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62 エリナの気持ち

青い風が吹く惑星は、気温の変化が少ないと聞いていたけど、だんだん暑くなってきたと思ったら今度は涼しくなって、また暖かくなった。

かなりゆるやかだけど一応四季があるらしい。

故郷の惑星の四季はもっと極端だ。僕が住んでいたQ地区は夏は暑くて冬は寒すぎる。寒いと文句を言うと、もって寒いところに住んでいる人もいるのにと言われたけど、

もっと寒いところなら夏はこんなに暑くないんじゃないかと気が付いたのはだいぶ後になってからだ。


ともかく、僕たちがこの惑星に来て11ヶ月、そろそろ最後のパートナーチェンジだ。


僕に何が出来るかというのはぼんやりだけど形になってきている。

今の社会がおかしいからなんとかしたいと考えているのはサニアだ。そのために発言力が欲しいとサニアは言った。そしてそのために大学に行くといった。すごいなあと思うけど僕にはそこまでのことは出来そうにないと思う。とはいうものの、発言力とまでは言わないけれどせめて影響力がある仕事に就きたいと思うのはおこがましいだろうか?ケイトあたりに言ったら、それは農園で働いても工場で働いても誰かの役に立っているしひいては社会の役に立っていることになる、とか言われそうだな。

でも僕はもうちょっとわかりやすい何かをしたいと思う。

例えば、ドクタースイブはヤコブの命を助けた、みたいな。まあ医者は無理だし、リザリィの言っていた医療関係の専門学校はいいかもしれないと思って少し調べたけど、僕は数学が苦手だというのがネックだった。


中学校の時の数学教師がイヤなヤツでそれで苦手になったのかもしれない。ああ、でも歴史と生物は好きだったな。歴史の教師の話は面白かった。

そっちの方面の専門学校に行って教師というのもいいかもしれない。歴史か生物の。

そう言えば今のパートナーのミサナも故郷の惑星に帰ったら専門学校に行って教師になりたいと言ってたな。

ケイトに聞いたところによると、1次も2次も3次も、B計画の参加者は参加報酬の500万コインで上の学校へ行った人が多いらしい。

みんなちゃんと考えているんだ。あんな理由でここに来たのは僕ぐらいなのかも。


でも、僕が参加報酬の500万コインで専門学校に行って技術者階級になったら、中流階級のエリナと結婚するには年齢が違うということ以上に障害が大きい気もする。

最初はよくてもリザリィの両親のようにやがて喧嘩をすることになるんだろうか?

両親の片方が技術者階級でももう片方が中流階級なら子供の専門学校に行くための学費は1人分しか用意できないらしい。子供が1人しかいなくても、子供が1人と2人では税率が違うから、1人の半分の分ぐらいしか用意できない。

そして、親は子供には自分と同じかそれ以上の生活をして欲しいと望む。そこのところは親になったことが無いからよくわからないけれど。


そもそもB計画に応募したのはエリナと結婚したかったからだけれど、僕は本当にエリナのことが好きなんだろうか?最近はそれすら疑っていた。

確かに、かわいいな、とは思った。思ったけど、僕はここでアウラやリザリィや、いろんな女の子とペアになって、みんなそれぞれいいなと思えた。

最初は僕はなんて気が多いんだろうと思ったけれど。


けれどそれは他の人と話をしてわかった。みんな多かれ少なかれペアになってそういうことをした相手に好意は持つようだ。

ああ、フランは例外かな?いや、フランもタキタ以外を嫌っているというわけではない。


そして思い至ったのはエリナのことだ。

彼女は今でも僕を待っていてくれるのだろうか?


エリナが今でも僕を待っているというのは幻想ではないだろうか?


エリナは僕よりは現実的な考え方をすると思う。1年前、年齢が違うから、結婚するためには僕を1年待たせてしまうからと別れを切り出したのはエリナのほうだ。

だから、僕が技術者階級になると言ったら結婚できないと言い出すかもしれない。


ともかく、エリナのことは故郷の惑星に帰って彼女と話をしてからのことだ。

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