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箸休め ステゴサウルスの背ビレは何のためにある?

 番外編です。

 本編では紹介しきれなかった雑学を紹介しています。

 広く浅くをモットーにしている当シリーズ。

 もっと詳しいことを知りたい方は、ぜひ文末の参考資料をご覧下さい。

 ちなみに別作品でも、同様の番外編を公開しています。

 興味がありましたら、ぜひご覧下さい。


『亡霊葬稿シュネヴィ (ロプノール)三丁目の夕日/おくりびと/風と共に去りぬ』

 アドレス:http://ncode.syosetu.com/n2552dn/


『亡霊葬稿ダイホーン だれが変温の哺乳類を操っているのか/コリカンチャとカト●チャはインカに違うのか』

 アドレス:http://ncode.syosetu.com/n6068dr/

亡霊葬稿ゴーストライターマスタード』本編で語った通り、〈シュネヴィ〉の風車はステゴサウルスをモチーフにしています。


 以前語りましたが、〈シュネヴィ〉の提灯ちょうちんから現れる武装は古生物をかたどっています。前回はタペジャラを取り上げましたが、今回は風車のモデルになったステゴサウルスを紹介したいと思います。


 尚、タペジャラに関する説明は、『亡霊葬稿ゴーストライターシュネヴィ』の番外編(『何が何やらタペジャラ』)をご覧下さい。

(http://ncode.syosetu.com/n2552dn/)


 ステゴサウルスと言えば、恐竜の中でもメジャーな存在です。ティラノサウルス、トリケラトプスと並ぶ人気者で、玩具おもちゃのモチーフにも多用されています。


 しかし詳細に関しては、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。


 そもそも彼等は装盾そうじゅんるい剣竜けんりゅうるいに分類される草食恐竜で、ジュラ後期の北米に棲息していました。全長は約9㍍、体重は5㌧ほどで、尾には4本のスパイク(棘)が生えています。


 このスパイクは、肉食恐竜から身を守るために使われたと考えられています。

 実際、2005年、アメリカのユタしゅうで発見されたアロサウルスの背骨には、スパイクで空けられたとおぼしき穴が残っているそうです。


 アロサウルスはジュラを代表する肉食恐竜で、全長は約9㍍、体重は1.5㌧前後だったと推測されています。風貌はティラノサウルスによく似ていますが、噛む力はずっと弱く、ライオン以下だったそうです。

 ちなみに作者がよく行く上野うえの国立こくりつ科学かがく博物はくぶつかんには、アロサウルスの全身骨格(本物)が展示されています。


 ジュラとは今から約2億年前から約1億4400万年前のことで、フランスとスイスの国境にあるジュラ山脈から名付けられました。


 この時期にはステゴサウルスの他にも、始祖しそちょうやブラキオサウルスと言った生物が棲息していました。またジュラ後期の海に棲んでいたリードシクティスは、全長20㍍にもなる巨大魚として知られています。


 一般にステゴサウルスには、ティラノサウルスやトリケラトプスと同じ時代に生きていたイメージがあります。

 しかしその実、ティラノサウルスやトリケラトプスは、白亜はくあ(約1億4400万年前~約6600万年前)末期に棲息していた恐竜です。この頃、既にステゴサウルスは絶滅していました。


装盾そうじゅんるい」とは、恐竜のグループの一つです。その名の通り、立派な盾を持つ恐竜たちで、更に二つのグループに分けられます。


 一つ目が甲羅のように背中の骨を発達させたグループで、「鎧竜よろいりゅうるい」と呼ばれます。


 アルマジロ似のアンキロサウルスは、この鎧竜よろいりゅうるいに含まれる恐竜です。


 アンキロサウルスは白亜はくあ末期の北米に棲息していた恐竜で、体長は10㍍前後だったと考えられています。尾は棍棒のような形状で、肉食恐竜から身を守るのに使われました。


 彼等もまた特徴的な姿から、モチーフに使われることの多い恐竜です。


 映画「ゴジラの逆襲」に登場するアンギラスは、ゴジラが始めて戦った怪獣です。また戦隊シリーズの「獣電じゅうでん戦隊せんたいキョウリュウジャー」では、キョウリュウシアンの相棒としても活躍しました。


 二つ目がプレート状の骨を背ビレのように生やした恐竜たちで、こちらは「剣竜けんりゅうるい」と呼ばれます。


 有名ゆうめいどころと言えば、ステゴサウルスをおいて他にはいないでしょう。

 またジュラのアフリカに棲んでいたケントロサウルスも、知名度の高い存在です。先述の「キョウリュウジャー」でも、「ケントロスパイカー」と言う武器のモチーフに採用されました。


 個性的な背ビレは、「ステゴサウルス」と言う名の由来にもなっています。


 発見された当初、彼等の背ビレは屋根のように、背中を覆っていたと誤解されていました。結果、彼等は「屋根に覆われたトカゲ(ステゴサウルス)」と名付けられてしまったそうです。


 背ビレがどういった役目を持っていたかについては、現在も判明していません。


 ただ有力なのが、「体温調節に使っていた」と言う説です。


 この説によると、彼等の背ビレには血管が張り巡らされていたと言います。事実、背ビレの化石には細い溝が幾つも残されており、血管の痕跡と考えられています。


 以前、『亡霊葬稿ゴーストライターダイホーン』で説明しましたが、ウサギは長い耳を使い、体温を下げています。

(http://ncode.syosetu.com/n6068dr/)


 ピンク色をしていることからも判る通り、長い耳の中には血管が通っています。

 ウサギはここに風を当てることで、血液の熱を発散させています。全身を循環する血液が冷たくなれば、必然的に身体の温度も下がると言うわけです。


 同様にステゴサウルスの背ビレを流れる血液は、体温の調節に使われました。


 体温を下げたい時は背ビレを風に当て、血液の温度を下げます。逆に体温を上げたい時は、背ビレに日差しを浴び、血液の温度を上げたそうです。


 これも諸説ある話ですが、ステゴサウルスは群れで暮らしていたと考えられています。そしてまた一緒に暮らしていたのは、同族だけではないようです。


 ステゴサウルスの化石が発見される地域からは、しばしばカンプトサウルスの化石も発掘されます。2008年には、ステゴサウルスとカンプトサウルスの足跡が同じ場所から発見されました。


 このことから、二種類の恐竜が共に暮らしていたと見る向きもあります。


 カンプトサウルスはジュラ後期に棲息していた草食恐竜で、外見は有名なイグアノドンによく似ています。全長は約6㍍、体重は800㌔前後で、北米やヨーロッパを住処すみかにしていました。


 巨体を誇り、スパイクを持つステゴサウルスとは異なり、カンプトサウルスは非力な恐竜でした。反面、頭骨の化石から、目や脳は大きかったことが判明しています。肉食恐竜を見付けるのは、ステゴサウルスより得意だったでしょう。


 本当に行動を共にしていたなら、両者は一種の共生関係にあったのかも知れません。


 すなわちち強力なステゴサウルスは、カンプトサウルスを肉食恐竜から守ります。代わりにカンプトサウルスはいち早く敵を見付け、ステゴサウルスに危険をしらせていたようです。


 と言うわけで、三度幕を切ってしまった当シリーズ、お楽しみ頂けたでしょうか。初回から結構長くなってしまいましたが、今後もお付き合い頂ければ幸いです。


 参考資料:オールカラー完全復元 絶滅したふしぎな巨大生物

            川崎悟司著 (株)PHP研究所刊

      地球ドラマチック 「プラネットダイナソー(2)

                   最強のハンターを探せ!」

        2013年12月28日放送 放送局:NHKEテレ

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