CODE003:リモータル・ヒューマンフォーム同時並列適合試験
――A.D.2067年4月5日(火)AM09:50 四芒星形次世代技術総合研究所:情報演算処理室
朝のミーティングを終えてFLOOR:3の東棟にある情報演算処理室へと移動し、RH2機同時並列適合試験で適合値の計測だ。
「まずは若宮龍彦からはじめて行くわよっ」
コンソールに向き合うナビゲーター神城穂香の指示の下、メカニックの洲上和音がセッティングしていく。
第1世代のRHは並行遠隔存在拡張機器で操作できるのは単機のみだったのだが、第2世代では複数機のRH操作を可能にすべく研究が進められている。
並行遠隔存在拡張機器に量子コンピューターのAIを接続し、オペレーターの思考をクロックアップする事で単機の時と遜色ない適合値を目指している。
「若宮龍彦、視線追跡照準付網膜投影ディスプレイグラスとハンドトラッキンググローブの装着及び並行遠隔存在拡張機器への接続開始」
「生体認証及び精神認証通過、接続完了っす」
「それじゃあ、はじめるよぉ」
「3」
「2」
「1」
ボクへの接続が済み、ナビゲーターの神城穂香がカウントを開始、並列適合試験が始まった。
「量子コンピューターからのクロックアップは順調っす」
「並列適合値は73%ってところを維持だよぉ」
「若宮はんは及第点ギリギリって所やろかぁ もう少しきばりはる思ったんやけど無理やろか」
「量子コンピューターの出力はもう少し上げれますが身体的に午後に響くかもっす」
「まぁこの辺までにしときまひょ」
こうしてボクの並列適合試験は終わり、続いて神城先輩の番だったのだが3機同時並列されてたよ……
◇◆◇◆
――A.D.2067年4月5日(火)AM11:45 ヘリポート
神城重工のクアッド・ティルトロータータイプ重量級輸送機が物資を積んで到着した。
この島は昔は自給自足もできていたようだが、今は定期的に本土から食料や衛生用品などの物資を受け取らないと生活できないのである。
中には娯楽品も混ざっているので楽しみでもあるのだが……
輸送機のパイロットから先輩が物資一覧の目録を受け取り確認すると、中にはRHの試作装備もあったようだ。
「アルテミス電鋼との模擬戦まで時間が無いからチャッチャと搬入しちゃうっすよぉ」
洲上和音が指示を出し、到着した物資は一度四芒星形次世代技術総合研究所の倉庫に運ぶ為、作業員達がテキパキと物資をトラックに積み込んで行くが、この間ボクもRHを操縦し手伝う。
物資の中には丁寧に扱わないと壊れてしまう物もある為に繊細な操作を覚えるにはもってこいだ。
◇◆◇◆
――A.D.2067年4月5日(火)PM00:50 四芒星形次世代技術総合研究所:総合演習場
午後の訓練はアルテミス電鋼との模擬戦。
相手のアルテミス電鋼は女性だけで構成されたチームで、通常はチタンなどで出来たカーネルスケルトンと呼ばれる骨格にスキンと呼ばれる金属やカーボンの強化外装を纏うのだが、アルテミス電鋼の機体は他社と違い有機外装で人間に近い質感なのが特徴的だ。
そして、むこうの隊長である奥住美怜は神城姫菜隊長にライバル心を抱いているようなんだよね
「神城さん。今日はワタクシが勝たして頂きますわよ」
「あらあら、おいでやす。ウチもそない簡単には負けまへんで」
隊長達の視線が交錯し目から火花を散らしている……
神城先輩は相手の奥住隊長と握手し、ボクはもう一人のオペレーター結月紗弥子と握手し、移動型並行遠隔存在拡張機器でRHに乗込む。
アルテミス電鋼の奥住隊長、少なくとも胸はバカデカくて目を奪われそうになった……
[アルテミス電鋼]:女性的でしなやかなボディの機体が特徴
◇奥住 美怜:女
19歳/血液型:A型/Iカップ/168cm/髪:黄色/瞳:緑
神城姫菜にライバル心が非常に高い
オペレーター・ウォリアー
◇結月 紗弥子:女
18歳/血液型:A型/Cカップ/157cm/髪:白緑/瞳:青
オペレーター・アサシン
◇更屋 牡丹:女
16歳/血液型:A型/Eカップ/154cm/髪:赤紫/瞳:赤紫
メカニック
◇宮國 美姫:女
19歳/血液型:O型/Cカップ/162cm/髪:黒髪/瞳:黒
奥住美怜と幼馴染
ナビゲーター