6オブザデッド
ショッピングモールに残ったメンバーはまず、リーダーを決めることにした。
誰がいいだろうかと話し合いをした結果、そこら辺にいそうな四本腕をもつ平凡な男であるしろてんがリーダーに決まった。彼はなんでもないただのバファリンを「こいつは、ゾンビに襲われなくなる錠剤なんだぜ!」と言い張っていたため、その後2分でリーダーを解任された。
結果、リーダーはヒルデンブルグになった。37歳の魔女っ子である。彼女はショッピングモールの一階にバリケードを張り、二階以降を居住区にするべきだと主張し、これは皆に受け入れられた。
これによって街路と隣接している一階を守る必要はなく、要所要所の階段だけを防衛していればいい形となるので、ずいぶん楽になるだろう。
さらにモール組は一階防衛部隊と別に、モール内巡回部隊を設立。他にも炊事班と調達班を設立。残った44名はいずれもどこかの部署に割り当てられた。
生き残るための体制はこれで完璧──のはずだった。
だが、モール組は未だ知る由もない。そう、本当に恐ろしいのは、人間であることを……。
「巡回部隊のゴルゴンゾーラが帰ってこない?」
調達班の班長、委員長タイプのメガネ幼女であるからは眉をひそめた。ゴルゴンゾーラと言えば、モール組の中でも随一の武闘派であり、腕力に極振りしたその能力値は並のゾンビ相手なら一撃で粉砕するほどのパワーを持っている。
「巡回部隊は最低限、ふたり一組だったんじゃないんですか?」
「それが、各班を11人に分けたじゃないですか。それでひとりあぶれちゃって、それならゴルゴンゾーラさんが『がはは、ならワシはひとりでいい、がはは』と言いまして」
「うーん」
申し訳なさそうな顔をするシャーリーは、目のボタンが取れかけているくまのぬいぐるみだ。そもそも人間ではないのかもしれないが、からはもうそういうのを気にしていない。だってゾンビだって人間じゃないのに動いているし。
「わかりました。あたしからヒンデンブルグさんに言っておきます。なるべく早く見つけてあげてくださいね」
「善処します!」
そう言ってシャーリーは走っていった。このショッピングモールは確かに広いが、本気で探せば人ひとりぐらい見つかるだろう。いや、どうだろうか。巡回班残り10人では難しいかもしれない。四階立てで、さらにバックヤードまであるし。
「……バックヤード?」
そういえば搬入口や裏口は誰か確認したのだろうか。からは嫌な予感を覚えた。ちょうどそこを通りがかったのは、防衛班の班長であるサーボだった。アフリカ系の黒人であるサーボは見かけから言ってもとても持久力があり、長時間の持久力を必要とする防衛班にはもってこいの人材だった。
「サーボさん、そういえばバックヤードとかって調べました?」
「炊事班が暇そうにしていたから、さっきリーダーと一緒に調べにいってましたよ」
めちゃくちゃ日本語堪能だった。さすが小説家になろうユーザーである。
「あ、そうだったんですね。確かに炊事班はまだお仕事ありませんもんね」
「そんなことよりどう? このビーダマン。俺このビーダマンでゾンビをやっつけようと思うんだよね」
「あ、はい」
からは適当にうなずいた。といっても自分もモールで見つけてきた道具はスペアのメガネだったので、なにも言えない。
炊事班は大丈夫だろうか。あそこに配属されていたのは、確か……。
「ウオオオオオオ!」とゴルゴンゾーラが吠えた。彼の目の前には大量のゾンビがいて、その後ろには炊事班の面々が震え上がっている。
また、反対側を守るのがなぜか炊事班に配属された暗黒騎士である。赤の修飾がされた漆黒の外套を羽織り、長剣を腰に吊っている。端正で凛々しい顔立ちをしていて、長い黒髪の下には炯々とした眼光が宿り、紅く煌めいている。女性にしてはスラリとした長身には、しかし無駄なく筋肉が配置されている。クールな雰囲気を纏っている二十代の女性だが、外套の下は裸なので実際はただの露出狂だ(原文ママ)。
バックヤードを調べに来た炊事班は運悪く大量のゾンビと出くわしたのだ。ひとりで調べていたゴルゴンゾーラの話では、裏口のドアが開け放たれていたらしい。まるで誰かが仕組んだかのように。
「死んじゃうよう、死んじゃうよう」
「助けてえー!」
全裸の天使であるけもりあが、穢れなき翼を羽ばたかせながら泣いている。隣にいる雪だるまのスノウは自らの涙で半分溶けかけていた。ゾンビにやられる以前の問題であった。
「大丈夫だ、すぐに誰か助けが、助けが来るはず……、そう、防衛班か巡回班が私たちに気づいて、助けに!」
目の前のゾンビを一刀のもとに切り伏せた暗黒騎士が叫ぶ。彼女の刃はそろそろ血で鈍ってきた。もう何十匹もゾンビを退治しているのだ。ゴルゴンゾーラも腕力10なだけあって、体力がない。どちらかが崩れてしまえば、炊事班は総崩れになるだろう。
「私に任せてください!」
そのとき、炊事班の中にいたゆかちが腕を掲げた。そう、ゆかちはなんと魔法使いだったのだ。とんがり帽子をかぶったゆかちが腕を振るうと、隣にいた並木塩の肩こりが治った。「あ、肩こりが治った! ありがとう!」 強力な魔法だった。
炊事班は果たして助かるのか! 次回を待て!
モール組
防衛班
サーボ
ローミオー
佐竹義重
犬山犬太郎
きごう
木原ゆう
カンテラ
晩飯はキーマカレー
ぺぺ
ティカ
和菓子
巡回班
山田さん
竹パンダ
なん
メリー
壮士
ゴルゴンゾーラ三世
シャーリー
桂林怜夜
ひよの(偽名)
ヒルデンブルグ
ヒダカ
炊事班
けもりあ
ナナミネ
スノウ
ミツネ
なる夫
並木塩
しろてん
へいほー
暗黒騎士
とっと小太郎
ゆかち
調達班
茶瓶
ラグナ
グリコ
麻呂
うどん
あかり
ぷりん
さつまあげ
から
もかちゃん
イリス