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21オブザデッド


 続いて、知力か体力での判定だ。


 これが本作品内における、最後の判定となる。あとはなんとなく流れで殺すか殺さないかをその場のノリで決めようと思う。まあここまで生き残った人はそれでいいでしょう!


 では、挑戦者の25名を紹介しよう。



 ヒナー

 白兎

 永瀬

 ツーダ

 左慈

 黒井

 ヒレ

 千堂

 目抜き通り

 久山修二

 ノーヘル

 ごもちゃん

 心之硝子(こころの しょうこ)

 あしあ

 皐月晴

 ゴゴルナ

 マキラ

 一一(にのまえ はじめ)

 カイト

 酔っぱらい

 マッシブーン

 のすおのすのす

 JIRO

 アカツキ

 カリオス



 この25人は、焼け落ちてゆく洋館からなんとか脱出し、特殊部隊基地へと向かう最後の道を駆け抜けることができる25人だ。だが、最後の道は長く険しい。火を逃れた追っ手のゾンビやバケモノを振り払うだけの『体力』か、あるいは迷わずに特殊部隊基地へと到着することができる『知力』のどちらかが必要だろう。


 もう言葉はいらない。人はいつだってひとりひとりなのだ。25人は逃げる最中ばらばらになってしまった。だが、それぞれがひとりひとりで目的地にたどり着くしかない。それが人生なのだ。


 頼りになる仲間はいる。背中を預けられた仲間もいる。だが、今はひとりだ。それでも決して独りではない。同じ目的に向かう、生存という光を目指す25人の星は今、最後のサイコロを振る。






 ヒナー 11(致命的失敗)

 白兎 5

 永瀬 5

 ツーダ 1

 左慈 9

 黒井 8

 ヒレ 7

 千堂 5

 目抜き通り 8

 久山修二 11(致命的失敗)

 ノーヘル 4

 ごもちゃん 4

 心之硝子(こころの しょうこ) 9

 あしあ 3

 皐月晴 11(致命的失敗)

 ゴゴルナ 11(致命的失敗)

 マキラ 8

 一一(にのまえ はじめ) 5

 カイト 4

 酔っぱらい 8

 マッシブーン 11(致命的失敗)

 のすおのすのす 3

 JIRO 3

 アカツキ 0(クリティカル)

 カリオス 6



 成功者──。



 26名中、6名!



 最終ステージに進むことができたのは、6名だ。


 全然関係ないんだけど、281名から始めたこの聖夜オブザデッド企画が最終的にダイスで6人に絞られるというバランスの奇跡に、筆者は筆者をすごい自画自賛しています。みんなも褒めてくれ! すごいだろう!


 というわけで、死亡シーンである。


 ここまでたどり着いて散っていった勇敢なる20名に──、惜しみない拍手を!




 みんな大好きヒナさんのそっくりさんであるヒナーは、最後までヒナさんであろうとした。ヒナーは足をくじいたものに手を貸し、ともに励まし合いながら目的地を目指す。だが、人はあくまでもひとりでしかない。ヒナーは誰かを助けたことによって、最後の道を完走することはできなかった。ただ静かに、息を引き取った。


 真っ白でもふもふな兎の白兎は、ぴょんぴょんと跳びはねながら地下通路をゆく。だが兎の足には限界が訪れる。後ろから迫るのは炎に身を焼かれたゾンビ。白兎は火に包まれたまま命を落とした。そして天に昇り、月の兎となった。これが今でいう、『月の兎』の語源である。


 黒髪のポニテ姿の永瀬はひたすらに走った。最後のステージに向かうために走った。後ろから追いかけてくるゾンビと競い、ナンバーワンを目指して走った。やがてゾンビと抜きつ抜かれつのデッドヒート。アリゾナ砂漠を越え、西海岸から東海岸を何往復した。伝説となった彼女は死後、現地の人々にマラソンの神としてまつられるようになったのだった。


 ハードボイルドそうな見た目のニホンカモシカの着ぐるみの左慈は銀の匙を手にしていた。まさかそれはダジャレなのだろうか……!? 気になって気になって仕方がない。ゾンビもゾロゾロと集まってきた。「え、ダジャレなんすか?」「そんなの『些事』じゃないですか」 ドッ! 左慈の周囲は温かい笑いに包まれた。左慈は噛まれて死んだ。


 全身黒タイツ姿の黒井は、もはや闇と同化していた。彼が闇であり、闇は彼であった。黒井はこの極限状況下において、闇の声を聞いた。闇は彼を温かく出迎え、闇は彼とひとつになった。今や彼は闇だ。闇井は静かに目を閉じた。呼吸を止める。彼が闇そのものになるのだ。そして黒井はその生命活動を停止した。彼はこれからも永遠に生き続けるだろう。概念として──。


 あと15人ぐらいこの調子で書くのが辛すぎる……。


 バケツをかぶった法衣姿の大男は、ヒレ。ものすごい走りづらい足ヒレをつけたままぱたぱたと最後の道を駆けている。だが走りづらい。とにかく走りづらい。駆けても駆けても前に進まない。どうやって墓場をクリアーしたんだこいつは。ゾンビに追いつかれて噛まれた。死んだ。


 中肉中背のおっさん 最近腹が出てきたのを気にしだしてきた目抜き通りは「ほっほっほ、これもいい運動になるわい」とホクホク顔だった。走っていくうちに目抜き通りはとてつもない効率でカロリーを燃焼させてゆく。その体型はみるみるうちにやせ細り、やがて目抜き通りは虚無となって消えた。熱量保存の法則が彼を殺したのだ。


 モブキャラである久山修二は実は左慈が噛まれて死んだときにその後ろで特に描写もなく死んでいた。モブとはそういう運命だ。


 フルフェイスヘルメットにライダースーツを着たノーヘルだ。メットかぶってんじゃん! というツッコミは絶対にしない。絶対にしたくない。絶対にしたくない。するぐらいなら、ノーヘルを殺す……! ノーヘルという名前のくせにメットをかぶっているし……! あっ、ツッコミを入れてしまった! 約束通り筆者はノーヘルを殺すことにした。


 ギャルゲの幼馴染みごもちゃんは、通りがかるゾンビに「へへっ、お前の好感度は今、こんくらいだぜ」と笑いながら言った。どんなヒロインとも結びつくことができないごもちゃんの人生は、もはや死んでいるようなものだった。彼の目はうつろだった。地下通路で彼は永遠に言い続けるだろう。「へへっ、お前の好感度は今、こんくらいだぜ」


 メガネを掛けた尊大っぽい黒髪ロング(心は硝子なみ)の心之硝子(こころの しょうこ)は、独りになった途端に急に心細くなった。誰でも良いからそばにいてほしい、誰でもいいから、誰でも……っ! あっ、あそこに人影がある! 「そこのお前! あたしのそばにきなさい!」 じゃじゃーん! ゾンビでしたー! 心之硝子(こころの しょうこ)は噛まれた。


 パーカー着れば外さないと思ってる系男子の皐月晴を見て、通りすがりの女ゾンビが顎に手を当てながらけだるげに言った。「んー……。パーカーを着れば外さないと思っているんだろうけど、そのトップスとシューズが合ってないよね。これならボトムだって色味を変えるべきだと思うし。ちょっと無難でまとまりすぎかな。つまんないよ」 皐月晴はあまりのショックに気を失った。彼が目覚めることはなかった。


 ゴゴルナはアマゾネスっぽい感じだ。余談だがアマゾネスと言えば、筆者はドラゴンズクラウンが大好きだ。ベルトアクションの最高峰だとすら思う。ぜひ2が出てほしい。ヴァニラソフトは独自の路線を突き進むオススメのゲーム会社なので、どのゲームもアクは強いが面白い。エルフもソーサレスもかわいいし、ドワーフは不人気だ。PS3とVITAで発売中である。そんな話をしつつ、気がついたらゴゴルナはゾンビに食われていた。


 青い髪に金の目のビスクドール、マキラはとぼとぼと最後の道を歩いていた。今は亡きご主人のことを思っているのか、その目には涙が浮かぶ。だが、絶対にひとりでも生き残るんだ。そう誓うものの、彼女の歩幅に比べて最後の道はあまりにも長かった。やがて彼女はゼンマイの切れた人形のようにその場にうずくまった。このまま壊れるまで歩くより、せめて最後はきれいなままで。こうして最後の道にはひっそりと眠るように佇むひとつのビスクドールが安置された。


 テンプレなインスマスである一一(にのまえ はじめ)は、神話生物だ。彼は最後の道をゆく必要などない。特殊部隊基地への道に回れ右し、近くの川に飛び込んだ。彼が目指すのは大いなる存在の地。これから彼の長い長い旅が始まった。その結果がどうなるのか、それは彼だけが知っている。


 根暗オタクのカイトはそれなりに楽しい人生を送ってきた自負がある。それはもしかしたらリア充と呼ばれる人種に比べればいくらかポイントは低いのかもしれないが、友達はいるし、面白いなろう小説をたくさん知っている。彼はゾンビが周りを取り囲んできたそのときにも深呼吸し、肩をすくめるだけの余裕があった。「ま、しゃーねぇかな」 そう言って噛まれる寸前まで彼は、胸を張っていたのだった。


 スーツにネクタイはちまき姿の酔っぱらいは、洋館を出ていくときにかっぱらったマッカランに口をつけてご満悦であった。足下がふらふらし、視界が回る。そこに現れたのはまるでゾンビそっくりに仮装した存在だった。「よっ、大将! やってるねぇ!」 酔っぱらいは上機嫌でゾンビに挨拶をした。口の中では熱いアルコールの後味が暴れ回っている。死ぬそのときも、彼は痛みを感じることはなかったんだろう。


 マッシブーンはかわいくてムキムキだ。かわいくてムキムキとはいったいなんなのか。そもそもムキムキとは筋肉のことははないのかもしれない。向き向き? それともムキムキというアイヌの動物を連れているのだろうか。謎は深まる。かわいい、ムキムキ、その因果関係を調べるために筆者はギアナ高地の奥地へと向かった……。マッシブーンはゾンビ相手に奮闘したが力つきた。さらばウルトラビースト、マッシブーン。


 絵にも書けない見苦しさのカリオスは、ゾンビ相手に延々と命乞いをしていた。


「ちょ、ちょっと、待ってくださいよ! なんで殺すんですか、殺すってそもそもなんすか! 肉? 肉がほしいんだったら僕が取ってきてあげますから! ね、あ、僕以外の誰かを食べるなら、ほら、そこらへんから肉の軟らかい女子どもでも、へへへ。あっ、旦那、口が汚れてますね! おいらが舌でなめてきれいにしますからへへへ! だからほら、命だけはお助けくだせえ! ね、ね! ここまでやったんすから、ほら、えっ、マジで噛むつもりっすか? でもー? かーらーのー?」


 絵にも書けない見苦しさであがいたものの、言葉が通じないので噛まれて死んだ。


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