表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/76

35 サニアの仮説

知らないならいいわ。サニアは席を立とうとしたけど。「ちょっと待ってよ」僕は引き止めた。

こんなわけわからない状態で話を終わりにされたらたまらない。サニアがあのことに関して疑いを持っているのかどうかさえわからないんだから。


「僕にわかるように説明して、、、ください」


サニアは少し迷っているように見えたけど、それはもったいぶっているということではなくて、本当に僕に話しても大丈夫なのかどうかを迷っているようだった。

やがてサニアは、ジェイミィは口が堅い?そう聞いてきた。

僕は最大限誠実に見えるように、「何を聞いたとしても、サニアがそれを誰にも言って欲しくないんだったら僕は誰にも言わない」そう言った。


そうよね、ありがとう。あのさ、これは私の仮説なんだけど、同じようにそういうことをしても子供が出来やすい日と出来にくい日があるって言ったら?

「えええ、そうなの?聞いたことがないんだけど」そりゃまあそうよね、学校ではそんな事教えない。

「日、っていうことは何月何日とかそういうこと?」僕が聞くとサニアは僕にもわかるように説明してくれた。


女性にはだいたい28日周期で生理があるわよね、そこまでは知ってる?「知ってる」

で、その生理から次の生理までのあいだに子供が出来やすい日と出来にくい日があると私は考えているの。

「ちょっと待って、そんなのがあるなら35歳までに子供ができなくて強制労働をさせられる人とか、3人目ができてしまって貧民窟に落ちる人とがいなくなるじゃない」

必ず、ではなくて、あくまでも出来やすい、出来にくい、という話よ。

「でも、なんていうか信じられない。それならまだ、前に所長が言ってた男の子に女の子の名前を付けると丈夫に育つという話のほうがわかる気がする」


だからね、アウラがすぐに妊娠したのは、最初がアウラが出来やすい日で、リザリィは初日が出来にくい日だったからあえてジェイミィがそういうことをしようとしなかった、

ジェイミィは今私が話したことを知っててそうしたのかなと思ったの。


僕には出来やすい日とか出来にくい日というのが未だにピンと来ていないけど、サニアの言うことは一応筋は通っている。だから僕もサニアが納得できるように言葉を続けた。

「アウラが最初に妊娠したのは運がよかったからだと思う。それから、初日にリザリィとそういうことをしようとしなかったのは、アウラと1ヶ月過ごした中で、そういうことはある程度お互いのことがわかった上でした方がいいんじゃないかと思ったからだ」と。まあ、ウソと本当のことが混ざってるんだけど。


なるほどね。サニアは一応は納得してくれたようだ。僕の故郷の惑星では、結婚してすぐに子供ができると「運がよかった」という言われかたをする。


「でもそんな話ならドクターとかは知ってるんじゃないの?」

僕は、僕とアウラの秘密が知られたのではないことに安心して続けた。

本題はここからよ。以前にドクターに、、、

サニアがそこまで言った時、ラボのドアの外に誰かの気配がした。


続きは今度ね、サニアは小声でそう言って話題を変えた。


私はやっぱり柔らかいパンの方が好きね。

「そうかなぁ、僕はあの外の皮がパリッと固いやつの方がいいな」


なになに、何の話?と入ってきたのはトラルだった。

うん、どの合成パンが好きかという話。


そっかー、俺はあの柔らかいパンをはじめて食べたときは衝撃的だったなぁ。トラルは、日常的に固いほうのパンを食べていた地区の出身者だったようだ。

その後は強化スープの話になって、適当な所でサニアがあんまりサボっててもいけないわね、と紙の本を棚に戻して行ってしまった。


サニアって美人だよなぁ。サニアがいなくなったとたんにトラルが言う。「そう?僕はもっとかわいい感じの子がいいな」テキトウに合わせておく。

かわいい系かぁ?フランみたいな?「うーん、フランは確かにかわいい系だよね」

俺はあのフランの細すぎる身体にはあんまり魅力を感じないけどさ。


トラルは単純だ。

僕はサニアの話の続きが気になっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ