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第9話 ヤバイ奴ら

綺麗なコンクリートの支柱を触りながら広く大きな体育館を見回す、一般的な体育館の三倍はある程に大きかった。



いや、体育館と言って良いのか怪しい、普通の所ならばある謎のテープやバスケットゴールなどは無く、観客席や石造りのステージが中央に作られて居るのを見るとこの建物は演習場なのだろうか。



「私も初めて見た時は度肝を抜かれましたわ」



「うわっ、いつの間に」



音も気配も無く隣に現れた有栖川にまるでお化けを見たかの様な反応を見せる、だがこの演習場には正直自分も度肝を抜かれた。



「二人ともそろそろ整列した方が良いですよ」



少し前、教室で話した優奈が抑えめの声で二人を既に整列した皆んなの元へと呼び寄せる、いつの間に整列して居たのかは分からないが忍は小走りで列に加わると辺りをキョロキョロしながらその場で立ち止まった。



「何が起こるんだろう……」



「身体能力テストだろ」



独り言に隣の誰かが反応する、視線を向けた瞬間忍の表情が引きつった。



「なんだよ」



威圧的な言動で威嚇するかの様に忍を見下ろすヤンキー風の少女、教室の前で出会った人だった。



何故かスカジャンを着て居るが間違いなく彼女だった。



「な、何にも無いです……」



小さく、さらに小さくを目指し肩幅を狭める、母親からヤンキーには逆らうな、金は靴下にと習って居た。



「そんな怖がんなよな……」



少し悲しげにボソッと呟く少女、その言葉に少し忍の表情が変わった。



もしかすると彼女、見た目の所為で傷ついて居るのでは無いのだろうか。



出会ったばかりで分からないが有栖川も見た目で勘違いして居た……万が一、と言う場合もあった。



「お、俺じゃ無くて……私新咲 忍、お姉さんは?」



「お、私は神崎 柳花だ!あと年齢は同じだろ!」



自己紹介をしただけで凄く嬉しそうに忍の肩を叩きながら自己紹介をし返す柳花、こうしてみると有栖川と言い柳花と言い、なんだか可愛かった。



「それより忍の武器はなんなんだ?私はこれだ」



そう言いスカジャンのポケットに手を突っ込むと一瞬だけ光る、そして手を引き抜くと両手には鋭利な先端付きのメリケンサックがはめられて居た。



見た目通りなのだが少しカッコよかった。



「拳かぁ……なんか熱くてカッコいいっすね!」



「だろ!?硬派で漢って感じがして好きなんだ!!」



硬派に憧れる系のヤンキー女子……悪くは無かった。



「それで忍は?」



「お……じゃなくて私はまだ発現してないんだ」



「そう言えば有栖川と話してたな、なんか悪い」



「柳花さんが謝ることじゃ無いって」



謝る柳花に笑って言う忍、すると演習場の扉が勢い良く開く音にその場に居た生徒は皆扉に注目した。



誰かが来た、これから何が行われるのか……様々な考えを巡らせながら振り向く、其処には軍服を着た顔に傷のある強面の軍刀を携えた男が立って居た。



彼の風貌を見た瞬間察した、軍曹だと。



「注目!!」



ゆっくりと生徒たちの前に歩いて行くと突然止まり大声を出す、注目の言葉を言わなくてもその風貌で生徒は軍曹に注目を集めて居た。



軍服を捲りでた腕には無数の傷跡、歴戦の戦士感が漂っていた。



「お前達新入生は右も左も分からんと思う、だが一から教えるなんて面倒くさい事はしない、今からわかりやすい様に一先ずのランキングをトーナメントで決める、一対一のギブアップ制だ、勿論手を抜くなよ」



威圧的に説明を終えると軍曹はモニターにトーナメント表を出す、トーナメント表には8名の名前が表示されていた。



自分の名前を端から探す、すると一番右端に自分の名前が表示されて居た。



表示されて居るのは当たり前……問題は誰と戦うかだった。



と言うか戦う事を疑問に思わない自分が怖い、普通の高校生は部活や恋愛に勤しむと言うのに自分は魔女と戦う為の訓練を受け、そして今クラスメイトと殴り合おうとして居る……全く不思議なものだった。



ふと自分の隣に表示された名前を確認する、其処には柳花の名が表示されていた。



その瞬間血の気が引く、メリケンサックでボコボコに……流石にルシャナの時よりかはマシだろうが絵面的にヤバそうだった。



それに能力も謎、対策の打ちようが無かった。



辺りを見回すが柳花もトーナメント表を見て気を使って居るのか自分に近づいて来る様子は無い……だが何故か気がつくと隣に有栖川が居た。



「不憫ですわね、柳花さんって身体能力面じゃクラスでも飛び抜けてる見たいですわよ?」



「は、ははっ……情報提供どうも」



正直絶望が増しただけ、彼女が何をしに来たのかは分からないが今生の別れになるかも知れなかった。



「そう言えば有栖川の相手は誰なんだ?」



そう言いトーナメント表を見る、彼女の名前は特徴的で分かりやすかったが対戦相手の名前も特徴的で目立っていた。



シルフィ・ハーデン、少し厨二心をくすぐられるカッコいい名前だった。



辺りを見回しソレっぽい人を探す、見た目だけでは判断出来ないのが過去の二人で分かったがピッタリの人がステージ脇に立っていた。



綺麗な長い白髪の美女、絶対にシルフィである自信があった。



「お前の相手ってあの子か?」



シルフィらしき人を指差す、すると運悪く彼女はこちらを向いた。



「あ……」



「私は知らないですわ」



そう言い足早に消える有栖川、シルフィらしき女性はゆっくりと威圧的なオーラを放ちながら近づいて来た。



殺される……そう思い一歩後ろに下がるが石柱が当たった。



終わった……そう思ったその瞬間、シルフィはスッと手を出した。



「貴女、私と友達になりたいの?」



そう言い握手を求めるかのように手を出す少女、突然の出来事に理解出来なかった。



「あ、え?友達?」



「そう、私を見てたし友達になりたいんでしょ?」



「あ、はい……」



思わず手を握る、すると彼女はとても嬉しそうな表情を見せた。



少し可愛いと思ってしまったがよく考えると彼女は誰なのだろうか。



「新咲 忍、宜しく」



一先ず自己紹介をして相手の名前を聞き出すことにした。



「私はシルフィ・ハーデンよ」



そう言いハグするシルフィ、海外の挨拶と言うのは良いものだった。



胸が体には押し付けられる……貧乳な自分の体とは違い豊満な彼女の胸には夢が詰まっていた。



柔らかくマシュマロのよう……漫画で見る表現は本物のようだった。



「そう言えばシノブは誰と当たったの?」



「柳花だよ」



忍の発音が少し気になるがトーナメントを指差し伝える、するとシルフィの表情が険しくなった。



「絶対に負けないでね」



少し威圧的な声色で言うシルフィ、何か彼女と因縁でもあるのだろうか。



両方と交友のある自分にとっては厄介な事態だった。



それに柳花に勝てる見込みは無い……とは言え無理とは言えなかった。



「頑張って見るよ」



そう言い微笑む、数時間過ごして分かった事は一つこのクラスはヤバイやつしか居ないと言う事だった。

忘れないために登場人物

シルフィ・ハーデン クラスメイト

神崎 柳花 クラスメイト

エカトルーナ 武姫なりたての忍を殴った人

有栖川 クラスメイト

優奈 クラスメイト

礼堂・シャリア・優 担任

ルシャナ S寄りのAクラス

ラゲリック マッドサイエンティスト

クルシュ 姉と慕う人


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