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第二幕 硫黄の薫りに消失た魄塩の街


 第二幕 硫黄の薫りに消失た魄塩の街


 硫黄に包まれた魄の街。

 祈りを捧げ続けていた魄の存在もあったはずの場所。


 超時空間の天への糧となるだけの人間という魄だけが存在するそこはどこか街のようでもあった。


 蒼空より空に浮いたようにもある。

 うっすらと移り変わる中天の月。

 ゆっくりとした風に流れてゆく雲。

 平穏なる祈りの刻。

 その魄の集まりし街のようにもある場所。


 それは突然に訪れた。


 刻は暗闇に包まれるまでのほんの僅かな宵闇にあり、空はその凡てを緋き彩色いろに染めていた。然して蒼空より遠い宙に浮いたようにもある月の中天を過ぎ、見上げた空の雲を突き抜けて……それは永久に祈りを捧げ続けてもいるような……姿形を持たない魄だけが存在し集まっていた場所。どこか街にもあるように思えた場所へ……。超時空間の天より解き放たれた魔石……粧青い瑠璃金石に不思議に秘められていた……力……脅威なる破滅の一閃をその地上にある場所に向けて放つと……それは地上に向かってゆく。


 そんなようにもある……超時空間の天からの一閃。粧青い魔石。瑠璃金石より放たれし天雷いかづちの光の一閃を解き放つとそれは空にある大気の塵灰ちりをもその風渦うず内側なかに集めては紫青あお彩色いろに燃えながら地上に向かっていった。


 然して……天雷いかづちは燃えながら硫黄の爆熱の火の球になってゆくと、祈りの魄の存在が集まるようにもあった街に堕ちた。


 暗い空。血のように緋き空の彩色。紫青に燃える彩色をした火に包まれた星が流れていった。


 地上に向かっている紫青の硫黄の火球。それが祈りの魄の街に降った。美しくもどこか幻想的な……そんな火の雨が一斉にそこに集まるように。


 突然の雨。

 彩色いろのついた雨。

 紫青に燃える火の雨が降る。


 建物は一瞬で揺らめく星のようになり、魄の存在にある人間は超時空間の天への祈りも虚しく……姿形もない実態でもその侭に……そこで触れなければ崩れないような塩の塊に変わった。


 刻は経過ち数千……幾千という永き刻が流れてゆくが魄は空から堕ちてきた硫黄の火球により塩の塊に変化った侭……地上のとある場所でひっそりと静かに遺されていた。でもそれは何かの彫像のようにも見えてもあり、そこに姿形を持たない人間という魄だけが存在した事にも……それはいつかの人間。地上にあった人間といった存在の姿形を何故かしている。


 魄の存在。

 それに宿り続けている想い。

 

 何かそれは姿形を持たない侭であっても、どこか不思議な表情を浮かべているように……塩の塊に変化った人間の魄は宿り続けている想いによってなのか? 既に消失した姿形……そんな雰囲気を漂わせてもいたようだった。


 

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