5話 外出
3歳になった。天才を演じるということで2歳には普通に喋ってみたり、勉強始めさせてもらい初等部卒業までの勉強は終わらせてしまった。この世界では、魔法が使える人、貴族や大商人の息子、また貴族や大商人の推薦を受けた人は9歳になる年から3年、初等学校に通い、そこからまた3年高等部で学び、15歳の成人と共に卒業してそれぞれの道に進む。また、身分関係なく入れる騎士学校なんかもある。こっちは兵士になる為の学校で日本で言う自衛隊学校のようなものでお金はほとんど取られない。といっても誰でも騎士学校出では出世は難しいのは身分社会の常である。
3歳になってステータスはこうなった。
名前:アレン・ウォーターフォード
レベル:4
STR: ∞ >
VIT: ∞ >
INT: ∞ >
DEX: ∞ >
AGI: ∞ >
スキル:H₂O自由操作、H₂O生成
さてついに∞ときました。と、ここで気になるのがその隣の>である。とりあえず押してみると…
名前:アレン・ウォーターフォード
レベル:3
STR: ∞ <2.35e+87
VIT: ∞ <2.35e+87
INT: ∞ <2.35e+87
DEX: ∞ <2.35e+87
AGI: ∞ <2.35e+87
スキル:H₂O自由操作、H₂O生成
なるほど、10の68乗で無量大数だから便宜てきに∞としてるわけか。で矢印がその詳細。ちなみにe+87というのは、×10の87乗という意味なのでこの場合2.35×10の87乗ということである。計算はしてないが多分そんな感じだろう。
まぁもうステータスはいいだろう(諦)。
そして先日、妹と弟が生まれた。名前はアリスとキースだ。
赤ちゃんというのは何故こうも可愛いのだろうか。
そうか、俺の力はこの子達を守るためにあったのか!
そんな馬鹿なことを思う今日この頃である。
さて、豪邸での生活も慣れ、使用人の名前も大体覚えた。INTが高いからか物覚えがかなり良くなっている。家庭教師の授業でも歴史なんか一度聞いただけで理解できてしまう。この力が受験勉強の時にあれば、なんておもってしまう。そんな中、一歩も家の敷地の外に出たことがない俺は、外の人たちの暮らしに興味を持ってしまう。自分の親の領地となると尚更だ。
お世話係のキーラにおねだりしてみる。
「ねぇねぇ、街に出てみたいんだけどダメ?」
「アレン様、外は危のうございます故。外出とあらばお庭で遊びましょう!」
過保護だ。
「お願いだよ!ね?本にあった屋台とか行ってみたいんだ!いいでしょ!ね!」
「アレン様がここまでわがまま言うのは珍しいですからご主人様にお伝えしてみますが、行けるかはわかりませんからね。」
過保護だけど甘いのである。
「やったー!!」
さて、言っては見たもののかなり大事になってしまった。うちの騎士団を護衛数十人に、使用人がキーラを含め十数人。ここまで大所帯になるとは思わなかった。
「ねぇ、こんないっぱいで行くの?」
「当たり前です!万が一何かあったら大変ですからね!アレン様のことは私たちが命に変えても守ります!」
やはり過保護だった。まぁ、外出は出来るのだ。妥協するしかない。俺のステータスで何かあることなんて無いんだけどな…。
街についた。
「わーー!!!」
アニメで見た事があるような中世の街並みが広がっていて少しテンションが上がる。
うちの領地はけっこう栄えているようで活気がある。
「わーー………」
確かにパッと見はテンションの上がる街並み出会ったがよくよく見ると路地裏だったり床だったりが少し汚いし、少し臭い。
ベチャッ。
窓から路地裏に糞尿やゴミが捨てられる。
これが現実か……。
それもそうだ。家は魔法使える人がいるから魔法で処理していたが、この時代の文化レベルでは栄えてるとはいえ、辺境の地で下水道が張り巡らされてるようなことなんかない。ましてや下水処理場やゴミ処理場もないし、そもそも衛生観念がそこまでない。ゴミや糞尿は川か路地裏など邪魔にならないところポイ捨てだ。だが、これは疫病なんかに繋がる重大な問題だ。何とかせねばならん。
その後は、街の散策を満喫した。街で肉の串刺しを屋台で買って食べたり、両親へのお土産に高級なお店でハンカチを買ったりした。また、妹や弟と遊ぶためのおもちゃを作るための材料なんかも買ったりした。
始めての外出は街並みと相まって海外旅行のような気分になって楽しかった。やることも見つかったし今日は外に出て良かっただろう。
こうして俺の1日が終わった。