20オブザデッド
では生き残った者が４９名となったこの瞬間より、最後の判定を行う。
それは腕力と幸運のどちらかで判定と、知力と体力のどちらかの判定を二回くぐり抜けた者が最終ステージ『特殊部隊基地』に向かうことができるというものだ。
ひとつ目の判定はゾンビに捕まらず洋館を脱出することができたのかというのを、腕力か幸運でどちらかに成功すればクリアー。
ふたつ目の判定は見つけた地下通路で特殊部隊基地にたどり着くことができるか、知力か体力でどちらかに成功すればクリアー。
ふたつ連続で成功できるか、チャレンジである。またこれにははぐれたモール組も加わることとなる。
無論、失敗してしまったら無残な死が待っている。
残り５話、泣いても笑ってもこれが最後の判定だ。
会場を脱出するための判定を、モールに残るかどうかの判定を、超巨大ゾンビに追いかけ回されたときの判定を、洋館の探索チームに入るかどうかの判定を乗り越えた諸君なら、最後の判定で全滅することはないと信じている。
信じている（震え声）
では、判定に挑戦する権利を得た４９名を紹介しよう。
ぷりん
ヒナー
ゴオマ
白兎
桂林怜夜
ウニみちなが
たけし
永瀬
ツーダ
ベネディクト・カンバーバッチ
左慈
無色
黒井
さすらいの登山家
ヒレ
千堂
目抜き通り
不破 真一
久山修二
あかとな
ノーヘル
ことちゃん
ごもちゃん
心之硝子
篠ノ井 糸菓
ミルドレッド
あしあ
さとし
皐月晴
赤浦兎 （あかうらうさぎ）
マッド・コーモン
ゴゴルナ
マキラ
一一
駒澤真一
カイト
酔っぱらい
マッシブーン
女騎士
のすおのすのす
カンナ
夢幻聖眼
ぎん
＋ －
JIRO
アカツキ
カリオス
黒男
現実 充
以上の４９名である。
それでは一度目の判定といこう。
『腕力ｏｒ幸運に成功すればクリアー』
ダイス値──。
ぷりん 7
ヒナー 2
ゴオマ 9
白兎 5
桂林怜夜 5
ウニみちなが 11（致命的失敗）
たけし 2
永瀬 1
ツーダ 0（クリティカル）
ベネディクト・カンバーバッチ 3
左慈 0（クリティカル）
無色 5
黒井 0（クリティカル）
さすらいの登山家 5
ヒレ 3
千堂 0（クリティカル）
目抜き通り 0（クリティカル）
不破 真一 4
久山修二 0（クリティカル）
あかとな 7
ノーヘル 1
ことちゃん 10
ごもちゃん 5
心之硝子 0（クリティカル）
篠ノ井 糸菓 7
ミルドレッド 6
あしあ 2
さとし 11（致命的失敗）
皐月晴 0（クリティカル）
赤浦兎 （あかうらうさぎ） 9
マッド・コーモン 3
ゴゴルナ 2
マキラ 0（クリティカル）
一一 3
駒澤真一 3
カイト 1
酔っぱらい 3
マッシブーン 4
女騎士 7
のすおのすのす 0（クリティカル）
カンナ 6
夢幻聖眼 11（致命的失敗）
ぎん 7
＋ － 6
JIRO 4
アカツキ 3
カリオス 2
黒男 7
現実 充 7
右の数値が自分のパラメーター『以下』なら、成功となる。
それでは描写をしてゆこう。
燃え盛る洋館をバッグに、駆けてゆく一同のシーンである──。
……作家は息を切らしながら、走っていた。
なんだかきょう一日ずっと走りずくめな気がする。クリスマスパーティー用に浮かれて慣れない靴を履いてこなくてよかった。ぜぇぜぇはぁはぁ、なんだかこの悪夢のようなゾンビに追いかけ回される一日も、そろそろ終わりに近づいている、そんな気がしていた。
洋館はあちこちから火の手があがっていた。いったい誰が火をつけたのかわからないが、そういえばライターやら火のつくものやらを持っている人もいたな、と作家は思い出す。
ぼぉんと近くで爆発が起きた。可燃性のなにかに燃え移ったのだろうか。その火に黒いコートと帽子の怪しげな男、ゴオマが包まれた。悲鳴を上げながら息絶えてゆく。恐ろしい。
「みんな、こっち、地下に逃げよう！」
作家は皆を招き入れる。だがそこにたどり着ける者はわずかだった。しまじろうっぽいウニみちながは、洋館をさまよっている最中にゾンビに食われた。オンリーカード【グリス】なんてクソ使えないカードで状況を打開できるはずがない。マサムネだってこの状況下なら死んでたよ。
ビジネススーツを着たたけしもまた、怪物に襲われて命を落とした。「持ち物にミッキーマウスって書きますけどいいですよねぇ！？ｗ」とか言って筆者を煽ってきていたので、少しスッとした。
マーティン・フリーマン似のベネディクト・カンバーバッチは相棒のコーギーとともに屋敷の寝室で力尽きた。眠るように死んでいたという。なんでマーティン・フリーマンなのにベネディクト・カンバーバッチなのか。紛らわしすぎやしないか。
透明人間の無色は誰もその姿を目撃していないが、おそらく洋館で死んでいたのだろう。誰も死体が確認できなかった。本当は外に出た時点で凍死させようと思っていたのだがそうするのを忘れていたのは秘密だ。
メガネクイッをし易い眼鏡をかけている。ムササビスーツの男、さすらいの登山家はさすらいながら命を落とした。彼は死後もゾンビとしてさすらうことになるだろう。本望に違いない。
ギャルゲーの主人公のように何故か顔が見えない前髪を備えた1０代後半男性、不破真一は最後まで誰かを守るために戦って散っていった。まるでギャルゲーの主人公のようだった。
やせ型日本人178cmめがねのあかとなは、最終的に178cmのめがねがあまりにも重くて邪魔だったので歩き回る体力が残されておらず、疲れて休んでいたところをバケモノに捕食された。来世では是非、顔周りにあうサイズのメガネを選んでほしい。
黒髪黒目服も真っ黒、頭に赤いリボンのことちゃんは、ほうきで死体を掃除しているところをがぶりとやられた。自分もまた床を汚してしまったことを最後まで悔やんでいた。ルンバ、ルンバさえあれば……。
赤フレーム眼鏡の男の娘である篠ノ井 糸菓は、亡くなった死者に対してラベンダーの香りのする線香をあげていたところで、バケモノに襲われた。だが死者を悼む彼の心は誰よりも尊かったに違いない。
10歳男子のさとしは莫大な資産を隠し持ったまま亡くなった。あの世ではお金を使うことができない。さとしは大切なものはお金では買えないんだ、ということをその命で学んだ。高い授業料であった。
コナンの犯人、赤浦兎は誰もいない暗がりで殺された。犯人はおそらくゾンビに違いない。ていうかニュアンスでわかるけどコナンの犯人ってなんだよ。黒タイツなんだろうけど、コナンの犯人だったら怪盗キッドかもしれないだろ……！
白衣を着て血走った目をしている成人男性アメリカ人、マッド・コーモンはバケモノに首を切られた。こいつに関してはすごい扱いに困ったので、出番がなくてよかったです。なるべく早く殺したかった。
執事喫茶でNo.1指名うけてそーな営業マン（眼鏡）駒澤真一は、最後まで姉（と主張するマネキン人形）を背中にかばって死んだ。ぶっちゃけ犬死にだが、彼の顔にはなにかをやり遂げた男としての誇らしさが刻まれていたのだという。
外見女騎士の女騎士もまた、騎士道精神を胸に死んだ。こういう雑い設定はけっこう好きです。たぶんゾンビに殺されるときも「クッ、殺せ！」と言ってから殺されたに違いない。彼女はゾンビ女騎士として炎に包まれて燃えていったのだ。
小五ロリ（男）の夢幻聖眼は部屋の隅っこで震えながら体育座りしていたところを、館の炎上に巻き込まれて死んでいった。どうでもいいけれど男ならロリじゃなくてショタじゃないのかなと思ったが、そこにはきっと彼なりの深い事情があるに違いない。どっちみち墓場まで彼は秘密をもっていった。
無表情ロリのぎんは首輪をつけたおじさんの人形を引きずったまま、屋敷をさまよい歩いていたところで、蜘蛛にぐるぐる巻きにされて全身の骨を砕かれた。死ぬ際に悲鳴のひとつもあげなかった少女は、その空洞の瞳になにを映していたのか。
短パン小僧（２２）の＋ －は、使い捨てカイロを持っていた……って寒いんじゃん！ だったら服を着ろよ！ という筆者のツッコミにもへこたれず、あ、なんかあたたかーい、と言いながら屋敷の炎に巻き込まれて死んだ。次回は長ズボンでの参加をオススメしたい。
コ〇ンの黒い人である黒男は、彼もまた端っこのほうで何者かに殺されていた。コナンズヒーント……、うーん、今回のは……、ゾンビ！
現実 充。ビジネススーツと、現実 充の妻（お腹に２人目の子供がいる）が、なろうクリスマスパーティーにせっかく招待されたのだからと、彼のために選んだ光沢のあるワインレッドの布地にトナカイの刺繍が入ったネクタイ（原文ママ）というハートフルな設定を送ってくれてありがとうございます。ちなみに持ち物は充の５歳になる娘がサンタを待ちながら家族で一緒に食べたいと言っていた、イチゴをふんだんに使った、サンタクロースの砂糖菓子が乗ったクリスマスケーキ（原文ママ）である。きっと家族の夢を見ながら「こんなところで死ねない、俺は死ぬわけにはいかない……！」と精一杯あらがい、抵抗し、意地汚く生き残ろうとしたのだろう。だが、ダイスは非情であった。家ではいつまでも娘と妻が、彼の帰りを待ちづけているのだろう……、この世界の片隅で……。
そしてモール組の死亡だ。
ぷりん、桂林怜夜、ミルドレッド、カンナの四人は地下通路をさまよっている最中、そこに現れたゾンビと応戦後、力尽きて倒れた。おそらく彼らは悪の尻尾を掴んでいたのだろう。だが、それを誰かに語るすべはもたなかった。真相は闇に葬られたのだろうか……。
以上、今回の判定に失敗したものたちの死亡シーン集だ。
４９名中、２５名は二つ目の判定へと進む！
