生。生徒の質問に、真摯に向き合う黄色のプルプル。
『…ステータスの「スキル」んとこに、「意識共有」っての、あるだろう?あるよな?』
『どこどこ?』
字がズラズラーって並んでて、どこにあるのか。ああ、でも、これ、日本語だ。探してたら、先にマリちゃんが見つけた。
『…ある。』
『「種族、群れ単位で意識を共有する」なんて不親切過ぎるスキル説明しか見れないが、この「意識共有」って言うのが、多分、俺達の会話、今、こうやって言葉を伝え合ってる能力なんじゃないかと思う。』
『…どういうこと?』
『「音」で言葉を伝えるんじゃなくて、直接相手の意識に話しかける、って感じか?パッシブスキルっぽくて、オンオフもきかねえから、確証はないが。』
テレパシーか!てことは、
『つまり、さっきから私達は無言でウゴウゴしてる集団ってことですか!?』
『…まあ、傍から見りゃ。』
シュール。いや、おしゃべりしてるスライム集団も、それはそれでシュール。
『で、可能性、の話になるが、これを、映像でも出来ないか、と思ってる。』
『?』
ユージーが、ちょっと何言ってるのかわからない。マリちゃんが、助け船を出してくれる。
『…スマホで、写真送るみたいに?』
『ああ、うん、そうだな、そんな感じだ。出来るか?』
『…やってみる。』
マリちゃんがそう言って、待ってたら、
『あっ!何か、見えた!』
『よし!』
ユージーが喜んでる。プルプルとかじゃくて、ウニョーンウニョーンって。はしゃいでんなー。マリちゃんが、ジーッと見て、
『何でそんな喜ぶの?』
『絵も字もかけないスライムなんだぞ?情報を共有出来る手段があるってのはラッキーだろーが。』
『ふーん…』
『って!ああ、くそっ!消えた!』
本当だ。マリちゃんのステータス画面、頭の中にあったのが、消えちゃった。部分的には思い出せても、さっきの鮮明な画面みたいなのは無理。
『…駄目だ。今の何秒くらいだ?十秒持たないってことか?』
また、悩み始めたユージー先生。
『…マリカ、お前、ステータス画面見続けろ、そんで、送り続けてくれ。』
『…』
また、現れた画面。マリちゃんは、ユージーに言われたことをパパッとやれちゃう。出来る子。
『よし、今度はいけそうだな。』
『…これ、いつまでやるの?』
『ちょっと待て。今、お前のステータス見るから。良いっていうまで、続けてくれ。』
ユージーがそう言って黙り込んじゃったから、私もマリちゃんのステータスを見る。
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名前:マリカ
種族:スライム
LV:1
HP:10/10
MP:5/5
スキル:
意識共有(スライム)
フォロワー獲得(0)
写真投稿(0)
動画投稿(0)
????
エクストラスキル:印象操作
称号:インフルエンサー
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『マリちゃん!インフルエンサーなの!?』
目に飛び込んで来た単語がそれだった。スゴいな、最近の子は、って思ったら、
『…違うよ。そんなわけないじゃん。』
『えー?でも、書いてある…』
もう一回見た。二度見。間違いない。
『…この「称号」ってのが、何を指すのか、正確にはわかんねーから置いといて、マリ、スキルの詳細見せてくれ。』
詳細って何だ、と思う間もなく、何か出た。
「フォロワー獲得(0):フォロワーを獲得する」
「画像投稿(0):静止画を皆に見てもらう」
「動画投稿(0):動画を皆に見てもらう」
『…』
ちょーっと、端的に過ぎるんじゃないかなー?って思うのは私だけなんだろうか?
『エクストラスキルの「印象操作」は、グレイアウトしてるのか。使用条件かレベル制限があるんだろうな。詳細が見れないのは痛いが…。マリ、俺に「フォロワー獲得」使ってみてくれ。』
『え?でも…大丈夫なの?』
何か、ユージーはサクサク進めてるし、マリちゃんは躊躇ってるし、
『いいから、やってみろ。』
『…やればいいんでしょ!?』
あ、マリちゃんの「フォロワー獲得」の横の括弧が、(0)から(1)になった。
『…で、ステータス画面を「投稿」して、ステータス画面を意識共有するのは止めてみてくれ。』
『…アップした。』
『…見れる、な。静止画、写真みたいな感じか?スキルの詳細は…開けない。画像だからか?…シノ、お前、何か見えるか?』
『何にも…』
見えなくなった。
『マリカ、シノとヒナコもフォロワー承認して、ステータス画面上げ直してくれ。シノとヒナコは、そうだな、何て言うか、目を閉じて、マリカの意識をのぞく?みたいな気持ちで、マリカが上げた画像を見れるか試してくれ。』
よくわからん。わからんが、私はマリちゃんの心を覗くのね?女子高生の心の内を!
『…あー、何か見えたかも。ヒナちゃんも見える?』
『…うん。』
「フォロワー獲得」が(3)になってる。
『…いつでも情報にアクセス出来るのはいいな。マリカのMPも減ってないし。あとは投稿出来るデータの容量問題はあるかもしんねーけど。』
『…こんなの、何の役に立つの?』
『はあっ!?メチャクチャ役に立つだろうが!』
『!?』
ビックリした。何か、ユージーが急に熱い。マリちゃんの一言に、理由のわからない滾りを見せている。
『仕事すんのに!って、それじゃわかんねぇか。あーっと、学校でもそうだろう?あー、ノートとってりゃ、授業全部覚えてなくてもいいし、ノート回し見すりゃ、授業出てないやつも助かるだろ!』
『…意味、わかんない。』
うん、私もよくわからなかった。
ただ、まあ、とりあえず。メチャメチャ有用ってことを言いたいんだなってのはわかった。多分、マリちゃんも。