箸休め パワーストーンで気になるア・イ・ツの♡をゲット! ①御徒町の「御徒」ってなに?
番外編です。
本編では紹介出来なかった雑学を紹介しています。
タイトル通り、今回の題材はパワーストーンです。
第1回目は、タイガーアイやインカローズを取り上げています。
『亡霊葬稿マスタード』で説明した通り、〈死外〉たちは人間離れした力を持っています。そして彼等はその力を抑えるために、各自違う鉱物で出来た数珠を身に着けています。
古来より、人類は鉱物に特別な力を感じてきました。
以前紹介しましたが、アメジストには悪酔いを防ぐ効果があると信じられていました。悪酔いを防ぐ薬として、粉末状にしたアメジストを服用することもあったそうです。
事実、「アメジスト」と言う名前は、古代ギリシア語の「amethustos」に由来します。「amethustos」とは「お酒に酔わない」と言う意味で、当時の人々がアメジストに神秘的なパワーを感じていたことを裏付けています。
古代インドでは、エメラルドに毒を消す力があると考えていました。また十字軍の兵士は、ガーネットに血を止める効果があると信じていたそうです。
鉱石に関しては、『亡霊葬稿シュネヴィ』の番外編(『ダイヤモンドは砕けモース』)シリーズで詳しく語っています。興味がありましたら、是非ご覧下さい。
今でもアメ横のある御徒町には、パワーストーンを扱う店が軒を連ねています。店と言う店に色とりどりの石が並べられた様子は、現代の鉱山と言ってもいいでしょう。
ちなみに御徒町と言う名は、江戸時代の御徒士組に由来します。
徒士とは身分が低く、馬に乗ることを許されない武士を指す言葉です。その徒士を集めたのが御徒士組で、主に将軍の身辺警護を務めていました。
江戸時代、現在の御徒町には徒士が多く住んでいました。このことから「徒士の街」、「御徒町」と呼ばれるようになったそうです。
とは言え、現在「御徒町」と言う名前は、駅にしか使われていません。1964年までは正式な町名でしたが、現在は「上野」や「東上野」に変更されています。
話が脇道に逸れてしまったので、本題に戻しましょう。
色鮮やかなパワーストーンは、アクセサリーとしても重宝されています。オーソドックスな数珠は勿論、ネックレスにブローチと、カラフルな石を身に着けている方は珍しくありません。
パワーストーンの世界に興味のない方でも、「タイガーアイ」や「ラピスラズリ」と言う名は聞いたことがあるはずです。反面、それぞれの石がどういった鉱物なのかは、意外と知られていないのではないでしょうか。
と言うわけで今回は、知っているようで知らないパワーストーンに焦点を当てたいと思います。皆さんの手首を飾る石には、意外と凄い歴史が隠れているかも知れませんよ?
沼津半平の使っている「タイガーアイ」は、パワーストーンの中でもポピュラーな石です。価格も安く、500円以下から手にすることが出来ます。
外見は金色、あるいは暗い黄色で、トラの目のように黒い筋が入っています。
ことパワーストーンの中で、タイガーアイほど名は体を表しているものはないかも知れません。日本語でも「虎目石」と呼ばれ、主に南アフリカやアメリカなどから産出されます。
鉱物としては石英とクロシドライトが混じったもので、モース硬度は「7」とされています。
モース硬度とは鉱物の硬さを示す指標で、傷の付きにくさを表しています。全部で10段階に分けられており、数字が大きいほど傷が付きにくくなります。詳しくは『亡霊葬稿シュネヴィ』の番外編(『ダイヤモンドは砕けモース』シリーズ)をご覧下さい。
タイガーアイを形作る石英は、モース硬度「7」の基準に使われる鉱物です。無色透明な石は「水晶」と呼ばれ、多くの人に親しまれています。
一方、クロシドライトは角閃石と呼ばれる鉱物の仲間です。繊維状の構造を持つ鉱物で、「青石綿」の異名を持ちます。
パワーストーンとしてのタイガーアイには、決断力を高める働きがあると言います。更に、金運をアップさせる石としても有名です。作者もタイガーアイの数珠を持っていますが、2017年の宝くじは300円しか当たりませんでした(怒)
タイガーアイはまた、カラーバリエーションが豊富な石としても知られています。青い石はホークスアイ、赤い石はレッドタイガーアイと呼ばれ、それぞれ違う効果を発揮するそうです。
一方、ハイネ・ローゼンクロイツの着けている「インカローズ」は、タイガーアイに比べて知名度の低い石です。
「インカローズ」は桜色、あるいは薔薇色の石で、「ロードクロサイト」とも呼ばれます。パワーストーンの世界では恋愛に効果があると考えられており、持ち主の魅力を高める働きもあるそうです。
ぜひ×2幼気なJSやJCにオススメしたいのですが、インカローズには一つ難点があります。恋するオ・ト・メに立ち塞がるもの、それは値段です。
インカローズは、パワーストーンの中でも高価な部類に入る石です。
大粒の石になると、一個2000円、3000円することも珍しくありません。
通販サイトをチェックしてみると、数珠には1万円以上の値が付いています。パワーストーンと言うより、少し安い宝石と考えたほうがいいのかも知れません。
その名の通り、インカローズはかつてインカ帝国が支配していた地域から産出されます。
具体的にはペルーやアルゼンチンと言った場所で、実際にインカ帝国の掘った鉱山からも発見されています。インカ帝国の人々は銀や銅を掘り出していたようですが、インカローズを装飾に使うこともあったかも知れません。
またインカローズは、アメリカや南アフリカでも発見されます。特にコロラド州のスイート・ホーム鉱山で採掘される石は美しく、最上級の品に位置付けられています。
美しい色合いの通り、インカローズはデリケートなパワーストーンです。
湿気の多い場所に置いておくと、黒く変色してしまいます。また10円玉で引っ掻いた程度で傷が付くため、取り扱いには注意が必要です。
そんな弱々しいインカローズですが、鉱物としての名前は「菱マンガン鉱」と言います。薔薇色の石にしては、なかなか無骨な名前です。
菱マンガン鉱は方解石と呼ばれる鉱物の仲間で、モース硬度は「3.5」から「4」の間とされています。「菱」と言う名前の通り、ひし形の結晶を作るのが特徴です。また粒状の結晶や、牙のような形の石が発見されることもあります。
方解石は石灰岩の主成分となる鉱物で、モース硬度「3」の基準にも使われています。こちらも『亡霊葬稿シュネヴィ』の番外編で詳しく紹介していますので、宜しければご覧下さい。
名前からも判る通り、菱マンガン鉱は電池に使われる「マンガン」を含んでいます。そのため、工業の世界では、マンガンを得る目的で使われています。
長くなったので、今回はここまで。
次回は『亡霊葬稿ダイホーン』に登場した、チャラ男のパワーストーンを紹介します。
参考資料:一番くわしいパワーストーンの教科書
天晶札乃 須田布由香 著 (株)ナツメ社刊
パワーストーンBOOK
マダム・マーシ著 (株)主婦の友社刊
目的で選ぶ パワーストーン完全ガイド
二瓶誠子著 (株)グラフ社刊
鉱物の不思議がわかる本
松原聰監修 成美堂出版刊




