【残酷な言葉】【1%の私】
14.11.7 【残酷な言葉】推敲
【残酷な言葉】
青い山から立ち上った詩が空を覆っている
詩に覆われた世界は本当の優しさにゆっくりと輝く
しかしながら西の空に乙女の流線型した白い指がかかり
柔らかな詩の雲を引き裂いている
残酷な言葉は放射状に光のカーテンを閃かして
雲間から覗いたのは眩しい輝くまだ熟しきっていない柿の色
その時、不意に訪れた
あの残酷な乙女の白く輝く胸元に
この身を震わし涙させる希望があった
【1%の私】
(これは詩ではありません。エッセイ的なものですから。)
私の心の全てを100%として、私の心の中のたった一人の私は何%なのかと考えた。そしたら着想が答えた。そんなの1%しかないだろう、他の99%は誰かで出来てるんだよと。他の誰かとは誰なのかと問うと、そんなの直接に聞いてみろと、放り出されてしまった。だから、心の中で聞いてみることにした――。
――見回すと懐かしい姿がある。失った面影の全てがそこにいる。楽しげに行き来する懐かしい人々がいる。メタリックな映画館では、過ぎ去った思い出の場面が映し出されている。無垢の木で出来た図書館では、叶わなかった思いや伝えそびれてしまった言葉が詰まった本がぎっしりと並んでいる。
振り仰ぐと、雲のない薄青い空を透かして覗き込む顔が見えた。瞳に星々の祈りを沈め、その口には光の矢を咥えている。長い緑色の髪が靡き、ほぼ透明な顔色で言う……震えろ。唯震えろ。震えに耐え、光の速さで迫る言葉を吐き出せ。逆らうな。唯靡け。風に吹かれる柳の葉のように。突風に飛び去る白い風船のように。恐れるな。恐れるな。我は詩。お前を導くもの……。
私は、半ば恐れ半ば震えて聞いた。この先に待つのは滅びと絶望と悔恨か。それとも儚い希望か。
私はこの先に進むだろう。どこへ連れて行かれるかわからない。いつ帰れるかもわからない。しかし、この震えこそがようやく見つけた私の命。私のバリアを越えることを試みる。普遍への回帰を目指して。