テンプレばかりの俺ツエー転生を目指す小説はこちらです
眠りから目が覚める時の、眠りの水底から急速に意識が浮上してくるような感覚が好きだ。
心臓がバクバクと脈動し、呼吸は浅くなり、それまで閉じていたはずの瞳が徐々に乾いていく。
ボクにとっての目覚めは、闘争状態へと心身が入れ替わる事と同じ意味なのだ。
そんな睡眠リズムで身体の疲れは癒されるはずはなく、15歳のボクの顔は疲れきっていた。
シミのようにこびりついて取れない目の周りのクマ、白髪が混じり油がとれてパサパサした髪。
痩せこけた頬。
15歳らしい子どもじみた顔立ちに、疲れ切ったリーマンのような様相は自分で言うのもなんだがチグハグだ。
そんなボクの唯一の心の癒しは、小説かになろうで読む俺ツエー転生系の物語だ。
本当の自分はこんなものじゃない。
いつか目が覚めたら、ボクもこういう世界に生まれ変わって、こんな疲れ切った人生とは違う、自分らしい生き方がしたい。
今の自分は本当の自分じゃないんだ。
小説を読むたびに、ボクは癒され、僕は傷ついていく。
それでも、疲れ切った現状から逃れる為の唯一の救いが、そういった小説達なのだ。
だから、ソレがやってきた時、ボクの心は吐き気を催す程の歓喜に打ち震え、涙があふれ出たのだ。