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4-8

「シノ!?シノ!?」


呼ばれる名前。痛みに、意識が無理矢理に覚醒する。熱が引いた身体、だけど、痛い。すごく痛い。


「落ち着け、ノア。契約の無いモンスターに癒しの神の祝福は届かない。」


「…テイムする。」


「…死ぬぞ?」


「このままでも死んじゃうからね。やらないより、マシ。」


「…」


あの人の声が聞こえる。助けに来てくれた?間に合った?ヒナちゃんは?


『…ヒナちゃん、ヒナちゃん、ヒナちゃん…』


聞こえない。返事が聞こえない。ああ、嫌だ。だめ、そんなのだめ。


「…ごめんね?苦しいとは思うけど、頑張ってみて?」


『っ!?』


(何!?イヤ!!)


突然、放り込まれた暗闇。


恐い恐い恐い恐い恐い。


(嫌だ嫌だ嫌だ!)


這い上がってくる恐怖。死ぬのも、熱いのも、痛いのも、恐かったけど。だけど、同じくらいもっと、恐いものがいる。暗闇の底、こちらを見ている何か。アイツだ。アレだ。前と同じ―


(恐い、嫌だ、恐い、ああ、けど、だけど…)


ヒナちゃんが、ヒナちゃんが待ってる。ヒナちゃんのとこ、行かなくちゃ。ヒナちゃん、どこ?ここじゃない?違う、ここじゃない。


出ていかなくちゃ。こんなとこ、出ていかなくちゃ。


あそこ?あの、下?何かいる、あそこが出口?あそこから、出られる?ああ、なら、


(行かなくちゃ…)


暗闇に潜る。


あの地の底から、ヒナちゃんの場所へ。浮上してくる巨体、近づいてきた生き物が、こちらを見ている。碧い瞳が、私の何かを確かめ、そして、通りすぎていった。


地の底、金色に光る穴を潜り抜けて―


「やった!」


「…?」


(やった?何が?)


「シノ!僕の言葉わかる?ああ!でも、その前に『回復』!」


「!?」


温かい、身体が、元に戻って―?


「ああ!ごめんね?また無理にテイムしちゃったね?」


「テイム…」


「うん、そう、ごめん。回復してあげたかったからさ。ちょっと強引にやっちゃったけど、間に合って良かった。」


「…ヒナ、ちゃん…」


痛みも苦しみも、もう無い。だけど、まだ朦朧としてる頭で、必死に探す繋がり。ユージー、マリちゃんも、皆の意識。消えかけてる、でも―


「あー、他の子はちょっと無理そうかな?もうほとんど、核も止まりかけてるみたい。シノは何とか間に合ったけど…」


「…助けて、くれた?」


あなたが?


「ああ、うん、そうだね。僕が君を助けたよ?」


「…」


(助けて、くれた…)


この人が。この人のおかげで、助かった―


「っ!ありがとう!ありがとうありがとう!」


間に合った。間に合ってくれた―


嬉しくて、本当に嬉しくて、目の前の身体に必死に抱きつく。


「うわ!こんなに喜んでもらえるなんて、何か、感慨深いなぁ。」


「ありがとう!ありがとう!ありがとう!」


「うんうん。わかった、わかった。」


(ありがとう!)


伝えきれないくらいの感謝、あなたのおかげ。本当に、本当に、ありがとう。言葉にし尽くせない感謝を、もっとたくさん伝えたい、伝えたかった。だけど、全部伝える時間が足りない。


「本当に、ありがとう!」


それから―


「ごめんなさい。」


「え?」


戻ってきた視界、転がる皆の、動かない身体。はっきりと自覚する。


今なら、わかる、


私は、


()()()()()()()()()()()






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