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第二篇 第一幕 凍りの幽閉の地


 第一幕 氷壁の陰影


 漆黒の暗闇の地の底に見つけた。それは秘密粧いた天の偽り。閉ざされた場所。地上からも遥か遠く離れし……深き場所。地も爆熱に溶け崩れ流れている灼熱の河。そこよりも深き遠き場所。凍えた暗闇の世界。


 天より堕とされたミカエルは見てしまう。いつかの旧き刻。その一点、時間の移り変わりは天にしてみてはほんのわずかな一瞬の刹那。その刻にいた地上の楽園の凡ての生命体の頂点だと……そんな畏れも知らぬ。地上の楽園を破壊こわし続けていては支配を続けていた者ども。その魄の脱け殻の睡眠ねむり続けている場所。


 睡眠りから醒めようとする煌めき。そんな曉の日射しが訪れる事は……その場所には永久にないだろう。暗闇も溶けるような暗黒の凍った地。その地にあるいつまでもに溶ける事はないだろう凍壁のなかに……。


 天は生まれた刻。

 凡ての生命体はその姿形を地上から消失なくした。

 それ迄の存在する地上では悠久とすら思える時間だったとしても、然し天にしてみては一瞬よりも僅か……瞼の瞬きですら気がつかない刹那の刻。


 地上にいた凡ての生命体はそんな天の生まれた刻に…魄とその肉体を分離わけられた。それは天の糧でもありし人間の魄の祈りの力を得るだけに……それだけの意味に。


 漆黒にも似た煌めき。暗黒に凍った地はどこか黒檀の放つ鈍い耀きのようにも見えた。その凍る地の凍壁のなか。何かの形の陰影がある事にミカエルは気がつく。


 然してそれはいつかの刻……どこかで聞き覚えていたようにもある声がミカエルに向けられていた事と……。


 あれは……我が……。いいや……天の存在の生まれた刻。


 その刻に……最期に見た……。


 あれは……人間……。


 ルシファー回顧録


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