8オブザデッド
もはやモール組は残り半分といったところか。
巡回班が先導して、調達班を守りながらモールを駆け抜けてゆく。もしここで振り落とされるとしたら、体力がないものだろう。さあ、それぞれ己の体力で判定をしたまえ!
【 判定 → 8名成功 】
まず最初に追いつかれたのは、ブレザー姿の竹パンダであった。彼女!をもっていた彼は、最後まで彼女!を離すことなく息絶えた。たとえそれがただの女性マネキンだったとしても、竹パンダは自らの身を挺して彼女!を守ったのであった……。
黒い服に白い帽子をかぶったなんもまた、体力が尽きたところをゾンビに狙われた。グレープフルーツ絞り機を駆使して一匹のゾンビの脳天を絞り尽くしてやったものの、二匹目には勝てなかった。
もふもふの羊であるメリー(なぜ巡回班に所属していたのか)もまた、ゾンビに噛みつかれておいしいマトンと化してしまった。人によっては好き嫌いがあるが、筆者は意外とマトンが好きである。
インテリメガネをつけた黒目黒髪日本人の壮士は、その知力を活かしてただ単に逃げるのではなく、物陰に隠れていたのだが、出した出目が悪かったためにゾンビに見つかって食われてしまった。だがそのインテリメガネは彼の死後も輝いていたという。
目のボタンが取れかけているくまのぬいぐるみであるシャーリーはがぶりとゾンビに噛まれたが別に肉はないのでゾンビとして復活することはなく、ただ全身をバラッバラに引きちぎられた。その際、体の中に詰め込まれていた金銀財宝がバッと弾けて飛んだ。
(ナチュラルで薄めな茶髪の)おさげさん。(天才とか集められてそうな)高校の制服を着て新聞部の腕章を付けているひよの(偽名)は、企業秘密な七つ道具をバッと出して颯爽とピンチをどうにかしようとしたのだが、ゾンビの数が多かった。背後から組みつかれて、ふりほどく腕力が足りずにがぶりとやられてしまった。
「なにこれこんなの信じらんないよ!」と悲鳴をあげるのは、SANチェックが入るほど超絶可愛い女の子のヒダカだ。男なら誰もが見惚れるだろうが、ゾンビにそういった知能はない。薙刀を振るうもがぶりとやられた彼女はもはや美貌を保つことはできないだろう。
まだまだ死ぬ。落ちていた地味な茶瓶である茶瓶は踏まれて壊れた。第二話で筆者が置き去りにし忘れていたのだ。ごめんな!!!!
おとなしそうな茶髪の青年であるラグナは、クワとジョウロを振り回してゾンビを寄せ付けないように奮闘していたが、三匹のゾンビを仕留めたところで力尽きて倒れた。なかなかのキル数だったが、ゾンビの数には勝てなかった。
うさみみパーカーをかぶった未亡人のあかりは、夫を思い出しながらゾンビから逃げ惑っていた。次々と死んでゆく仲間たちの姿を見て、夫のことを思い出してほろりとした最中、ゾンビに足を捕まれた。彼女もまた、夫のもとへと逝くのであった。
さらに♂の三毛猫であるさつまあげが、ゾンビに噛みつかれた。ゾンビ猫とゾンビペンギンとゾンビハムスターなどの、ゾンビドウブツーズが結成された。
5ちゃいのもかちゃんはゾンビに組み付かれながらも、8の腕力でゾンビの首をねじ切った。次のゾンビを掴んでは千切り、次のゾンビを掴んでは千切り、5ちゃいの小さな手は血にまみれた。「次はどのこぉ?」とにたりと笑う彼女はゾンビの群れに押しつぶされて殺された。その武勇伝を、周りのゾンビだけは覚えているだろう。
着ぐるみを着た麻呂は、着ぐるみの上からがぶりとゾンビに噛まれたが、分厚い着ぐるみがそれを阻んでくれた。これはもしかしてワンチャン?と思うが、しかしそうは問屋が卸さなかった。体力は8もあったのだが、不運が彼を襲った。次々と組み付いてくるゾンビの牙は着ぐるみを破り、やがて麻呂の頸動脈を貫くだろう。
さて、モール組は残る8名だ。
サーボ、山田さん、桂林怜夜、グリコ、うどん、ぷりん、から、そしてイリス。この8名が次の判定をクリアーすることができれば、あるいはこの地獄と化したショッピングモールを脱出することが可能だろう。
最後の判定は運命をつかみ取る腕力。あるいは脱出路を確保することができる知力での判定だ。
『生き残る、生き残る!』
ゴスロリを着たぷりんと、委員長タイプのメガネをした幼女から、それにロングヘアーの幼女であるイリスは、口々に叫ぶ。
スーツ姿の山田さん、黒髪ロングヘアの桂林怜夜、黒髪パンチパーマでタンクトップのグリコや、禿げた中年のうどんも必死に走っていた。黒人(アフリカ系)のサーボの息もさすがに切れている。
それでは最後の判定だ。
【 判定 → 2名生存! 】
モール組がふたりだけ生き残ったことも知らず、残った180名近くは墓場の前で立ちすくんでいた。
「墓場って……」
「やべえよな、なあ……」
着ぐるみのふうとくんと、ぽっちゃりなおっさんであるあっつぁんが苦々しい顔で立ち話をしている。いやふうとくんは着ぐるみなので表情は変わらないのだが。
そう、一同の前には大きな墓場が広がっているのだ。だが作家がもつ地図では、特殊部隊基地に向かうためには墓場を越えなければならないと書いてある。
「たぶん大量に死ぬな、これ……」
作家はげっそりとした声で言った。水槽の中に入っていた鯖がちゃぽんと跳ねた。(鯖も参加者である)
三分の一を過ぎて三分の一以上の百人を殺しているからいいペースなんですが、管理が大変なのでそろそろ百人単位で一斉に殺したい。