15オブザデッド
さて、洋館の二階を探しに行くチームは、たまま、タウコウトカ、えくぼ、模歩 模斧雄、ゆぞ、キー坊、存媚 堕胃吸欺 (ぞんび だいすき)、サクゴ、りゅうぞうじー、餅巾着、三多さんの11名。一番知力が高いのはキー坊なので、キー坊チームと呼ばれることになった。
「ええー、やだなあ、そういう責任とか嫌いなんだよなあ……、わかりました、わかりましたけど、いってきますけど……、やだなあ」
ペットボトル開けられない系貧弱男子であるキー坊は、アリゾナフリーダムの太陽神ネックレスのパチモンを大事そうに抱えながら出かけてゆく。ちなみに『キー坊』はいちいちキーでカタカナ、坊やで変換したのちに余計な部分を消す必要があるので、だいぶ手間がかかるから早めに死ぬだろう。存媚 堕胃吸欺 (ぞんび だいすき)とか、コピペ以外で名前を出したくない。
まあモブDの三多さんはしっかりゾンビ対策の定番アイテムのスコップを抱えているし、元ヤンな30代くらいのおば……お姉さん、金髪ロングのゆぞも角材を握りしめて腕力が高い。ザ・ロック様そのものの外見をしたタウコウトカはマローダーの1/122のおもちゃを持ってご満悦だ。
次に悲鳴の正体を突き止めにいくチームは、おばちゃん、さっちん、ティー、鯉、マリシャス、クリソン、ASHIO、ゆか、アシヤー、湊、トレイさんの11名。こちらはASHIOチームだ。
「ワタシにお任せください」とAHIOは一礼して颯爽と出かけていったのだが、なぜ選んだアイテムが孫の手だったのか。とても知力10とは思えないが、そこには凡人では考えられない深慮があるのかもしれない。
こちらはまず騎士甲冑に身を包み性別年齢不詳のさっちんが硬そうだ。他にもゆかは木刀を持ち、謎の美少女アシヤーはバールを持ち、主婦のおばちゃんはショッピングカートを引いている。外見『主婦』で名前『おばちゃん』の割り切り方もぱない。あとょぅι゛ょのマリシャスはリヴァイブストーンをもっているのですごい。なんといってもょぅι゛ょなのにリヴァイブストーンを調達してくるその感性がすごい。
まあこんな感じのチームだ。
「いってらっしゃいー」と一同を見送りながらも、作家はなんとなく彼らともう二度と会えないような気がしてしまった。
だが、人の一生は星の命に比べれば、ひどく短く儚いものだ。それはもう定められた種族としての運命なのだ。ならば悲しむばかりではなく、彼らが生きたその証を胸に刻みながら、綿々と伝えてゆくことが自分たちの使命なのではないだろうか。そう思い直すことによって作家は罪悪感を覚えずに済んだ。いわば生活の知恵のようなものであった。
さて、その一方、である。
ぷりんと桂林怜夜、それを追いかけていったカンナ、ミルドレッド、のすおのすのすの五人は、地下通路を進んでいた。
「まさか洋館の地下にこんな通路が広がっていたなんて……」
眼鏡をかけた寒がり少女のカンナは寒そうに体を震わせながら、辺りを見回す。のすおのすのすのも、「のす! のす!」とうなずいた。同意したらしい。
「洋館とモールをつなぐ通路か。それでショッピングモールからここまでやってきたんだね。なるほど、街の人間はこの通路を通って避難していたわけねえ」
ミルドレッドが感心したかのように言う。ぷりんはうつむきながらつぶやいた。
「この通路はどうやら、モールと洋館以外にもいろんなところに広がっているみたい……。見つけ出せたのは、偶然だけど……」
「迷い込んだと言った方が正しいね、あたしたちは……」
桂林怜夜も消沈してつぶやいた。この通路をあらかじめ知っていれば、モール組を逃すこともできたのだろうから。
辺りは暗く、電灯も頼りなくチカチカと光っている。ゾンビが現れたら挟撃されそうな構造だ。
あれ? と寒がりのカンナは顔をあげる。
「でもそうしたら、モールから洋館まで、わざわざ危険なお墓を通らなくてもよかったんじゃ……?」
「確かにそうだね」
ミルドレッドも同意する。のすおのすのすのものすのす言っていた。早口言葉か。
三人は顔を見回した。
「……じゃあ、あの地図はいったい……?」




