どう思う?
さて、この姉妹の話はどうだったかな?
僕?僕のことは気にしないでよ。ただの通りすがりの旅人さ
……君も諦めが悪いねえ。もうタロウでいいよ、そう呼んで。
だから、別に怪しい人じゃないってば!現に何も君に要求してないだろう?!
ああちょっと!警察呼ぶのは勘弁して!!
確かに急に呼び止めたのは悪かったよ、それは謝る。でもさ!僕は誰かにこの話を聞いてもらいたかっただけなんだってば!本当だよ!!
君だって面白い話を知っていたら誰かに話したくなるだろ?
ああちょっと待って、もう少し話したいことがあるんだ。
…はあ、しょうがないなあ。そのコーヒー僕のおごりでいいから、あと少し付き合ってよ。
でさ、君はこの話を聞いて姉妹のことをどう思った?
…ふうん。なるほどね。
僕がこの話が面白いと思うのは、人によってだいぶ登場人物の印象が変わるからなんだ。
君は「かわいそう」と言ったね?これが人によっては「羨ましい」だったり「信じられない」「ありえない」だったりするんだ。
例えば、姉の美華は幸せだと思うかい?
彼女の場合、周囲からの評価は最悪だろうね。
周りに男を侍らせて、あげくの果ては妹の恋人まで奪ってしまう悪女だから。
きっと女友達もいないんだろうと予測できるよね。
でも彼女自身は?
最愛のクリスさんも可愛い妹も自分の言うことをきく下僕もいる生活は幸せだと感じているかもしれないだろう?
それとも、たとえ遠距離でもたった一人の恋人では幸せに暮らすことができなくてかわいそうかな?
じゃあ、妹の優理は?
周りから見たら、できた恋人をかたっぱしから姉に奪われるかわいそうな人だ。
でも、それは本人の希望でもあるわけだし、逆に言えば何度でも幸せな恋愛をして青春を謳歌できるわけだ。
それはそれで楽しいんじゃないかという考えもあるよね?
それぞれの登場人物に注目して考えていくと、とても面白いよ。
クリスさんでも優理の幼馴染でも下僕たちでも。
なんだったら最後に美華とクリスが乗っていた車の運転手でもいい。
彼は後部座席でいちゃつかれて不満だったかもしれないし、クリスに雇われていたわけだから、クリスの役に立てて嬉しかったかもしれない。
…ねえ、僕の話聞いてる?
大体はって、ひどいなあ。僕、結構真面目に話してたんだけど。
え?もう帰るの?もうちょっと話そうよ。
…しょうもない話って、それはないでしょ。
ああ、そうね。うん、付き合ってくれてありがと。
じゃあね。また縁があったら会おうよ。
……そこは社交辞令でもいいから頷いとこうよ。ね?
あ、イヤ?…はい、ごめんなさい。
じゃあ、さようなら。
何となく浮かんだので書いてみた。
この話の「僕」が誰なのかは特に決めてません。はい。