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3-8



そんなこんなで、あまりに突然だった初異世界人との遭遇は―死ぬほど恐怖させられたけれど―時間が経つにつれ、「結果、良かったんじゃない?」と思えるようになっていった。


何より、三人のレベルが上がったあの日から、我々のご飯がゴージャスになったのだ―


種類が少し増えて、たんぱく質が多くなった。この前はカラス?みたいな黒い鳥を丸ごと、ユージーが持ち帰った。私がかけた「速度強化(ちこくするわよ)」と「物理防御強化(いってらっしゃい)」を使って、飛んでくるところを丸のみ、圧迫、窒息コンボを決めて帰ってきたらしい。正に、飛ぶ鳥を落とす勢い、恐い。


突然のお土産(カラス)は、流石に抵抗があったので、ユージーが一人で美味しくいただきました。


狩り組のユージー達だけではなく、私もそこそこ強くなったので、MPに余裕がある時は、ヒナちゃんを連れて洞窟の外、入口を出て直ぐのところで遊ぶようになった。ヒナちゃんは、今まで我が儘一つ言わずに、ずーっと洞窟の中だったから、少しはお日様に当たらせてあげたい。


そんな、ちょっとほのぼのな日が続いてる中、押し付けた図鑑を、ユージーはMP余った時に読んでるみたい、なんだけど。


『ユージー、恐い。』


『…』


開眼して、図鑑の表紙だけを凝視する茶色の塊。ヒナちゃんには、ちょっと見せたくない光景。あまりの光景に、血走った眼にビビりながら、話しかけた。


『…何してるの?』


『読んでる。』


『?』


『…()()で中を見て、鑑定で読んでる。これが、()()の正しい使い方だ。』


(お、おう?)


これは、ドヤァ!ってことだろうか?ユージーじゃ、ページ捲るの大変だから、まあ、わからなくはないけど、透視をいじったこと、まだ気にしてたのかな?大人げない。


あ、眼閉じた。そんな、血走るほど凝視しなくても。そもそも、


『面白いの?』


『面白い。お前らも。絵だけでも眺めとけ。そんで、教えてやるから、ちょっとずつ、字を読めるようになれ。』


『えー?』


『シノ、ちょっとページ捲ってくれ。』


はいはい。ご要望にお答えして、適当なページをペロンって捲ったら、


『これが、「毒」って文字で、こっちが「麻痺」。後は石化とかもありそうだから、それは読めるようになったら教える。今後のために読め。』


『えー、ユージーが翻訳してマリちゃんに画像上げて貰ってよ。』


『…お前。』


目鼻は無いけどわかる。凄い顔で見られてる。それから、


『あ、いや、そうか、そうだな…』


『?』


何か思いついた?らしきユージーが、嬉しそうに揺れて、


『マリカ!ちょっと手伝え!』


『…なに?』


ユージーの眼から距離を取ってたマリちゃんが呼ばれて近づいてきた。


『図鑑のページ、一旦全部アップしてくれ。で、俺がそれ見て翻訳出来た分を送るから、そのタイミングであげ直してって欲しい。』


『…いいけど、何ページあるの?』


マリちゃんの言葉にペラペラ捲ってみたけど、


『ページ数は書いてないねー。厚さは、体感で五センチくらい?』


『よし、やれ。シノはページ捲ってやって。』


『えー。』


と言いつつも頑張った。真面目にこなすマリちゃんの手前、サボるわけにもいかず全ページ。ヒナちゃんに見せられない自主規制ページが無かったことには安堵した。後、人魚とかハーピーが可愛かった。


『よし、んじゃ、スライムのページは翻訳版あげとくからな。ちゃんと見ろよ?他は翻訳できた分から随時更新だから、こまめに確認しろよ?』


『はーい。』


『…これで、図鑑持ち運ぶ必要は無くなったし、外で確認したい時に助かるな。後は、画像投稿に容量制限があるのかが不安だが…』


『制限って前も言ってたよね?それはつまり、どうゆうこと?』


『マリカのステータス画面には画像の枚数しか表示されないみたいだが、上げれる容量に限度があるかもしれないって話だ。』


ほう?つまり?


『…「何ギガまで」、とか、そういうの?』


『ああ、なるほど!保存出来る写真の数に限りがあるってことか!』


マリちゃんの補足に漸く理解が追い付いた。


『まあ、そんな感じだ。ただ、そもそも、画像を何処に投稿しているのかって話なんだよな。他にマリカと同じスキル持ちがいるのか?何処かサイト、サービスにアクセスしてる?それだとセキュリティ的に恐いな。究極、マリカが自宅サーバって可能性も…』


『ちょっと、何言ってるかわかりません。』


『…まあ、とにかく。限度があると仮定して、無駄は極力無くしたいってことだ。』


『ふむ?』


無駄っていうのは、この場合、何を指して?


『マリカ、タグつけてくれたんだな。この、「草分類」はいいな。凄い使える。お前が上げたんだろ?』


『…別に。ヒナちゃんが外に出る時、毒草とか間違えたらいけないと思って…』


プイッてするマリちゃんにニヤニヤする。


『ただ、な、その…』


ユージーの視線がヒナちゃんをチラチラと見て、


『この、「わたしがかんがえたかわいいいきもの」?この、よくわからんカテゴリーの生き物の映像は消してもいいか、ヒナコ?』


『…私じゃない。』


『はい!私が上げました!』


『お前かよ!?』


ユージーの突っ込みに、元気に頷く。


『だって、可愛いじゃん!家で飼えないから、せめて映像で癒されたい!』


『…かわいいの、好き。』


『別にいいじゃん。容量制限引っ掛かったら消すから。』


『お前らなー。』


ユージーが止めて、突っ込んで。マリちゃんやヒナちゃんが味方になってくれて、ユージーがため息ついて。


死と隣合わせ。弱すぎて死にそうだけど、まあ、愛しいと思えるこんな毎日。







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