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ささくれ黙示録 ~ショートショート集・ソノ1~

ショートショート003 覚醒

作者: 笹石穂西

 ある男がいた。家族もあり、まだまだ働き盛りの年齢でもあったが、重い病にかかっていた。


 そしてある日、ついに昏睡状態に陥った。




 ふと気がつくと、男の目の前には川が流れていた。

 川には船が横着けされ、船頭らしき老人が座っていた。


 男は老人に話しかけた。


「ご老人。私はまだ死にたくない。お願いします、何とか戻れないものでしょうか」

「そう言われても困ります。ここに来た人をこちらからあちらへと運ぶのが私の仕事です」

「そうおっしゃらずに、そこを何とか。妻と幼い息子がいるんです。このままでは死んでも死にきれない」

「そうまで言われては仕方ない。あなたの意識を戻す方法を教えてさしあげましょう。しかし、そこから先、生き返られるかどうかは保証できませんよ」


 そう前置きして、老人は現世に戻る方法を男に教えた。


「あなたの後ろにあるあの林、あそこに向かいなさい。林の中をしばらく進むと、古い小屋がある。その中に入れば、あなたは体に戻れます。うまく目を覚ますことができたならば、とりあえず生き返ることはできるでしょう。ですが、その後のことは保証できませんぞ。あとはあなたの気力しだいです」


 男は老人に礼を言って、林へと向かった。茂みをかき分けて歩いていくと、老人が言った通りに古ぼけた小屋があった。中に入ると、強い光に襲われ、男は意識を失った。




 どれくらい時間が経っただろうか。不意に、かすかな話し声が聞こえた気がした。老人のものではない。どうやら無事に戻れたようだと、男は朦朧とした意識の中でほっと息をついた。あとは自分の気力しだい。まだぼうっとしているようだが、目を覚まして、治療をしてもらって、病気を治さなければ。


 かすかだった話し声が、だんだんと聞きとれるようになってきた。何を話しているのだろう、と思ったとたん、強烈な眠気に襲われ始めた。いけない。このまま目を覚まさなければ、あっちの世界に逆戻りだ。


 しかし、眠気はどんどん深くなる一方。再び薄れていく意識の中で、ようやく会話の内容が理解できた。


 「麻酔完了。それでは手術を開始します……」

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― 新着の感想 ―
[良い点] そうきますか。 [気になる点] まあ、全身麻酔なら意識があっても大丈夫でしょう。
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