前へ目次 次へ 6/46 第6話 あだ君「汗顔、閑吟、間隙」 「一人夜に、自転車で走ってたら、急に歌いたくなる時があるじゃん? 人気もないし、思わず閑吟(かんぎん)したくなるじゃん? だから小声でちょっと、気に入った歌を口ずさんだのよ。 うぉーとか、いぇーとか、ふんふんとか、あーいやーとか。 そしたら丁度良く、自転車の人と道ですれ違っちゃうの。 もう恥ずかしい、汗顔(かんがん)する。咳込みながら、その人の背中を見る。 その人が猫も通れなさそうな間隙(かんげき)に入って行った時は、別の意味で汗を掻いたね。」