11オブザデッド
超巨大ゾンビが再び腕を振り上げる。走る一同は、その先にそろそろ墓場の終点が見えてきた。この墓場を越えれば、絶対ゾンビ通さないフィールドみたいななにかがあって、超巨大ゾンビはこれ以上先にはいけないだろう。
あと少し、あと少し! 一同は必死に足を動かす。絶対になにがなんでも生きて特殊部隊基地にたどり着いてみせる。そう信じて、願って、奮起する!
さあ、超巨大ゾンビの攻撃をなんとかするのだ!
狙われたグループ
さち子
チョココロネ
めがあるせうす
城嶋孝宏
ペンギンレイム
ゆうの
シャット
なんと今回狙われたのは、たったの七人。ほとんどが幸運で難を逃れてしまった。
──腕力合計値『15.5』(平均2.21)
平均はそう悪い値ではない。さらに超巨大ゾンビもまた、数が少なくなったことによって狙いにくそうだ。判定ダイスは6面ダイスが5つにまで減少するだろう。
超巨大ゾンビの判定は──。
ころころころ(ダイスを振る音)
5 1 2 5 5
──腕力合計値『18』
さち子グループはぺしゃんこに潰されてしまった。ナムアミ! 逃げ遅れた七人を見て、幸運判定に成功した者が「うわあ」という顔をしてしまう。だが今回助かったとはいえ、次に潰されるのはあなたたちなのかもしれない……。
二度目の攻撃である。まだ参加者は150人以上残っている。どんどんいこう!
狙われたグループ
サンタ
デス・ノボリ
さとし
うすしお
メアリー
たけし
駒澤真一
笹食ってる場合っしょ!
マッド・コーモン
ゴリラ
篠ノ井 糸菓
松永久秀
ブルー
グリーン・カイザー
ナイト
ルノー
あかとな
ブリキノ・バケツ
マリシャス
やったね!
今回は最多の二十名である。
──腕力合計値『37』(平均1.85)
さあ、超巨大ゾンビの判定ダイスは、6面ダイスが9個だ。20名は生き残ることができるのか。
超巨大ゾンビの判定は──。
ころころころ(ダイスを振る音)
5 5 6 1 5 1 2 2 1
──腕力合計値『28』
おっと、判定ダイスの値がまったく伸びなかった! 20名は攻撃を跳ね返すとともに、次の3回目の攻撃をキャンセルさせることにも成功した!
「これこそがまさしく、囚人のジレンマ……!」
作家は目を見開く。そう、囚人のジレンマとは己が己の幸福を望んでしまったがゆえに、全体での不幸を手にしてしまうというジレンマのことである。
自分の命惜しさに幸運判定で成功してしまえば、他の人に罪が重なる。しかし全員で超巨大ゾンビの攻撃を受け止めれば、全員が助かるのだ!
墓場の終点までの距離はグッと近づいた。さらに超巨大ゾンビの攻撃が降り注ぐ。あと二回しのげば、墓場を越えられるだろう。一同は最後の気力を振り絞った。
狙われたグループ
笹食ってる場合っしょ!
グリーン・カイザー
球磨さん
とかげ
マール
お兄ちゃん
鮪
魔王
じょぉじ
デス・ノボリ
金星
なるみ
ガーネット
今回は13名だ。
──腕力合計値『29』(平均2.23)
超巨大ゾンビの判定は──。
ころころころ(ダイスを振る音)
1 1 6 3 4 3 2 5 5
──腕力合計値『30』
平均値はもっとも高い集団であったのにも関わらず、笹食ってる場合っしょグループの13名はぶちりと潰されてしまった! 先ほど攻撃をはじき返した何人かが再び攻撃を受けてしまうという不運は筆舌に尽くしがたい。
そして最後の一撃はさらに判定ダイスがふたつ増えてしまう! 無情!
いよいよ墓場の出口はすぐそこだ。一同は最後のラストスパートをかけるとともに、超巨大ゾンビもまたトドメの一撃を繰り出してきた。
狙われたグループ
紫苑
数多の雪
ゆま
アキバコ
ゴリラ
ぽこ西
たんぽぽ
阿倍野 金蔵
やったね!
鷺 千糸
もち
ジロウちゃん
最後の一撃は、この12名に狙いが定められた。12名はおそらく超巨大ゾンビの攻撃が直撃しないことを祈る以外にはないだろう。
──腕力合計値『22』(平均1.83)
超巨大ゾンビの最後の判定は──。
ころころころ(ダイスを振る音)
1 3 4 4 5 1 5 3 1 4 2
──腕力合計値『33』
まさしくトドメにふさわしい攻撃が大地をえぐる。どーんと凄まじい衝撃で皆の足が一瞬止まった。師紫苑グループの13名は超巨大ゾンビに取り込まれて、その肉の一部となった。大切な命が一瞬で潰される。そのときである。
さすがに今まで耐え続けていた限界が訪れたのか、何人かが前に歩み出た。
それはうぃんこす、七海 奈々、ツーダ、ごもちゃん、そしてマッシブーンの五人である。
彼らはそう、腕力9,7,7,7,7の精鋭。五人での合計値が37の五人衆だった。
黒服和服ロリのうぃんこすがバールのようなものを握りしめながら啖呵を切る。
「何人も何人もやっちゃって、この……!」
「……許さない」
無口系少女、七海 奈々が妹ともにコクコクとうなずく。
「いやあすごい筋肉ですよねえ、あなた。一度ちょっと勝負してみたいなあってさっきから思っていましてね」
マスクレスラーのツーダがスクワットをしつつ、構えを取った。
ギャルゲの幼馴染のごもちゃんは、深呼吸とともに拳を握る。
「へへっ、お前の好感度は今、こんくらいだぜ」
そして最後にかわいい、ムキムキのマッシブーンが超巨大ゾンビに指を突きつける。
「筋肉対筋肉だ! かかってこい!」
その言葉の直後、超巨大ゾンビは再び攻撃を仕掛ける。だが──。
なんと超巨大ゾンビの本気の攻撃は、たった五人に受け止められたのだ。筋肉対筋肉。まさしくこれが本気のぶつかり合いだ。五人は超巨大ゾンビの腕を掴んだままそのまま持ち上げる。なんと超巨大ゾンビの巨体が持ち上がる。
『どっせーい!』
叫び声とともに地面に叩きつけられた超巨大ゾンビは、なんとその体がばらばらに吹っ飛んでしまった。もちろん死んだ者たちは元には戻らない。だが、超巨大ゾンビの合体は解けて、彼らは粉々に吹き飛んでいった。これは間違いなく人間側の勝利だ。ゾンビに筋肉が勝利したのだ。
一同はもはや急ぐ必要もなく、悠々と墓場を出ていった。バンプアップした五人の勇姿は朝六時の日に照らされて、神々しく輝いていたのだった──。