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本
「じゃあ、さっそくで悪いんだけど、本持ってないかな」
俺が彼らに聞いてみると、リーダーの沢志が俺に同じような装丁をされている本を渡してきた。
「これのことね。何故かは知らないけど、カバンの中に入っていたのよね。重いったらありゃしない」
沢志がカバンを地面に下ろしてから、愚痴っていた。
「ほら、これね」
その本をすぐに川西にまわす。
「どうかな」
俺が川西に聞くと、すぐにページを開けて、確認した。
「ちょっと暗号パターンが違うね。でも、まだ分かる範囲だから大丈夫。紙と鉛筆を持ってる?」
「あったかな……」
「私持ってるよ」
沢志の後ろでカバンを探っていた和達が川西にシャーペンと手のひらの大きさのメモ帳を渡した。




