入寮
30分では全員がそろって、先生が説明を始めた。
「さて、ここでは、君たち全員に生きていくための知恵を授けることになる。もちろん、数学、理科、国語と言ったものも必要だ。そこで、半月の間は、ここで学科を、残り半月は、野外実習をしてもらうことになる。野外実習の結果によっては、卒業を認めない場合があるが、それでも1カ月でここから出ていってもらうことになる」
「先生、私たち、そんな話聞いてないです」
女の子が言う。
「そりゃそうだ。来たのは初めてだろ。だからこうやって、説明をしているんだ」
先生がそう言うと、今日来た全員を、寮へと案内した。
「ここの寮は男女共同で使ってもらう。さすがに、トイレ、風呂場は別だが、その他の、教室、寝室、食堂は共用となっている。後で、互いに自己紹介でもしといてくれよ。君たち5人は、これから一緒に生活をしてもらうことになる。寝る時も、勉強も、この1カ月はずっと一緒だ」
俺は、後ろで荷物をもって歩いている面々を見た。
これからのことを心配しているかのような顔をしていた。
「さて、ここが君たちが泊るための部屋だ」
寮は4階建て40部屋でできていて、俺たちの部屋は309だった。
「荷物は、全部ここに置いておくように。授業開始は8時45分。1時限は50分で、4時限までが午前、それから1時間のお昼休憩の後、さらに5時限目と6時限目がある。以降は放課であり、自習時間だな。風呂は18時から21時まで、就寝は22時。起床は好きにしてくれ。それと、時間割は壁に貼ってあるものを使うように」
見ると、休みがないように設定されている1時間目から6時間目までみっちりある時間割が張られていた。
「授業は明日から。今日はゆっくりとしたらいい」
そう言って先生は部屋から出ていった。
俺たちは、各々荷ほどきをしてから、部屋の構造を確認していった。
まず、部屋は4つ、さらにリビング1部屋と2ドア冷蔵庫が1台、小型コンロが1つ、トイレ、バスルームがある。部屋は1つはウォークインクローゼット、1つは多目的室と思われる畳敷きとなっていて、ベッドは残り二部屋に合わせて5つあった。
2つの部屋は女子が使い、3つの部屋は男子が使うことに、人数からみてすぐにきまる。
ベッドがある二部屋は、両方ともクーラーがついていて、フローリングとなっていた。
掃除機が壁に立てかけてあって、これで部屋を掃除しろということなのだろうと、解釈する。
一通りの部屋巡りが終わると、リビングにひとつだけある机に車座になって、順々に自己紹介をする。
「あたしから。井崎一井、16歳。高校じゃ短距離走選手として活躍してるから、体力には自信があるよ。でも、勉強はてんでだめで、特に英語は3回連続で0点。数学、生物、政治経済の授業は赤点で、親にさすがにダメだろと言うことで、ここに連れて来られたというわけ。1か月、よろしくね」
「次は僕かな。僕は騨雀鬼頭、15歳。知らない間に、手先が器用で、カンペ技術ばかりがうまくなったんだ。それで、勉強よりそっちに力を入れるようになった結果、ここに親から無理やりに入れさせられたというわけ。特に、国語と公民が学年最低点を取った時には、ひどく怒られたんだ。これからよろしく」
「私は、川西湶。小学生とよく間違えられるけど、16歳だよ。社会分野全般と、物理が赤点。でも、数国英は、実は学年トップ。暗号が大好きで、何をするにしろ、暗号があるとおもっちゃう性格。よろしく」
「俺は、須原理彦、15歳だ。学年主任をしている親父にこっぴどく叱られて、ここに強制入寮させられた。なんか、もう全体的に壊滅的で、どこからてをつけていいのやら分からん。とりあえず、これからよろしく」
「最後になっちゃったね。自分は、東雪猪狩。16歳。特に数学が苦手で、どうしても数式ができないんだ。他のも、平均以下で、まとめて勉強しようと、ここに来たんだ。どうかよろしく」
一通り、それぞれが自己紹介を終えると、いろいろと雑談をしていた。




