CODE005:模擬戦の決着
――A.D.2067年4月5日(火)PM01:20 総合演習場・市街地フィールドSB2-14-F
神城重工:神城機とアルテミス電鋼:奥住機が北西で戦闘を開始した頃、ボクは赤フラッグのある隣のビル屋上に上がり、スナイパーライフルAXMCをセットし、アルテミス電鋼:ショートブレードの結月機を探す。
「姫菜ネエが戦闘してる東側隣の路地に移動する熱源があるよぉ」
ナビゲーターの神城穂香から敵機と思われる情報が告げられる。
全ての情報を得られる訳では無いが、自軍機周囲警戒とフラッグの位置情報をナビゲートしてくれるのは有り難い。
「若宮機、援護できるよう移動します」
ボクは東に2つビルを移動、再びスナイパーライフルをセットし索敵するが……一瞬遅かった。
「神城先輩すいません。 敵機ショートブレードの狙撃に間に合わず先輩の背後に迫っています。」
「若宮はんおちつきや、ほな敵機2体はウチが抑えとくさかいドローンをあと1機まわしてや、それと青のフラッグ頼みますさかいきばりおし」
「了解しました。敵フラッグに向かいます」
「姫菜ネエ、後ろに接近してるよっ」
「ドローンの視界共有で見えてはるえ」
その言葉と同時にショートブレードが神城先輩に襲い掛かる。
結月機から離れるように左足、右足と踏み出すと同時に左手で鞘を握り、鯉口を切って右手を柄にかけ……
左足を右足先の前に踏み出すと膝を少し曲げ両足先で右半回転し、結月機に向き直ると同時に抜刀しつつ右足を後ろに退いて、結月機の右脇から左肩上へ向かって逆袈裟に切り上げる。
”カッキーーッン”とショートブレードを弾き上げ結月機には一瞬隙が出来き、太刀の流れと共に身体を起こしつつ上段に構て『セヤッ!』と斬り下ろす!
ショートブレードを持った結月機の右腕がスパッと胴から斬り離され床に転がった……
「せっかちさんどすなぁ ぶぶ漬けでもいかがどすか?」
右腕を落された結月機は後ろに跳び間合いを取る
「わたしの右腕が……」
おっとりとした口調だが悔しさが感じられる
「紗弥子さん、ここは任せて行って頂戴」
「逃がしまへんえ」
奥住機が結月機を逃がそうと神城機に突っ込むが、それより早く動いき結月機がひるんで退こうとしているところを、右足を大きく踏み出して追い詰め、結月機の胸部に柄頭が向かうように抜き出し横一文字斬りで上下真っ二つに斬り伏せた。
『アルテミス電鋼:結月機 戦線離脱』
システム音声が結月機の離脱をアナウンスする中、神城機に勢いのまま奥住機が襲い掛かる。
「よくも紗弥子さんを殺って下さいましたわね!」
奥住機のハンマーでアッパー、縦振り叩きつけ、回転横振りのコンボを炸裂。
最初の2撃は受け流せた物の回転横振りを喰らい耐え切れず吹き飛ばされてしまった……
機体から火花が散り脚の駆動が鈍い。
「えげつない攻撃しよりますな」
「まだまだこれからですわ」
――神城先輩がアルテミス電鋼:結月機を撃破した頃
ボクはスナイパーライフルを自陣に置きっぱなしにしとにかく走り、アルテミス電鋼陣営フラッグのそばまで来ていた。
「穂香さん、青フラッグがどの辺か教えて貰えると助かるんだけど……」
「そこから2棟先のビルの3階にフラッグの反応はあるわっ」
神城先輩と奥住機の戦闘を尻目にフラッグを目指す。
「……姫菜ネエが攻撃受けてピンチなのよっ!さっさとフラッグ破壊しちゃってよ!」
穂香さん怖いな……
でもまぁフラッグは速やかに壊さないと!
神城先輩は動きが鈍くなってしまった機体で防戦になっているが、紙一重のところでどうにか受け流している。
ナビゲーターの指定座標に到着し青フラッグがあった!
ハンドガンでフラッグに向けて撃ちまくり破壊した!
後から考えれば、こんなに近いのだから奪うだけで済んだのだが……