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2-8



ユージーとマリちゃんのおかげで食料問題が解決し、ヒナちゃんはスクスクと順調に育っている。…多分。


半透明なのに中が見えないという謎仕様のヒナちゃん本体は見えないから、想像力で補うしかないのだけれど、元気そうに動き回っているから、多分、大丈夫。


そのヒナちゃんが、更なる成長に繋がるであろうお昼寝を始めたので、「暇だな」と洞窟の入口近く、手慰みで時間を潰していたら、何か、ユージーとマリちゃんの二人がスゴい勢いで帰ってきた。しかも、激しく言い合いをしながら。


ナンダナンダと近づいてみれば、


『っ!だから!もう良いって言ってるでしょう!?』


『はぁ?何が良いってんだよ?』


『っうっさい!』


『だから、何でそんなキレてんだって聞いてるだけだろうが?』


言い合い、というか、マリちゃんが一方的に怒っているらしい状況。


『ユージがあんなことするからでしょう!?』


『あのなぁ、俺は自分の核はきっちり守れる自信があったからやっただけで、』


『私だって!』


『無理だろ。お前、そんな薄っぺらい身体なんだから、やるなよ?絶対無理だからな?危なっかしい真似すんじゃねーぞ。』


『っ!?』


(ん?あれ?これ、マリちゃん、怒ってるってわけじゃ…。どっちかっていうと…)


『あ!おい、マリカ!』


『…』


ユージーと、ついでに最初から最後まで存在を無視された私を置いて、マリちゃんは洞窟の奥に入っていってしまった。その背中を見送って、


『ケンカ、…じゃないよね?』


置いていかれた仲間のユージーに、頭に「?」を浮かべて聞いてみたら、


『ああ、まあ、ちょっとな、っ!?て、何だ、お前!その頭!?』


ユージーが驚愕の眼差しで私の頭、の上を見て叫んだ。そこには当然、「?」が。


『おま、お前、頭のそれ、なんだ?』


『…身体の一部です。』


頭にくっついてウニョンウニョンしている水色の「?」を「サムズアップ」にしてみた。


『…マジかよ。てか、どうやったら、んなこと出来んだよ。』


『え?普通に?頭の中で、粘土工作するみたいに?』


『………、って、デキねえよっ!』


『えー?』


『ちょ、お前、鑑定するから、スキル見せろ!』


『!?やだ!』


恐ろしいことを言い出したユージーに、ウニョンウニョンを速攻で引っ込めた。


『チッ!ああ、んじゃ、ステータス画面でいいや、こっちに送れ。』


まあ、それならいいかと頭の上で「OK」サインを作る。


実は、自分でも久しぶりに目にする「ステータス」画面。うん。いつの間にか、スキルが増えてた。


―――――――――――――――

スキル:おかんアート

おかんの創作能力、またはその作品群。久しぶりに帰った実家で増殖していることがある。たまに恐ろしいクオリティの作品が生み出される。

※おかんが突然目覚めるやつ

―――――――――――――――


『…』


『…』


ウニョンウニョン。


『…アート?アートか?』


ウニョンウニョン。


『…おかん称号のスキル、なんだろうな…多分。』


『うん?』


それで一応、私のスキルに納得したらしいユージー。なので、先ほどのマリちゃんの言葉について、改めて突っ込んでみた。


『で?ユージーは、マリちゃんにどんな「あんなこと」して怒らせたの?』


『…何か、言い方に悪意を感じるんだが。』


『気のせいだよー。ユージーの疚しい思いが、そう感じさせてるんだよ。…で?何があった?』


『…まぁ、ちょっとヤバめの敵にあってさ、マリカが狙われちまって。やられねぇよーに、俺が、その、なんつーか、アイツ庇う形になったんだけど…それがどうも気に食わなかったらしくてさ。』


『庇うって?無茶したってこと?』


『あ?いや、ただ、マリカの核がやられねぇよう、俺の身体でマリカを、こう(くる)む感じで…』


『んんー?』


(これは、うーん、どうだろう?)


ユージーとマリちゃんが両方ともスライムなせいで、非常に分かりにくい絵面ではあるけれど、「おっさんが女子高生を身体張って庇う」図に何とか脳内変換して、更にそこに「体格差」を加えれば―


「俺は自分の核も守る自信あったんだよ」とか、「マリカじゃ、身体が薄すぎて不安だろ?」とか、マリちゃんの怒り?照れ?のポイントが分かってなさそうなおっさんは、もう、放っておくことにした。


結論、


『…ユージーって、モテなかったんだろうなー。』


『はっ!?ちょ、待て。何だ、その突然の悪口!?』


あ、しまった。意識共有(くち)に出してたみたい。







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