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5オブザデッド

 ショッピングモールについた一同は、ようやく人心地をつくことができた。


 ここまで来るのは大変だった。だが、もうついにショッピングモールだ。もう大丈夫。ショッピングモールは食料もあるし、シャッターを下ろすことだってできる。絶対安全だ! もうここから二度と動かない!


 そんなことを思った一同はしかし、ショッピングモールの入り口に一枚の紙が張り出されているのを見た。


 そこには一枚の地図。そして、『生存者はただちに特殊部隊基地に集まるように。ここが絶対安全なシェルターだ』と書かれている。


「……えっ」


 ということは、ショッピングモールは絶対安全ではなかったのか……?


 愕然とした。ここにこのままとどまっていたら、ゾンビに襲われてしまうのだろうか。確かにショッピングモールは序盤の安全ポジションで、それを過ぎたらゾンビが跋扈する環境になるのが常だ……。


 いやむしろ、もしかしたらもうモール内部にゾンビが入り込んでいるかもしれない。一見安全に見えるが、それなら中に人が残っていないのはおかしいのだ。


 作家は頭を悩ませる。現にここに来るまで、たったのひとりも生存者と出会わなかった。それはみんなゾンビになってしまったか、それとも全員『特殊部隊基地』に向かってしまったからだろう。


 特殊部隊基地までは、けっこうな距離がある。車が使えないのなら苦労するだろう。


「……どう思う?」


 作家は足下のとっと小太郎に聞いてみたが、ハムスターなのでなにも答えてくれてくれなかった。


 ここで一同は再び選択を迫られる。それはモールに残るか先に進むか、だ。体力と知力で判定をし、どちらかが基準を上回ったものだけが先へ進むことができる! 判定に失敗をしたものは次のステージに向かうことはできない。さあ、己が勇気を示すのだ!



【 判定 → 44名残る 】



「悪いが俺たちは残るよ」と言ったのは、残るグループのうちもっとも知力の高い四人だった。和菓子、ナナミネ、竹パンダ、とっと小太郎である。


「特殊部隊基地なんて怪しい場所にいくより、このショッピングモールにいたほうがずっとマシだ。だいたい、危なすぎる。君たちだって道中を見ただろ? そんな危険な橋は渡れないね。モールにはなんでもあるんだ。ここを動く理由はない」

「……そっか」


 柔道着を着た和菓子がそう告げてくる。作家は悲しそうにうなずいた。こういう場合、ショッピングモールに残る人の末路なんて、だいたい決まっているようなものなのに。


 いや、だがそれはあくまでもゾンビ映画のお約束でしかない。そうだ、今起きていることは映画ではなく現実なのだ。ならば特殊部隊基地に向かう自分たちのほうが危ないということは、大いに考えられるだろう。


「ま、せめて持ってけるものは全部持っていくんだな」


 メイド服を着た元クイズ王(♂)のナナミネはそう言って、広大なショッピングモールを手で指した。モールに残る彼らとともに、出発する組も道具を探索することができる。覚悟を決めた出発組は、ゾンビに警戒しながらショッピングモールを洗いざらい探すのであった。



「お、あったあった、妹」

「こっちにも、睡眠導入剤が見つかったよ!」

「見つかった……、俺の、恋……」


 そんなことを言い合いながら、アイテムを探索する一同。だがそのとき、惜しくも幸運判定に失敗したものがゾンビから奇襲を受けてしまう。


 身長2メートルの大男、熊野が「おっ、見つけた」と天狗のお面を拾い上げた瞬間だった。マネキンだと思っていたものが突如として動き出したのだ。


「げっ、ぞ、ゾンビ!」


 熊野は逃げだそうとしたが、しかしあまりにも魅力的な天狗のお面に心を奪われている隙にゾンビに噛みつかれてしまった。


 熊野が後ろにひっくり返って倒れた拍子に、その足下にいたラルルという名のハムスターも潰れて死んだ。ぐしゃあ。


 さらにそんなことがあったとは知らず、眼鏡をかけたスネ夫ヘアーの人物、柴生富良具も換気ダクトを落ちてきたゾンビにそのまま噛みつかれて死んでしまった。手にしていた眼鏡が床に落ちて唐突にひび割れた。


 彼ら三人はあまりにも運がなさすぎた人物たちであった。三人の死体はモールに残る者たちが責任をもって処分をするのだろう。


 さて、モール内のゾンビを処分した後に、44名と残りは別れることになる。


「じゃあなにかあったら、特殊部隊基地で待っているから」

「ええ、あなたたちもなにも見つからなかったら、モールに帰ってきてね」


 頭に段ボールをかぶったアキバコと、緑髪のおさげエルフ女子であるティカががっしりと握手を交わす。


 だがその再会が叶うことは、なかったのである──。



ショッピングモールに残った44名(敬称略)



ティカ

もかちゃん

きごう

山田さん

さつまあげ

うどん

メリー

スノウ

ぷりん

和菓子

ぺぺ

なん

ゆかち

なる夫

暗黒騎士

ヒルデンブルグ

佐竹義重

ゴルゴンゾーラ三世

ミツネ

ローミオー

とっと小太郎

犬山犬太郎

けもりあ

晩飯はキーマカレー

麻呂

ひよの(偽名)

木原ゆう

シャーリー

へいほー

ナナミネ

竹パンダ

カンテラ

ヒダカ

サーボ

桂林怜夜

グリコ

から

あかり

しろてん

茶瓶

壮士

並木塩

イリス

ラグナ

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