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スライムクラスタ転生~異世界も みんなで渡れば 怖くない と思ったけど スライムだからナチュラルに死にそう~  作者: リコピン
第二章 人化成功(一部スライムを除く)、冒険者デビュー
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1-6

まあ、見た目はどうあれ、ですよ。


ユージーの人化には素直に感動したし、続いて、マリちゃんも人化に成功したのを見て、「おー!」ってなった。


二人があっさり術を成功させたことにブラウもいたく感心してたから、やっぱり、前世人間っていうのは強みなんだなと、フムフム頷きながら、目の前の美少女を観察し続ける。


「…何?」


「いやー!可愛いなって思って!」


そう!目の前、さっきからあんまり視線を合わせてくれない人型マリちゃんは、まさかの黒髪ロングストレート美少女だった!しかも、ちょっと清楚系の。マリちゃんの言動から、もっとツンツン系のツリ目少女くらいを勝手にイメージしてたのに、これは見事に裏切られた。メイクもしてないのにお肌もツヤツヤ、綺麗。


『…マリちゃんって、ひょっとしてイイトコのお嬢様だったりする?』


『全然、違うし。』


ブラウに聞かれないよう、通訳スキルをオフにして、コショコショっとおしゃべり。マリちゃんにはフイッて顔逸らされちゃったから、ユージーに話をふってみる。


『ユージー、ユージー、マリちゃんに見覚え無いの?こんな可愛い子が同じバス利用してたら、普通!絶対!気づくでしょ?』


『あ?…いや、俺、通勤中はスマホ見てるしな。見覚えとかあんま無い…、てか、周りの人間のこととか、普通、そんな見るか?』


『OMG…』


どうしようもない返事が返ってきたので、もう、いいや。諦めて、今度は自分の番だと、ブラウに人化の術のお手伝いをお願いして、挑戦してみた。


が、普通に失敗―


諦めきれずに続けざま十回挑戦してみたけど、結果、人化は一度も成功することなく、というか、成功の気配さえ感じられなかった。


「っ!何でー!?何でなのー!?」


「まぁ、そうかもな、とは思ったが…」


「シノさん…」


ぶっちゃけ、自分でも敗因はわかってる。私には人間だった頃の記憶が無い。だから、「人」である自分の姿を思い描くことが出来ず、魔力で造りあげたい形がわからないのだ。


(わかってる。わかってる、けど…)


「っ!まだだ!まだ終わらんよ!形が定まっていないということは、これからいくらでも好きに出来るってこと!可能性は無限大!妖艶美女だろうが、小悪魔ジェ、…美少女だろうが、成ろうと思えばいくらでも!」


「成れねぇよ。無駄な努力してねぇで、もっとマシな解決方法を考えろ。」


「ぐぬぬ。」


「ふむ…。シノの場合は、それなりに修練が必要らしいな。魔力の流れに一貫性がなく、好き放題に魔力が動いておる。魂に添う形が想像出来ておらんのだ。」


「修練、練習ってことか。…練習、練習…」


練習するならイメージは統一しないと。可能性高いのは妖艶美女。でも、ワンチャン、小悪魔JKあるんじゃないか?十代の肌、張りと艶、ブツブツ呟いてたら、ユージーに憐れみの目を向けられた。


「…まあ、お前が人化できなくても、俺とマリカが側にいりゃあ狩られることも無いだろうから、そこまで問題無いだろう。…気長にやれよ。」


「…」


無茶すんなよって、幻聴が聞こえた気がする―


「…後は、ヒナコをどうするか、だが…」


悩み始めたユージー。視線の先には、大人しく一人遊びをしているヒナちゃんの姿。あれは?石積み?してんのかな?可愛い。折れた心が癒された。


ヒナちゃんに人型をとらせるべきかどうか。方法としては可能そうだけど、「前世の自分」を思い出す作業がヒナちゃんにどれだけの負担になってしまうかわからないのは不安だ。だって、多分、私達は一度死んでるから。


私も人化できない以上、そこまでしてヒナちゃんに人型をとらせる意味も無いように思えるし、


「ヒナコとは、あちらのピンクの個体のことか?」


悩むスライム集団に、横からブラウが口を挟んできた。


「アヤツなら、人化するまでもないであろう?擬態を解けば、」


「ッギャァァァアアア!?」


突然、不穏なことを言い出した爺さんを全力で遮る。


「擬態言うなし!ヒナちゃんはスライムなの!あれが正しい姿なの!」


「何を言っておる。…『モンスター図鑑』にも『スライム擬き』については記載があったであろう?読んでおらんのか?ノアから書を奪ったは、知識を得るためかと思っておったが、」


「あーあー!聞こえない!聞こえなーい!」


「シノ、うるさい、落ち着け。ガキみたいなことしてんじゃねぇよ。」


セルフジャミングしてたら、普通に怒られた。


「ブラウ、すまん。ヒナコは、あー、何てぇか、俺らの仲間なんだよ。俺らの中では、アイツはスライムだ。…人化については、まあ、おいおい考えてこうとは思ってるが…」


「ふむ。まあ、良い。アヤツの扱いは群れで判断すべきこと。確かに、我が口を出すことではないな。」


「…助言には感謝する。覚えとくよ。」


「礼には及ばん。ああ、だが、そうであった。お主ら、『モンスター図鑑』と『カグサタス』、ノアが置いていった剣をどうした?」


「あ?…あー、図鑑の方は、この間の襲撃で焼けちまったが、剣の方は、…食った。」


「は…?…食った、のか?『カグサタス』を…?」


「…ああ、まあ…」


「…」


ブラウが沈黙して固まった。その空気に、ユージーもヤバかったかなぁって思ってるみたい、見つめ合うオッサンと美少年。ある意味、ただならぬ空気が漂っている。取りあえず、私は関係ありませんの顔で修羅場(予定地)から、そっと遠ざかっておいた。







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