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第10話 女王への謁見(2)
小国とはいえ名家・諸侯、身分ある地位にあるはずの彼らは、全員口裏を合わせるまでもなく、跪いていた。
―――それほどまでに、似ているのか。
太古、女神グラシアールは美しい少年の姿で人の地に降り立った。
はじまりの王、カノ―プス王もまた兵士の装束で玉座に座り続け、王の装束を身に着けたのは晩年のことだったという。シリウスは計らずも、自身に流れる血脈の祖の神話と歴史に残る姿を再現した。大陸に生まれたものならば、その名その姿を語られぬ日はない。
眠れぬ子どもたちに語り聞かせる物語で、英雄を称える詩で、あるいは歴史で語られる。
彼らは見たことはなくとも、目の前の少女が語り継がれる女神の現身であると姿を見ただけで感じ取ったのだ。
「顔をあげなさい」
シリウスは臆することなく玉座から彼らを見下ろした。
シリウスの目配せに応じ、オスカーは紹介に移ることにした。