CODE004:神城重工vsアルテミス電鋼、模擬戦開戦
――A.D.2067年4月5日(火)PM00:55 四芒星形次世代技術総合研究所:総合演習場
アルテミス電鋼との模擬戦、お互いのオペレーター同士で握手し並行遠隔存在拡張機器でRHに乗込んだ。
乗込んだと言っても実際には乗っていないのだが……気分的な感じで……
相手のアルテミス電鋼のRHは、黒いギリースーツを着ていて高さ180cm程だと言う事以外詳細はまだ解らない。
うちら神城重工のRHは高さ195cm程で、強化外装には|炭素繊維強化炭素複合材料《強化カーボンカーボン》が使われ、紅い袖飾り紐の付いた黒衣に紅袴を模した作りになっている。
武装は先輩が太刀でボクがスナイパーライフル&ハンドガンだ。
「各チーム RHハ コンテナ ニ 搭乗シテ 下サイ」
ボクと先輩のRHはシステム音声に従ってコンテナに乗込み待機
「市街地フィールドSB2-14-F ヲ 起動 投影シマス」
総合演習場はいくつかのブースに分かれていて、そのブースにある構造物に可視情報を投影する事によって様々なエリアを再現している。
「コンテナ移動開始……開放シマス」
ボク達はシステム音声通り市街地フィールドへ投下された。
「こちら穂香。二人とも聞こえてる? 今回のマップと敵機情報転送しておいたから確認してねぇ」
ナビゲーターの穂香から来た情報を確認……どうやらA.D.2000年頃の飲み屋街などのエリアで、敵機の武装はハンマーとショートブレードのようだ。
「基本ルールはフラッグ戦で、こちらは赤フラッグを守りつつ相手の青フラッグを奪う又は破壊したら勝ち。全滅させても勝ちだよぉ」
「ほな若宮はんはビルの上からフラッグの守りと牽制をよろしゅう。
ウチは西から回り込んでフラッグを落して来はります」
「了解です。」
ボクの返事と同時に開始のブザー音が鳴り響く……
◇◆◇◆
――A.D.2067年4月5日(火)PM01:10 総合演習場・市街地フィールドSB2-14-F
速やかにビルの屋上へ上がり、今回持ち込まれた試作装備の自律型小型照準用ドローンを4機飛ばした。
このドローンはボクと先輩で視野を共有でき、スナイパーライフルの照準補正にも使える。
神城先輩は西側から回り込む為に北西に高速で移動して行った。
ドローンの1機を先輩の側に移動させつつ、フィールドの中央と東側を重点的に監視。
それからそう時間が経たないうちに先輩は敵機と遭遇した……
敵機は黒いギリースーツにハンマーを持ったRH。
ハンマーと言っても片側はたしかに鎚状だが片側は鎌のようになっている。
「その太刀を腰に装備したRHは神城さんですわね!? いざ勝負ですわっ」
「あらあら、こんなところで奥住はんと遭遇するとは」
両機がそれぞれ武器を構える。
一拍置いて先に動いたのはアルテミス電鋼の奥住機だった。
ハンマーを上段に構え正面からを振り下ろして来る……
神城先輩は奥住機に歩み寄りながら左手で鯉口を切り、太刀を抜いて胸の前に太刀を運び、右手を柄に掛けると腰を捻りながら鞘引きし、右足を踏み出しつつ振り降ろされるハンマーを ”キィィィィッ” と激しい金属音をたてながら受け流す。
そこから柄を握ったまま太刀を上段に降り上げ
『セイッ! ハッ!』
両手で握り直し奥住機の顔から腹に向かって斬り下ろす!
さらに太刀を後ろに引いて左足踏み込みと同時に下腹部分へと突き刺す!
奥住機は斬り下しで黒いギリースーツを斬られるが、咄嗟に後ろに飛び回避。
神城先輩は左手で鞘の鯉口を握り、右足を大きく後ろに退いてから左足も退き足をそろえて一度納刀する。
「危なく斬られるところだったわ……」
「さよか、今んをかわしはるとはえろうはしこいやんか……
次は今より上げて行くさかいおきばりやす」