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3-1 旅路の果てに

うん、異世界の蜂やら蝶やらがやたらとサイズ大きいのは知っていたけれど─


「…流石にこのサイズは想定外。というか、キモ、…グロ、…いや、まあ、とにかく、お近づきにはなりたくない。…なりたくない、んだけどなぁ…」


ランチをしていた丘の上から見下ろす街道。隊商?キャラバンな感じの皆さんが、でっかいミミズに襲われていた。


「逃げろ!サンドワームだっ!」


「『ウォーターアロー』!!」


「止めろ!サンドワームに水属性は効かねえ!吸収されちまうぞ!」


「子ども達を!」


「散らばれっ!固まってるとまとめて飲み込まれる!」


蜘蛛の子を散らすよう、そんな感じで逃げ惑う人達。助けるべきか、ちょっと迷う。目立つのが致命的に苦手なスライムとしては、自力救済を頑張って欲しいんだけど、先ほど商人4が口にしたセリフが気になって気になって。そして、見つけてしまった。


(本当に、子ども、おりますやん…)


幌馬車の荷台から飛び出していく子どもたち。仕方ないから、腹をくくる。私の百ある座右の銘の一つが義を見てせざるは勇無きなりだから。ていうか、ヒナちゃんの前で、同年代のスプラッタァは止めて頂きたい。


速度強化と物理防御強化を掛けながら走りだす。取り敢えず先制と決めて、商人3が言っていたことを思い出した。


(お水、駄目なのか。じゃあ、まあ、順当に。)


火属性攻撃(熱いから気をつけてー)っ!!」


「っ!?」


「なんだ!?」


詠唱と同時に、周囲の皆さんへの「ファー!」にもなる優れもの。私が放ったでっかい火の玉に、迅速な反応を見せた皆さんが避けていく。


「よし!」


流石にこのデカさで外すことはない。火の玉は、見事、4,5メートルはありそうなミミズの体にぶち当たった。


だけど─


「あれ?」


ミミズは、一瞬、ビクッってしたけど、それだけ。揚げ物中の油が跳ねた程度の反応しか見せてくれない。


「あ、あんた…、今のはあんたが?」


「うん。そうなんですけど、アレって火魔法も効かないんですかね?」


「あ、ああ。熱にも強いからな。効果があるのは光魔法くらいで、後は、物理攻撃しか効かないんだが。」


そうおっしゃる商人5くらいのおじさんは、手にした剣を構えてプルプルしてらっしゃる。とても、「任せとけ!」な感じではないから、


「ちょっと、試しにもう一回行くんで、下がっててください。」


「!」


慌てて離れていく皆さんを見送って、ミミズと相対する。どうやらあちらも、油跳ねの原因は水分多めのスライムだと認識したらしい。


「うー、こっち見んな。切実に気持ち悪い。」


ミミズの体表とか、皺みたいなのとか、何でこんなもの見せられてるんだろう。大体、ミミズは熱に弱いものなんじゃないの?という憤りを、火の玉に込める。


「ミミズならミミズらしく、大人しく路上で干からびてなさいよ!火属性攻撃(熱いから気を付けてー)!」


(お、良い感じ。)


私の渾身の一撃。ドライアドの林を焦土と化したでっかい火の玉が飛んでいって、見事着弾。


「あ。」


けど、全然効いてない。一瞬、ジュルッとはいったけど、全然、ノーダメージな感じ。


(でも、イラッとはきたのか。)


ミミズのくせにでっかい口を開けて突っ込んでくる巨体から、走って逃げる。スピードはこちらが上、飲まれることは無さそう。逆に、熊の時のようにこちらから突っ込んでいくことも出来そうだけれど、


(それはヤだ、何かヤだ。口の中、ヌラヌラしてたし。)


だから、別の作戦を考える。と言っても、やることは一緒。スライムだし、基本に忠実。熊の時の応用で─


風属性攻撃(髪、乾かした)ー!?火属性攻撃(熱いから気をつけて)ー!!」


(ドライヤー、長時間は危ないよ?)


ってことで、局地的火災旋風を起こしてみた。火はもう業火と言っていいレベル。なのに、ミミズにはなかなか着火しない。何度も追加で攻撃を放ってるのに。元気いっぱいに暴れまわるミミズは、まとわりつくトルネードから逃れようと身をくねらせている。


(けど、流石に、ソロソロ…)


突如、ミミズの動きが変わった。逃れるため、というより、苦しむような動きになって─


「あ、やった、かな?」


クタリと、その身を曲げるようにしながら地に伏した長躯。ビクリと最後に震えて、それきり動かなくなった。窒息死はスライムの得意分野、圧勝だった。作戦が見事決まって、勝利の美酒に酔いたいところだけれど、出来るスライムはここで油断はしない。やりたくはないけれど、決死の覚悟でミミズに近寄って生死の判断をしてみる。ちょっと火魔法で炙ってみても、うん、反応無し。これで一件落着、といかないのが、スライムの悲しいSAGA。


「…」


「あ、あの、お嬢さん、えっと、あんた、強いんだな。」


「いやぁ、助かった。あんた、命の恩人だ。」


ミミズのデスを認識した商人1から5くらいがワラワラと戻ってきて、ヒナちゃんもトコトコ近づいてきた。けれど、こちらは現在、コンフリクトの真っ最中。


(食べるべきか、廃棄すべきか、それが問題だ。)


ヒナちゃんの手前、好き嫌いは良くないと思う。ただ、ミミズ、ミミズはなんか、甲虫よりもなんか無理かも。プニュっと感とか、そういうの、ちょっと、本当、ちょっと無理かも─





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