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1 序章

……


ミィ……


ジェイミィ……


ジェイミィ……


わかりますか?」


僕の名前を呼ぶ声がする。知らない女性の声だ。

さっき眠りについたばかりのような気がするのに何故もう起こされるのだろう?


「ジェイミィ、わかったらゆっくり目を開けて」

僕は言われた通りに目を開ける。ぼんやりした光の中、白い服を着た女性が見える。あれは白衣だろうか。


「次は手の指を動かせるかしら?」

僕は手を動かそうとするけれど、筋肉は硬くこわばって、ギシギシと音を立てそうだった。


そうやってゆっくりと身体を動かしていき、僕はよろよろと今まで自分が寝かされていたものの横に立ちあがった。

それは細長いカプセルのようなもので、僕は筋肉が落ちているわけではないはずなのに、3日間という短い期間だったとはいえ、コールドスリープのあとはまるで長時間眠りすぎて目が覚めた昼下がりのようにだるかった。


「あっちの出口まで歩ける?」

僕はふらふらと出口を目指し、そこから見えたものは一面の茶色の世界。


そうだ、僕は僕が生まれた故郷の惑星とは違う惑星に着いたのだった。


それから、この惑星に運ばれた24人は一列になって歩かされ、コンクリートでもアスファルトでもない地面を歩くのはヘンな感じがしたけど、歩きにくいわけではなくむしろ歩きやすくて、かすかに足跡が残った。

やがて、黙って歩く僕たちの向かう方向になにか塊のようなものが見えてきたけれど、それが建物だと最初はわからなかった。だって僕は今まで「平屋」の建物なんて見たことがなかったから。


その塊にだんだん近づくと、いくつかの建物が固まって建っていることがわかった。そこが僕たちがこれから1年間暮らす場所になるのだろう、そう思った時、さーっと風が吹いた。


と同時に周りの空気が一瞬青く変わった。歩いていた僕たちから「ほーっ」と声が漏れた。

大気の成分かこの惑星の恒星の光のせいなのか知らないけれど、風が吹くと一瞬大気の色が変って見える、ここは青い風の吹く星。


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