箸休め 色々な色 ⑦陰陽五行説と黄色
番外編です。
色に関する雑学を紹介しています。
「箸休め」を書く時には、学校で使っていた資料集が役立つことが多いです。
今回紹介している五行も、中学で使っていた資料集を参考にしています。
当時は見向きもしなかったんですが、今はことあるごとに頼ってます(笑)
色に関する雑学を紹介している今回のシリーズ。
前回からは、権威の象徴とされる黄色を取り上げています。
中国では長い間、黄色が皇帝の象徴でした。秦(紀元前221年~紀元前206年)の始皇帝から中国最後の王朝である清(1616年~1912年)まで、皇帝は黄色い衣服を纏ったと言います。
また以前紹介した「黄帝」にも、「黄」の文字が使われています。
「黄帝」は伝説上の王で、中国医学の創始者とも言われています。詳しくは『亡霊葬稿シュネヴィ』の番外編(『ショックな生薬! ①漢方=薬ではない?』)をご覧下さい。
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前漢(紀元前206年~西暦8年)に書かれた歴史書・史記には、既に黄帝の名前が登場します。始皇帝の話と言い、中国ではかなり古くから黄色を特別視していたようです。
しかしなぜ、中国の人々は黄色を尊んだのでしょうか。
一説によると、その背景には「陰陽五行説」があると言います。
「陰陽五行説」は万物が陰と陽、五行で成立していると言う思想で、戦国時代(紀元前403年~紀元前221年)の末期頃に発生したと考えられています。元々は「陰陽説」と「五行説」と言う別々の思想でしたが、融合して現在の形になりました。
読んで字の如く、「陰陽」とは「陰」と「陽」と言う気のことを指します。
「陰」は夜、女、月、マイナス、「陽」は昼、男、太陽、プラスと言った具合に相反する性質を働かせ、宇宙の秩序を保っていると考えられています。
一方、「五行」とは、木、火、土、金、水と言う五つの元素を指します。「陰陽五行説」では人間を含む森羅万象が、この五つで出来ていると説明しています。
これら五つの元素は、それぞれ四季や方位とも結び付けられています。五行に分類された事物は多岐に渡りますが、今回は身近なところを紹介したいと思います。
季節 方位 色彩 味覚 伝説上の生物
木→ 春 東 青 酸味 青龍
火→ 夏 南 赤 苦味 朱雀
土→ 土用 中央 黄 甘味 黄龍
金→ 秋 西 白 辛味 白虎
水→ 冬 北 黒 塩辛い 玄武
上記の通り、五行の木には黄色と中央が分類されています。このことから双方が結び付けられ、黄色が物事の中心、中央を意味する特別な色になったそうです。
土に分類される黄龍も、玄武、青龍と言った「四神」の長です。
四神は各方位を司る架空の生き物で、スクエニ的な塔を守っていることでも知られています。奈良県のキトラ古墳や高松塚古墳に、壁画が残されていることでも有名です。
黄色、あるいは黄金の龍とされる黄龍は、紫禁城の壁にも描かれています。
紫禁城は中国の北京にある世界遺産で、かつては明(1368年~1644年)や清の王宮として使われていました。現在は故宮博物院と名を変え、一般に開放されています。
余談ですが、「青春」と言う表現は五行に由来します。元々は木に分類される「青」と「春」を合体させた言葉で、単純に春を意味しました。
あまり知られていませんが、春以外の季節にも色を冠した呼び方があります。
夏は「朱夏」、秋は「白秋」、冬は「玄冬」で、詩人の北原白秋はここからペンネームを取りました。
土に分類される「土用」は、季節の変わり目を指します。
具体的には立春、立夏、立秋、立冬の前18日間のことで、現代でも夏の土用にはウナギを食べる習慣が残っています。
色に関するアレコレを紹介した今回のシリーズ、お楽しみ頂けたでしょうか。
当初は3回程度を予測していたのですが、蓋を開けてみれば7回に渡る大作になってしまいました。
取り上げる内容も生物から歴史までと、まとまりがなくなってしまったことをお詫びします。まさかカブトガニを熱く語ることになるとは……。
色にはまだまだネタがあり、今回語れなかった話もたくさんあります。キュアミューズへの愛とか、キュアミューズへの愛とか、キュアミューズへの愛とか。
機会があれば第2シーズンを開催したいと思いますので、期待しないでお待ち下さい。
参考資料:色彩心理のすべてがわかる本
山脇恵子著 (株)ナツメ社刊
色の知識 ――名画の色・歴史の色・国の色――
城一夫著 (株)青幻舎刊
東洋神名事典
山北篤監修 (株)新紀元社刊




