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【母とは】【終点】【嘘を飼っている】

【母とは】


きっと死なないでください

あなたは死なないでください

わたしが分からなくなってしまって

私自身が無くなってしまって

なんだか分からないものばかりが現れたり話しかけたり

一番大好きなあなたさえ分からなくなっても

まだ死なないでください

わたしの息の根が完全に止まってから

きっちりと確認してから

ご自由にしてください



【終点】


仕事へ行くために、朝に家を出た

早く歩く

振り返ると、子どもの鮫が遅れている

早く来なさいと、見ていると追いついてきた

鮫と一緒に出来るだけ早く駅へ急ぐ

駅に着くと鮫は悲しそうだ

鮫は電車には乗せてもらえない

改札に入ると鮫はすごすごと引き返す

きっとあの橋の下を流れる川へ戻るのだろう

冷たい流れる水の中で私の帰りを待つのだろう


電車が来た

電車に乗る

人と人と鳩が乗る

さてゆっくりと座ろうか

何しろ片道十年の通勤だ

鳩たちは歩き回る

そのうち足の指が擦り減ってしまって指のないのもいる

もうすぐしたら足も擦り減ってしまって、胴体だけでばさばさ羽を使ってはい回る

それからついには鳩の体が全部擦り減ってしまって

終点だ



【嘘を飼っている】


今嘘をついた

そればかりでなく昨日も嘘をついた

毎日嘘をついている

そして

嘘たちは私の心の中に放たれる

嘘は私の心の壁を餌として喰う

それでも私は嘘を飼う

嘘たちの命ある限り飼っている

彼らもまた、私だ

思わぬ色をした

思わぬ形をした

どこかで拾って来た私だ


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