12/46
第12話 いだ君「侍講、自今、四顧」
「俺の小学校の教師の話だけど、なぜかいつも周りを見回しているんだ。
何かするたび、きょろきょろと四顧している。
俺も小さかったから、先生何しているのって無邪気に聞いたんだわ。
そしたら先生、誰かが見ている気がするって素直に答えたんだわ。
俺は周りを探したが、別に何もいなかった。
『気にしすぎだよ、先生』と、侍講というわけじゃないけど、俺は教えたんだ。
先生は『そうだな。これからは気にしないよ』と笑顔で言ってくれた。
先生は言った通り、その自今から周りを気にしなくなったというわけだ。
でも俺、数日後に見ちまったんだよ。
人とも靄ともいえない何かが、先生を影からジッと見ているのを。
でも今さら、やっぱり居ますよとは言えないよな? そのまま言わずに小学校卒業しちまった。」




