41/46
第40話 おだ「利根、利刃、利達」
「ある男は、生まれつき賢い、利根な人だった。
その人の周りでは、なぜか原因不明の昏睡で死ぬ人が何人もいた。
でも俺は知っている。
その人は剣を持っていた。よく切れる利刃の剣だ。
その剣はその人と俺にしか見えない。剣を手に男が歩いても、誰も気になどしない。
そしてその剣で斬られた人は、数日後に原因不明で死ぬんだ。
実際にはたくさんの血を流して死ぬが、俺とその男にしか、その血は見えない。
その人は邪魔なライバルを殺して会社でも出世、利達した。
さらに好きな女性の恋人の男性を殺して、慰めるふりをして近づき男はその女の恋人になった。
でも良い事ばかりでない。結局、女にその性格を見抜かれて振られた。
男はその女の家の前で、見えない剣で自らを貫き自殺した。
その女の家が実は、隣の家なんだよ。
だから俺の家のすぐ近くの道路には、大量の血が流れ、その中央には剣が落ちている。
でも俺以外に見えないから、誰も回収しない。
女の人は、いつもその見えない血を踏んで、見えない剣を踏みつけて出かけている。
この前、足の裏に刺さって、片足が動かなくなったとか聞いた。」




