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『はい!では、まず、マリちゃんが隠してるスキルって何ですか?』


一瞬だけ、躊躇ったマリちゃの答え。


『…「印象操作」、使ったの。』


『印象操作、えーっと、前見た時は使えなくて、どんなスキルかもわからなかったスキル、だよね?』


『うん。』


『使えたんだ?』


『…うん。さっき、森でユージが鳥に襲われて、』


マリちゃんがサラッと口にした言葉に、ドキリとした―


『ユージが食べられちゃいそうだっから、「ユージは食べちゃ駄目だ」って鳥に向かって、念じたんだけど…』


『ふむ?』


よし、よくわからない。鳥がユージを食べようとして?食べちゃ駄目だって、言い聞かせた?みたいな?


『…印象操作って、「対象に任意の印象を与える」っていうスキルらしくて。だから、ユージを食べようとした鳥に、「ユージは食べたら駄目な生き物だ」って思わせたの。そしたら、本当に襲うの止めて飛んで行っちゃって…』


『えー!すごいじゃーん!』


ユージーを餌だと認識していた鳥が、ユージーは餌じゃないって錯覚?するようになったってことは、それはつまり、襲われたり、食べられたりする危険が無くなるってことで、つまり、すごいんじゃない!?


『え?あれ?でもじゃあ、何でそれ、ユージーに教えたくないの?スゴいスキルだと思うから、ユージーに教えたら喜ぶだろうし、色々、使い道とか考えてくれると思うんだけど?』


『…』


『…ユージーが信用出来ない?』


『違う!そんなことない!』


うん、知ってた。言ってみただけ。否定するマリちゃん、必死だな。可愛い。


マリちゃんがまた、言いづらそうにしながら、


『ただ…、その、ユージにも、印象操作、使ったことがあるから…』


『ん?…んん?』


おっとー。お母さん、なんか、娘の不穏な発言を聞いてしまったぞー。


『…ユージと私って、第一印象最悪だったって、ユージが言ってたでしょう?だから、それを、後悔っていうか、やり直したかったっていうか…』


『はぁー、なるほど…』


それから、ちょっとモジモジしてたマリちゃんだったけど、徐々に話をしてくれて、


『ユージってさ、虫、ずっと食べてるよね。スライムだからって、際限無く食べれるわけじゃなくて、ご飯、ある程度食べたら、苦しくなるし。私、っていうかシノさんもだと思うんだけど、「お腹いっぱい」っていう感覚、普通にあるよね?けど、それでもあいつ、食べ続けるでしょ?』


『うん。』


フードファイターみたいだよね?


『虫、平気で食べ続けて、一人で大きくなるし、レベル上がってるし。…だから多分、あいつ一人なら、まだ外に出る必要なんて無かった。っていうか、出るつもり無かったと思う。…けど、ヒナちゃんのためなら、あっさり出るし。』


『…うん。』


それはもう、本当に、感謝しかない。


『…時間の感覚だって…、カレンダーとか時計とか、そういうの、シノさん考えた?日付とかも、ここに来てからの日数、あいつ毎日数えてるでしょ?MPの回復に何分かかるか、とかも。ユージに手伝えって言われて手伝ったけど、大体十五分で回復するとか、そういう考え方、私、全然無かったし。」


『…』


私は、細かい男だなーとしか思ってなかった。


『ユージに印象操作を使ったのは、本当に偶然だったの。無意識だったっていうか、なんとなく「最初からやり直せたらな、私の印象、違ったかも」みたいなこと考えてたら…、勝手にスキルが発動してて…』


『ユージーは?使われて、気づかなかったの?』


『うん、反応無かったし…、使った後も、全然態度変わらない。…だから、スキル自体、大したことないんだろうって思ってた。」


『はあ…なるほど、ねぇ。』


効き目はともかく、勝手にユージーの心?気持ち?を変えちゃうようなことをしちゃったから、本人には言えない、と。


『…うん、わかった。』


これは、十代女子が自ら口にするのは、確かに難しい案件。主に乙女的な意味で。


『よし!私に任せて!』


『えっ!?あ、え?ちょ、シノさん!?シノさん待って!どこ行くの!?ちょっと待って!?』


ここは、ここは私に任せて!かつて、乙女だった気がする、この私に!








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