67 受験勉強
翌日から僕は受験勉強を開始した。合間にB計画のレポートを書き上げ、ケイトに見せて所長に提出もしておいた。
サニアに聞いた入試の過去の問題をやってみたけれど、正解率は半分もなくて落ち込んだ。
わからないところはサニアに聞く。
いわゆるひっかけ問題にはいくつかのパターンがあって、結局のところはそれを見抜けるかどうかだ。
「人を落とすための問題って性格が悪いよなあ」
僕がそう言うとサニアは、
ある程度はしょうがないんじゃないの?そうでもしないと振り分けられないじゃない。素直な問題ばかりだとある程度勉強すればみんな良い点がとれるわけだし。
うーん、そういうものなのかな。
「それじゃあ入試に落ちちゃった人はどうなるの?」
技術者階級に生まれれば、よほどのことがないかぎり技術者階級になれると僕は認識していた。
ああ、それは人気があまりない学校も存在するからなんとかなるのよ。
「へぇ」
例えば、荷物を運ぶトラックの運転手になるための学校とかは最近は人気がないかも。運転手でも技術者階級なら給料は同じだけど、あれは夜がメインの仕事だし、体力的にもキツイから。
なるほど。荷物を運ぶトラックというものもあるにはある。それは比較的歩いている人が少ない夜中に走っているから学生だった僕が見る機会があんまりなかっただけだ。
それから、あんまり寒いところや暑いところにある学校も人気は無いかも。結局卒業した学校の近くで働くことになる場合が多いし、寒いところに住んでいると電気代が高くつくしね。
ああでもちょっとぐらい寒いほうが機械の故障率が低くて、寒いところにある工場なんかは他よりちょっとだけ給料が高いの。高い電気代を払わなきゃならないから結局は同じだけどね。
それを聞くと政府もちゃんと考えてくれているじゃないかとも思うけど、そこじゃなくて、もっと根本的に大変な思いをしている人たちがいるのに、と思ってしまう。
サニアの教え方は上手で、僕はだんだんひっかけ問題を見抜くことが出来るようになってきた。サニアのほうが教師に向いていると思う。
でもサニアはもっと上を見ている。
「サニアはどこの大学に行くとかもう決めてるの?」
と聞くと、
AA-1ユニバーシティ、と当然のように故郷の惑星で一番伝統があって一番難しいとされる学校の名前が返ってきた。
そして学生の間に何らかの実績を残して研究所に残れるようにならなきゃ。病院に勤めると実際の診療だけで忙しそうだしさ、先は長いわ。
「やっぱりサニアはすごいや」
そんなサニアだけれど、ベッドでは僕によりかかるような、甘えるような仕草をすることがある。
普段のサニアとはギャップがあるけれど、それはサニアの魅力に深みを与える。
そういうことの後、サラサラのサニアの髪を撫ぜていた僕にサニアは言う。
ジェイミィは私が何を言っても否定しないから一緒にいて安心できるわ。
故郷の惑星では、他人と違う意見を持つ者に対して、人格まで否定するようなことを言う人が多かったから。
「そうだねぇ」
僕はサニアの髪に手を差し入れながら、なんと答えたら良いのかわからなかった。




