始まり
何の変哲も無いとある日のこと、1人の青年はいつものように日常を過ごしていた。いつもと変わりない同じ様な時間に起きて煩わしそうに目覚ましを止めたり、学校に行って道行く美女に見とれて友人にからったわれたり、購買のパン買い競争に参加したりと15の年齢相応に楽しく過ごしていたが…下校時に道で倒れそのまま事切れた。
気がつけば俺、世渡 生也は見知らぬ場所にいた。高い天上に辺りいっぱいのきらびやかな装飾、世紀の大金持ちであってもつくれなさそうな巨大で豪華な神殿に俺は特に何かを考えるわけでもなくただただボーッと突っ立ってた。
「おかえり、ヴィーダ」
麗しい声に呼ばれた気がして振り向いた先にいたのは絶世の美女だった。無意味に立ちぼうけてた先ほどと違い俺は蒼髪の美人に見とれぼうけてた。
「ヴィーダ?どうかしたの?ポーッとして」
長いウェーブ髪がよく似合う美女に心配そうな表情でのぞき込まれ、俺は何か言わなきゃと思い言葉を絞り出そうとするより早く背が低めの美女は驚いた顔で俺の両頬をつかんで真っ直ぐ俺の目を見た。そして俺が反応する間もなく離れブツブツ呟き始めた。
「何で…魂が弱ってる。ああ、帰りが早いと思ったら……記憶が…どうする…これじゃ…レクルエドに…催眠…いやでも…うん……」
美女が何かを延々とブツブツ考え込んでる、俺は怖くなった。何?記憶だとか催眠だとかただただ怖い。洗脳でもすんの?逃げ出したくて割とすぐ近くにあった出口に恐る恐る近づいて見たが神殿の外は地続きしていなかった。
ここは普通の場所じゃないと改めて思った俺は状況を理解するべく未だ考え込んでる女性に話しかけることにした。
「すいません。あの「待ってて!!」え、あ、はい」
遮られた。何が何だか分からないが取り敢えずもう大人しくしとこ。
しばらくして申し訳なさそうな表情で美女が話しかけてきた。
「取り乱してごめんなさい。ここは神殿エンカルナで私は転生の女神クラシルよ。」
女神様?最初あんなにフレンドリーでさっきは少し怖かった女の人が?ま、こんな場所だし唯一の情報源なんだしで今は全部本当だと思って話を聞いてみるか。転生の女神と言うことは
「俺は…死んだのですか?」
「…ええ。そうよ。」
死んでたー!死んでたのは俺の間違いで寝ていた時に少し迷い込んでしまったとかそんなオチであって欲しかった。
「貴方にはこれから転生してもらうんだけど、貴方の転生は少し特別で…
それから女神は説明を始めた。
俺、“ヴィーダ”は記憶を保持したまま転生を繰り返していた特別な存在だったらしい。その縁で女神様とも知り合いだったが今は記憶もきれいさっぱり無くしている。
俺は元々は剣と魔法の世界で転生を繰り返していたらしい。それが異世界の地球に転生したせいで魂が弱り記憶も無くわずか15歳でポックリ亡くなったそうだ。道理で死んだ覚えも心当たりもないのにここにいる訳だ。
これから転生させられるが元の世界(剣と魔法の)であるため記憶を無くす心配は無いらしい。
「以上だけどもう転生させちゃってもいいかな?」
「ちょっと待って下さい心の準備が…」
「問題ないわね、じゃ行ってらっしゃい」
「えっ!ちょ
眩い光が辺りを包んだ。
〔チュー〕
〔チュチュッチュ〕
〔チュチュチュ〕
俺は甘かった。剣と魔法の世界に転生すると聞いておれはこっちの世界の人間かエルフ、ドワーフ、獣人とかに転生するとばかり思っていた。それかドラゴンとかのファンタジーでカッコイイ生物になれるとばかり思っていた。それなのに…それなのに!!
ネズミってなんだよ!!
〔チューチュー〕
〔チュチュー〕