知ってるよ見てたから ”君が壊れていく10題より”
”ごめんね”
あなたがそういう事なんて予想がついていたの。
だから、覚悟はできていたんだ。
”本当にごめんな”
そんなに辛そうな顔をしないで?
優しいあなたは罪悪感に苛まれているのでしょうね
私への愛が薄れていくことも、
私の代わりに寵愛をうけるあの子のことも
全部、全部知ってたの。
-知ってるよ見てたから-
好きだから、あなたのすべてを見てたから。
どういう時にあなたが笑うのか
どういう時にあなたが悲しむのか
ずっとあなたを愛して、
あなたを見続けていたのだから、
気づかないわけがないでしょう?
私との時間で笑顔が減ったことも。
出かける時に嬉しそうな顔をすることも。
全部気づいてた。
あなたと幸せになりたくて、
あなただけをずっと見ていたのに皮肉なものね。
あなたが私から離れていく様まで見ることになるなんて。
心が離れていくのを見るなんて。
優しいあなたが私と別れられなくて、
苦しんでいる姿も知ってたの。
あの子しか見えていないのに、
それでも偽りの愛をくれたあなたの残酷な優しさが辛かった。
さようならを言った時
私は笑えてたのでしょうか?
せめて思い出の中では
綺麗に笑う私を残しておいてほしいから。
窓の外では月がのぼる。
青白い光の冷たさがあたたかい。
あなたの忘れていったタバコに手を伸ばす。
肺を犯す煙にむせたけど、
愛しいあなたとの匂いに包まれる。
慣れない煙が目に染みただけ。
涙に言い訳をつけるのにはもってこい。
窓の外では月が雲に覆われる。
スゥッと暗くなる部屋の中で、
タバコの火だけが赤く見えた。
煌々とする紅の中に、あなたが笑う顔が見えた気がした。
視野一杯の紅の色。
文字通り焼けつくような痛み。
声にならない叫びが部屋にこだます。
嘆きの声は届かない。
窓の外では雲が切れる。
ふたたび月の明かりが照らすけど、
私がそれを見ることは二度とない。
残酷なあなたの優しさを目にすることもない。
あなたのいない世界において
私が見るものなんて何にもない。
-知らないよ見えないから-
あなたがあの子と幸せそうに笑う顔なんて。
私が知っているのは私に笑いかけるあなただけ。
きみが壊れてゆく10題
1.知ってるよ見てたから 了
-あとがき-
みなさまお久しゅうございます。
神楽です。
数年ぶりに戻ってまいりました。
友人からお題で短編書こうよ、
とのお誘いを受けましてひょっこり帰ってまいりました(笑)
いやぁ・・・
小説を書くことから離れて数年。
上手く文が綴れません。
そしてひとつめから病んでおります!
女の子は他の子と幸せそうにする彼氏を見たくなくて、
タバコで目を焼いてしまう、というwww
はい、グロテスク!
純愛も行き過ぎると怖いものです。
それにしても、文章がとっ散らかっていて見苦しい。
リハビリ作ですのでご容赦くださいませ。
さて、今回はこのあたりで。
次回は
2.信じているから大丈夫
を書いていこうと思います。
よろしければご覧ください。
ではでは。