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第40話 おだ「利根、利刃、利達」

「ある男は、生まれつき賢い、利根(りこん)な人だった。

 その人の周りでは、なぜか原因不明の昏睡で死ぬ人が何人もいた。

 でも俺は知っている。

 その人は剣を持っていた。よく切れる利刃(りじん)の剣だ。

 その剣はその人と俺にしか見えない。剣を手に男が歩いても、誰も気になどしない。

 そしてその剣で斬られた人は、数日後に原因不明で死ぬんだ。

 実際にはたくさんの血を流して死ぬが、俺とその男にしか、その血は見えない。


 その人は邪魔なライバルを殺して会社でも出世、利達(りたつ)した。

 さらに好きな女性の恋人の男性を殺して、慰めるふりをして近づき男はその女の恋人になった。

 でも良い事ばかりでない。結局、女にその性格を見抜かれて振られた。

 男はその女の家の前で、見えない剣で自らを貫き自殺した。


 その女の家が実は、隣の家なんだよ。

 だから俺の家のすぐ近くの道路には、大量の血が流れ、その中央には剣が落ちている。

 でも俺以外に見えないから、誰も回収しない。

 女の人は、いつもその見えない血を踏んで、見えない剣を踏みつけて出かけている。


 この前、足の裏に刺さって、片足が動かなくなったとか聞いた。」

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